Heart Beat

草なぎ剛くんのこと、読書記録など・・・気ままに更新♪(コメント&TBは承認制となっています)

『春にして君を離れ』

2008-08-03 13:46:56 | 読書

2008  No.17  7/20



作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0



クリスティーが別名義「メアリ・ウェストマコット」で身分を隠して発表した普通小説6作品のうちの1作です。


平凡な主婦・ジョーンは自分の家族や人生に満足しきっていた。
ある日、病気になった末娘を看病しに訪れたバグダッドからロンドンへ戻る途中の駅で足止めをくらってしまう。話し相手もいない、することもない状況の中で、これまでの人生を振り返ったとき、思いがけない別の面が見えてきて・・・というのが本作のあらすじ。
自分が信じていた幸せな人生が、実はそうでなかったことがわかり、愕然とする・・・
これほど怖ろしいことってないだろうなぁ。
ジョーンは事実を自分の信じたいようにしか見ないということをずっと続けてきていて、そのせいで気づかないうちに家族との間に大きな溝ができてしまっていた。砂漠の真ん中で足止めにあい、やることがなくなってしまって、自分のことを考えることしかやることがなくなってしまって、初めてその事実に気づいた訳だけど、自分の信じたいように現実を歪めて受け入れるってことは誰もがしかねない過ちなだけに、怖さが身に染みる感じ。
最初に読んだときもそうだったけど、二度目に読んだ今回もやはり衝撃的でした。
自分も同じように現実をごまかして生きないように、ときどき読み返したい作品です。



『ねじれた家』

2008-08-03 11:06:18 | 読書

2008  No.16  7/17~7/20



作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0



この作品もクリスティー自身が選んだお気に入り10作品中の1作です。
タイトルはマザーグースから引用されています。


ギリシャ移民の富豪の老人が毒殺された。状況から、犯人は家族しかありえない。老人の孫娘との結婚を望む青年は、彼女との結婚の障害を除くため、犯人探しに取り組むが、容疑者の決定的決め手がないまま、新たな事件も起きて・・・というのが作品のあらすじです。
これも『無実はさいなむ』と同様、家族の中で起きた殺人事件をテーマにしていて、ミステリというだけでなく、家族の物語としても読むことができます。
犯人は意外な人物で、初めて読んだときは結末にすごく衝撃を受けました。
今回は読むのが二度目だったので、違った視点から読めておもしろかったです。



『無実はさいなむ』

2008-08-01 00:27:17 | 読書

2008  No.15  7/11~7/14



作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)

評価・・・★★★★★ 5.0

クリスティー自身が選んだお気に入り10作品の中の1作品です。
ポアロやマープルといった人気探偵が登場しない作品です。




ある犯罪で有罪とされて獄中で亡くなった人が実は無罪だった・・・
その知らせを親族に伝えたところ、喜ばれるどころか迷惑扱いされてしまった男。
そのままにしておけないと首を突っ込んでいくうちに明らかになっていく真実とは・・・というのがあらすじです。
特異な家族関係が事件の謎に深くからんでいて、なかなか読み応えがあります。
巻末の解説ではいくつか問題点が指摘されてはいますが、その辺は多めに見て欲しいな。
「ある特異な家族をミステリ風に描いた小説」という読み方にも充分耐えられる作品だと思います。
トリックそのものの鮮やかさより、犯罪者の特異な(あるときはごく一般的な)人間性や、被害者などの犯罪関係者の心の動きといった‘人間’を良く描いているからこそ、私はクリスティーが好きなんですよね。その気持ちを再認識した作品でもありました。



『ビッグ4』

2008-08-01 00:00:10 | 読書

2008  No.14  7/5~7/8



作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)

評価・・・★★★☆ 3.5

ポアロものです。


『ゴルフ場殺人事件』で出会った運命の人とブラジルへ旅立ったヘイスティングズ。彼がイギリスに戻ってきたところから始まる作品です。
ミステリというよりも、スパイもののような作品です。ポアロものとしてはかなりの異色作です。
後半にはなんと、ポアロの兄弟も登場!
また、ヘイスティングズとポアロの厚い友情が感じられて、ヘイスティングズ贔屓の方にはオススメですよ~