Heart Beat

草なぎ剛くんのこと、読書記録など・・・気ままに更新♪(コメント&TBは承認制となっています)

『武士道シックスティーン』

2010-07-23 00:25:21 | 読書
2010 No.18 7/17~7/18

作者:誉田哲也(文春文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0

一言でいうと“剣道にはまっている2人の高1女子の青春ストーリー”なのですが、全く違う2人のヒロインによって交互に語られる物語は、2人の個性がよく描かれていて、読んでいてすごく楽しかったです。
のんびり屋の早苗も楽しいですが、なんといっても早苗曰く“剣道オタク”の香織のキャラがおもしろかったです。早苗にペースを乱されながらも、次第に普通の16歳の高校生らしいココロを取り戻していくところが良かったです。最初はとても女の子とは思えない思考回路だったからね~
続編として『武士道セブンティーン』『武士道エイティーン』もあるようですが、早く文庫化してくれないかなー

『ジェネラル・ルージュの伝説』

2010-07-20 20:26:21 | 読書
2010  No.17  7/10~7/11

作者:海堂尊(宝島社文庫)

評価・・・★★★★ 4.0

『ジェネラル・ルージュの凱旋』の救急医・速水が登場する短編が3作品おさめられているうえに、作者によるちょっとした自分史と作品紹介、そして“海堂尊ワールド”の便利なデータ集もあって、“海堂尊ワールド”にはまっている人にはたまらない1冊といえるでしょう。

欲をいえば、作者による登場人物紹介があるとより良かったなぁ。

速水が“ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)”と呼ばれるようになった例の城東デパート火災の前後の物語『伝説-1991』は必見です。

『魔王』

2010-07-19 18:55:16 | 読書
2010  No.16  7/6~7/8

作者:伊坂幸太郎(講談社文庫)

評価・・・★★★★☆ 4.5

何かものものしいタイトルですが、意外にも兄弟愛が温かい物語でした。

“自分の思ったことを相手に語らせることができる”能力が備わっていることに気づいた青年。その頃、世間ではある若き政治家が頭角を現しつつあるが、そこに何か危険な匂いを感じた青年がとった行動は・・・という物語。

作品中では衆議院解散選挙を控えているという設定でしたが、ちょうど読んでいる最中は参議院選挙を控えていたので、ちょっと物語世界と現実世界がリンクしているような不思議な感覚がしました。
しかも、物語世界の中の一般国民のあいだに漂う、政治に対するあきらめに近い空気と、そこに躍り出た“わかりやすい”言葉で国民に訴えかける若き政治家に対する、勢いに任せた期待感といったものに、すごい既視感を覚えて、思わず何年に発表された小説か確認してしまいました。(ちなみに初出は2004年=平成16年)

もう一篇おさめられた作品『呼吸』は、表題作の後日譚となっています。

これらの作品は、何か大きな物語の序章のような感じがしてならなかったのですが、巻末のあとがきによると、これらの2作品に連なるものとして『モダンタイムス』という作品があるそうです。直接的な続編とはいえないということですが、機会があれば読んでみたいです。

『ジーン・ワルツ』

2010-07-17 10:14:10 | 読書
2010  No.15  7/4~7/5

作者:海堂尊(新潮文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0

代理母をテーマにした作品ですが、産科医不足問題や、医療事故を犯罪事件に仕立て上げてしまう無理解な社会に対する作者の怒りも描き込まれていて、とても考えさせられました。

海堂先生は、白鳥&田口シリーズや、他の作品でも様々な医療問題を取り上げられていますが、先生が本当に目指すものは、こういったエンタメ小説を通して、読者が様々な医療問題の背景を知ることで、医療についてみんなが真剣に考えて、社会をみんなの力で変えていくことなんだろうな・・・

私も以前、少しだけですが医療関係の仕事をしていたことがあるので(医療従事者ではないですが)、医療問題にはすごく関心があります。現場の先生達の姿を知ることで、自分が今まで医師に対して偏見を持っていたことに気づき、反省したりもしました。問題医師もいるけれど、実際は患者のためにがんばっている先生がたくさんいることに気づき、医療問題の奥深さを感じました。
私にできることはわずかですが、周りの人達に、海堂先生の作品のおもしろさを宣伝して、医療問題についての知識を増やしてもらえるようやってみたいと思います。

そうそう忘れてた。
作中の曾根崎先生が、学生に行った「発生学」の講義、私も感動しました。「最終講義」の章では、はじめはなんとなく講義に出席するだけだった学生が、ちゃんと講義への理解を深めていたことがわかるエピソードは、派手さは無いですが、感動しました。

私も頭がすごく良くて、度胸も体力も備わっていたなら医師になりたかったな、と初めて真剣に思いました。来世に期待しよう

この作品は、ある登場人物の視点から描き直した『マドンナ・ヴェルデ』という作品と双子作品になっているようです。
また、この作品もちゃんと白鳥&田口コンビの属する“桜宮サーガ”の世界に属しているようで、他の作品の登場人物との関わりも深いようです。
まだまだ海堂先生の作品で読んでないものがあるので、どの作品と深いつながりがあるのかわかりません。早くまた別の作品を読みたいです!

『家日和』

2010-07-16 18:02:52 | 読書
2010  No.14  7/3~7/4

作者:奥田英朗(集英社文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0

大好きな奥田さんの文庫最新刊。短編集です。
いろんな家族が出てきて、クスリと笑わせられたり、ちょっとジーンとしたり、とてもおもしろかったです。
『ここが青山(せいざん)』の夫婦は理想的な関係でした。
『家においでよ』では、奥さんに逃げられたのに、奥さんに遠慮してできなかった“部屋を自分の趣味に合わせたレイアウトにする”を実行するうちに、いつしか自分だけでなく、男友達達にとってもオアシスになっていく、というところがすごくおもしろかった。自分の部屋を見直して、模様替えしたくなってしまいました
『妻と玄米御飯』では、ロハスにはまってしまった妻に戸惑う作家の夫が描かれていますが、この作家が描いた同じタイトルの作品が読みたくてたまらない 私も、しばらく前にロハスが流行っているとき「なんじゃそりゃ?」とついて行けなかった一人なので、共感する点がありました。なんにせよ、自分の価値観を人に押しつけるのは良くないです。

巻末の、益田ミリさんによる『鑑賞』もおもしろかったです。文庫に解説は付きもので、いつも一応読みますが、なかなかおもしろいものがないので、これは良かったです。