【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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立替経費(代表者のものへの税務署の視点)

2021-11-12 19:16:00 | 経理業務(帳簿の作成)
あまり好ましいことではないのですが、規模の小さい会社では代表者による立替経費が頻繁に生じます。「立替経費」とは、会社が負担すべき(会社の資金で支払うべき)経費を代表者が立替払いすることをいいます。立替払いをしているわけですから、代表者は立替払いした金額を会社から引き出すことができます。

◆機動的な(?)支払いを行える

中小零細企業の代表者には仕事と私生活の区別が明確でないことから、私生活の最中に「突然!」会社の買い物をするということがあります。また、私生活の中で支払えば利便性が高いこともあります。そんなことから、なんだかんだと立替経費が生じてしまうのです。本当はよくないことですが。

◆会社に資金がない

小さな会社の場合には、会社の資金が不足したならば代表者がその穴埋めをしなければなりません。不足する資金をまとめて代表者個人から会社に入金すればいいのですが、そうしている時間的余裕がない場合には立替経費という手段によるしかありません。

◆代表者個人で支払うことのメリット

これは上記のような中小零細企業の特異性や資金的にやむを得ないといった理由ではなく、代表者個人で支払えばメリットがあるというケースです。

「個人のほうが安く買える」「個人でしか買えない」「ポイントがもらえる」というケースです。特に昨今では「お得な」買い物をあちこちで簡単にすることができます。

◆私生活の費用との区分

代表者が立替払いをする際には私生活の費用と同時に支払われることがあります。ひとつの請求書や領収書に会社と私生活の支出が混在しているというケースです。この場合、私生活の部分と会社の部分に区別するという面倒な作業をしなければなりません。

◆記帳が遅れる(漏れる)

立替経費のリスクのひとつが、記帳が「遅れる」あるいは「漏れる」ということです。立替経費は会社に請求がされませんので、会社の資金が動かないことからいつまでたっても記帳が行われません。これを記帳するには代表者が立替経費の存在を認識するという注意力に依存するしかないのです。代表者が忘れてしまったらおしまいます。

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★税務署の視点

小さな会社では代表者による立替経費は「どうしようもないこと」とはいうものの、税務的には「突っ込み所が満載」ですので立替経費が生じる場合には十分な注意を払う必要があります。

立替経費の領収書のあて名は会社でなければなりませんが代表者個人になっていることがあります。税務署は代表者個人名義の領収書は会社とは無関係であると考えますので、出費の内容に照らして会社との関連性を十分説明できるようにしておかなければなりません。

出費が個人と会社に共通するもの、例えばガソリン代などの場合、私生活と会社に区分することは容易ではありません。

立替経費の精算は立替払いが行われた日を含む事業年度中に行わなければなりません。旧事業年度の立替経費の精算はできないということです(旧年度に未払計上していれば可能です)。

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