12時半ころ家を出発。道志道へ向かう。途中、土曜日の午後ということもあって混雑している。
2時半ごろにいつもの神ノ川ヒュッテに着き、車を止めさせてもらう。2時40分ころ出発。
矢駄尾根を登り、熊笹の峰を目指す。暑い、とにかく暑い。これは注意しないと熱中症になりかねない。こまめに休憩し水分を取ろう。体に負担がかからないよう歩幅を小さくとって歩く。だんだん高度を上げるにつれ、風が涼しくなってきて気持ちがいい。30分で途中の林道を横切るところまでいけた。小休止。さらに1時間、イタヤカエデの下にある休憩卓で小休止。そこから熊笹の峰まで40分。やっと稜線に出る。あとは檜洞丸の山頂まで、多少のアップダウンを繰り返すが、比較的歩きやすいので楽だ。6月の初めには満開だったツツジも、もう見ることは出来ない。その代わり、バイケイソウの花が咲き始める。今まで何回かこの時期に登ってきているが、今年ほどバイケイソウの花芽が多いのは初めて見た。
夕方6時少し前にやっと山頂直下まで到達。山頂に人影が見える。思わず、「おおーーい」と声を上げる。向こうも答えてくれた。知り合いの人が迎えに来てくれていたのだ。ありがとう。
山頂を通り過ぎ、蛭ヶ岳方向に少し下ると、そこに青ヶ岳山荘が建っている。
山荘の前にも人影が。小屋番のとんぼちゃんとにしさんが迎えに出てきてくれた。うれしい。
挨拶もそこそこに、小屋の裏にいき、ドラム缶に貯めてある水で、水浴びをさせてもらう。あー、気持ちいい。水を浴びたあとは、あれほどかっかしてほてっていたいた体が、ひんやりした。衣服を着替え、まず缶ビールをもらう。ああ、なんておいしいのだろう。地上では味わえないこの美味さ。
さてさて、夕飯が始まる。今日のメインは豚肉のしょうが焼き。ばてばての体には、こういうこってりしたものがありがたい。
ザックからワインを取り出す。今日は発泡性ワインと10年物の赤ワインを担いできた。それにつまみの鴨の燻製。
テーブルの上には、他の人からの差し入れのつまみやお酒がずらーっと並ぶ。私の山の伴侶のよねやん(定年まじかの独り者のおじさんです)は、ポーランド製の馬刺し(ドンキで買ったんですと)と、今は貴重になった鯨のベーコン(3000円位したとのこと)を担いできた。
私は山の上での宴会が楽しみで、いつもこの小屋に泊まるのです。初めて会った人に、私が持ってきたワインを勧める。そうするとそれがきっかけで、話が始まる。私は、こういう人間関係が大好きなのです。
酔っ払う前に、よねやんと今年の夏山の打ち合わせ。やっぱり槍かなと。
ワインを飲んでいると、横から日本酒を飲めとついでくる。まだ、コップにお酒が残っているところに、今度は赤ワインを勧めてくる。もう、何がなんだかわからない。まったく酒飲みってしょうがないですね。
明朝早立ち組は、10時頃お開き。我々は関係ないので11時頃まで酒宴に酔いしれる。さすがに眠くなったので、休ませてもらう。
朝は、6時頃目が覚める。小屋の人たちはすでに朝ごはんの準備。
朝食のメニューは、ゴーヤと鳥肉の炒め物、玉子焼き、納豆、大根の薄味の煮物、味噌汁、ご飯。おいしい、おいしい。ここの食事にはレトルトものもちろん、缶詰さえ出ない。こだわりのおかずたち。
食後はコーヒーをいただく。ここのコーヒーのおいしさには舌を巻く。一番初めに訪ねたときの目当ては、このコーヒーだった。ブルマン800円なり。まさにこの価値あり。さる高貴な山好きなお方が、大学生の頃、ここの小屋にお寄りになり、この自慢のコーヒーをお召し上がりになったそうな。あとあとも、山で飲んだコーヒーの味が忘れられないと言っていると聞いた。わかりますよ、そのお気持ち。 この写真は小屋番さんが自慢のコーヒーをいれているところです。
コーヒーをいただいたあとは、カメラを持って小屋の周りの風景を撮りに行く。
緩やかな斜面の山頂付近は、ブナ林の林床にびっしりバイケイソウやマルバダケブキがはびこっている。
昔は薄暗いくらいにブナが生い茂っていたと聞く。深田久弥の「日本百名山」丹沢山の頁に、「蛭ヶ岳から西に、ズングリした頭の檜洞丸がある。丹沢で第二の高峰であるが、樹木で覆われていて道がなく、怪峰とか秘峰と呼ばれたものだが、今はどうか。」という記述がある。
今はその面影は薄らいで、明るいブナ林に覆われている。私は、その名前に何か言い知れぬ響きを感じる。檜洞丸に初めて登る前に、ガイドブックでその名前は知っていた。西丹沢に下見に行ったときに、檜洞丸の標識を見たとき、思わず武者震いしたことを思い出す。そのときはまさか、この山にこんなにはまるとは想像もしていなかった。これも、今まで、よい思い出を作ってくれている、青ヶ岳山荘のスタッフの皆さんや、そこで知り合った山の友人たちのせいである。ありがとうとお礼を言いたい。
さてさて、お昼頃には下に降りたいので、そうそうゆっくりもしていられない。支度をして、小屋番さんにお礼を言い、もと来た道を引き返す。頂上では、この間の川乗山の頂上でも見たサラサドウダンが咲いていた。ほんとにきれいだ。
頂上を通り過ぎ、一気に急下降。熊笹の峰、遠くに大室山が見える。よく見ると、山の緑の斜面にところどころ白い塊が見える。今頃咲いているのは、ウツギ系の花だろうか。こう見ると、なかなかきれいだ。
熊笹の峰から稜線を右に折れ、一気に神ノ川まで下る。今回はお天気だったので、木の根も乾いており、滑らない。これなら安心だ。濡れているとつるっと滑るので、要注意。
下に行けば行くほど暑くなり、汗がほとばしる。山の上の涼しさが、懐かしい。
2時間ほどで、降りきった。まあまあのスピードだ。これなら夏山も何とかなるかもしれない。
神ノ川ヒュッテで一休みさせてもらい、途中、青根の新しくできた「いやしの湯」で温泉につかり、汗を流す。ああ、さっぱりした。
家に帰る途中、ちょうどお昼時になったので、なじみの食堂により、ラーメンとチャーハンのセットを食べる。山から下りると、なぜかラーメンが食べたくなるパン・ド・カンパーニュでした。