Heart Beat

草なぎ剛くんのこと、読書記録など・・・気ままに更新♪(コメント&TBは承認制となっています)

『ジーン・ワルツ』

2010-07-17 10:14:10 | 読書
2010  No.15  7/4~7/5

作者:海堂尊(新潮文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0

代理母をテーマにした作品ですが、産科医不足問題や、医療事故を犯罪事件に仕立て上げてしまう無理解な社会に対する作者の怒りも描き込まれていて、とても考えさせられました。

海堂先生は、白鳥&田口シリーズや、他の作品でも様々な医療問題を取り上げられていますが、先生が本当に目指すものは、こういったエンタメ小説を通して、読者が様々な医療問題の背景を知ることで、医療についてみんなが真剣に考えて、社会をみんなの力で変えていくことなんだろうな・・・

私も以前、少しだけですが医療関係の仕事をしていたことがあるので(医療従事者ではないですが)、医療問題にはすごく関心があります。現場の先生達の姿を知ることで、自分が今まで医師に対して偏見を持っていたことに気づき、反省したりもしました。問題医師もいるけれど、実際は患者のためにがんばっている先生がたくさんいることに気づき、医療問題の奥深さを感じました。
私にできることはわずかですが、周りの人達に、海堂先生の作品のおもしろさを宣伝して、医療問題についての知識を増やしてもらえるようやってみたいと思います。

そうそう忘れてた。
作中の曾根崎先生が、学生に行った「発生学」の講義、私も感動しました。「最終講義」の章では、はじめはなんとなく講義に出席するだけだった学生が、ちゃんと講義への理解を深めていたことがわかるエピソードは、派手さは無いですが、感動しました。

私も頭がすごく良くて、度胸も体力も備わっていたなら医師になりたかったな、と初めて真剣に思いました。来世に期待しよう

この作品は、ある登場人物の視点から描き直した『マドンナ・ヴェルデ』という作品と双子作品になっているようです。
また、この作品もちゃんと白鳥&田口コンビの属する“桜宮サーガ”の世界に属しているようで、他の作品の登場人物との関わりも深いようです。
まだまだ海堂先生の作品で読んでないものがあるので、どの作品と深いつながりがあるのかわかりません。早くまた別の作品を読みたいです!