Heart Beat

草なぎ剛くんのこと、読書記録など・・・気ままに更新♪(コメント&TBは承認制となっています)

『日本辺境論』

2010-01-16 17:13:28 | 読書
2010 No.4  1/11~1/16

著者:内田 樹(新潮新書)

評価・・・★★★ 3.0

新聞広告を見ておもしろそうと思って読みましたが期待はずれでした。
第2章の途中までは興味をもって読めたと思うのですが、だんだん読むのが辛くなってきました。横文字も多いし。読み手のレベルが悪いのでしょうが。
著者の見方には結構違和感を感じることが多かった。ちょっと偏っているように私には思えた。

次に日本論を読むときはもっと軽めのを読むことにします。

『イノセント・ゲリラの祝祭』

2010-01-16 12:30:28 | 読書
2010 No.3  1/11~14

作者:海堂 尊(宝島社文庫)

評価・・・★★★★☆ 4.5

田口・白鳥シリーズの文庫最新巻です。
今回はミステリー色は全くなく、日本の医療を悪くしてるのは牽引役の厚生労働省とそこに巣くう官僚達である、という強烈なメッセージを感じました。あと一部のおエライ医者の先生方も足を引っ張ってる。
これを医療から社会に置き換えると「日本社会をダメにしてるのは官僚達とその組織(天下り団体含む)と政治家たち」ということになるのかな。

厚生労働省の開く各種検討会やパブコメ、キャンペーンなど、そのままいいことと信じちゃうのは危険なんですね…私はニュースでも人の話でも、すぐに表面どおり受け取ってしまうところがあるので、このような捉え方はすごく勉強になりました。
物事の裏の意味を敏感にかんじられるようにならなきゃなー

本作は読み手によったら全くおもしろくないかもしれません。でも私はおもしろかったです。

海堂先生は小説を通して医療の問題点を一般人にまで伝えようとしてるんでしょうね。
本作では新聞記事の形で次回作の伏線らしきものが盛り込まれてました。それは現実に起こった事故が思い起こされるもので、慎重に描かないとちょっとした怖いネタみたいなのでちょっと心配。
でも、これからも現役ドクターとして、刺激的で勉強になる作品を提供していただきたいです。

『スカーペッタ』

2010-01-16 11:49:49 | 読書
2010 No.2 1/3~1/10

作者:パトリシア・コーンウェル(講談社文庫)

評価・・・★★★☆ 3.5

待ちに待った(?)『検屍官』シリーズの最新巻。
前作のあらすじを完全に忘れてたので、ケイら登場人物たちの関係のきしみの意味が最初はよくわからなかった。
でも、最終的にはまあなんとかおさまったみたいでよかった。
肝心の事件のほうは、ぱっとしなかったような…
序盤はオスカーにスポットがあたってたけど、その後は存在感なかった。テリーのほうをもっと深く描いてくれてたら、また違っていたかも。テリーという人がよくわからなかったので、この作品もよくわかりませんでした。

それにしても、ケイ、悪意にさらされすぎ。
アメリカなんか飛び出して日本にきたら安心して暮らせそうなのに。
でもケイのように優秀で美人で優しかったら、きっと日本中のメディアから注目されて、事件ニュースでの専門家意見の依頼だけにとどまらず、ワイドショーのコメンテーターやCMのほか、あげくの果てにはドラマ出演の依頼まで飛び込んだりして、雑音に悩まされることになっちゃうかも(笑)

『スリーピング・マーダー』

2010-01-03 21:51:57 | 読書
2010 No.1  1/1~1/3

作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)

評価・・・★★★★☆ 4.5

平成22年の読書第1冊目はクリスティーを選びました。
これはミス・マープルものです。
ちなみに、クリスティーが亡くなった年である1976年に刊行された作品です。死後に発表された彼女最後の長編小説なのです。でも、実際に書かれたのは第2次世界大戦中の1940年代らしいです。タイトル通り“眠れる殺人”ミステリー作品だったのですね。

内容もタイトル通りで、眠れる殺人(作品中の表現では“回想の中の殺人”)を扱ったもの。
誰も殺人事件とは認識していないある失踪事件を、実は殺人事件ではないかと疑って真実を明らかにしようとするストーリー。ミス・マープルはその謎解きに夢中になる若い夫婦を暖かく見守りながら導くという役どころで、彼女の優しい人柄がにじみ出た作品です。
でも、犯人にとっては過去の事件を蒸し返されたということで当然おもしろいはずが無く、新たな悲劇が起こるのではという不吉な影がつきまといます。

真犯人には驚かされましたが、過去の殺人を扱った作品ではポアロものの『五匹の子豚』の方がわたしはおもしろいと思うので★は少なめにしました。

ポアロと人気を二分するミス・マープルですが、わたしはポアロ派。でも、ミス・マープルの短編はすごく好き。
本作ではミス・マープルが警察筋ではすっかり有名人になっているような記述があるのですが、『火曜クラブ』などの初期の作品では、ミス・マープルは見た目でただのおばあちゃん扱いされちゃうんですよね。しかも、いきなり関係ないような彼女の村人のエピソードを話しだしたりするので、このおばあちゃん大丈夫かな、といらぬ心配までされてしまう。
でも、実は事件の背景(特に人間関係)とその村人のエピソードが同じような構図になってたりするんですよね。それで真相が明らかになったときみんなびっくり仰天してしまうのですが、そのあたりがミス・マープルのおもしろさだと思います。
どんな事件だって、それを起こした人間の複雑な(あるいは単純な)人間性に基づいて起こったものである、ということを気づかされます。

そういえば今年、クリスティーの未発表短編作品が刊行されるそうです。ポアロものだとか。クリスティーファンとしてはうれしい限りです。
以前にも「幻の作品発掘!」ということで早川書房から「マン島の黄金」が刊行されたのですが、まだ未発表作があったなんて!
ちなみに「マン島の黄金」の日本での発行は1998年。我が家にはハードカバー版、ミステリ文庫版、クリスティー文庫版の3冊があります。同じ作品(しかも同じ訳者)を3作も買っちゃうなんて、クリスティーだけですよ。(クリスティー文庫版には前作には未収録だった短編2作品が入っている分お得感はありますが)

未発表作が刊行される日が待ち遠しいです