7/21 映画館にて鑑賞。
評価・・・★★★☆ 3.5
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うーん、ちょっと評価は甘いかもしれません・・・大好きな草なぎ剛くんが出演してなきゃもっと評価は低かったかも。
いわゆるパニック映画なんですが、日本が沈没してしまうという想像を絶する危機がイマイチ描ききれていない一方で、潜水艇パイロット・小野寺とハイパーレスキュー隊員・玲子の主役2人の恋愛に比重が置かれすぎていて、パニックとドラマの双方の要素がうまくかみ合っていないため、なんだか間延びして中途半端な印象を受けました。
クライマックスの数十分はなかなか良かったと思います。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!以下、ネタばれ注意!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
この作品は、日本沈没の前兆でもある大地震に遭遇した小野寺が、後に玲子の伯母に引き取られることになる少女・美咲と共に、炎の中で玲子に救出されるシーンで始まるんですが、あまりに予想していなかったオープニングだったため、最初、別の映画の予告編かと思ってしまいました。
印象的な出逢いでした。そして玲子はかっこよかった!
でも、最初に見せ場シーンをもってきてしまったせいで、その後が盛り上がりに欠けてしまったような・・・
しかも、冒頭から大惨事が起こってしまっているのに、その駿河湾で発生したという地震(山が噴火までしてるのに)についての説明が十分になく、不安に包まれる国内の描写も特にないため、危機が迫ってきているという感じがしなかった。
ここのところは原作どおり、日本全国で地震が頻発するようになり、火山活動が活発になっていく描写(ニュース形式じゃないもので)を入れていたほうが、徐々に緊張感が高められていって良かったのではないでしょうか。
その後、阿蘇が噴火するシーンや、函館などが津波に襲われるシーンなど、衝撃的なシーンもあるにはありました。大阪・京都・名古屋・仙台などの各都市の壊滅状態になった映像はショックでした。とりわけ、奈良の大仏様のシーンが・・・大仏様が穏やかな表情で胸元近くまで水没し、崩壊した建物に今にも押しつぶされそうになっているのには胸が痛くなりました。
でも、うちひしがれた様子で集合場所に集まっていく人々の映像や、火山の噴火などで怪しく燃える日本列島とあちこち水没している日本列島の映像(いずれも日本列島を遥か上空から見たもの)が何度も映っていたのですが、ただ映像を流すだけでは胸に迫ってくるものがあまりなかった。
こういうシーンにこそ、どんな小さなエピソードではあっても“ドラマ”を絡めて描かないといけないんじゃないかなぁ。
代わりに主役二人のエピソードが差し挟まれていましたが、前半部分の二人の環境はまだ比較的落ち着いた状態だったので、なんだか浮いてしまって、せっかく少しは湧いてきた緊迫感をブツ切りするような感じを受けました。
火山灰が降り続ける街を小野寺が彷徨うシーンは、シートをかぶせられた何体もの遺体が道路に置かれていたり、死んだと思われる幼い子を抱きしめて「スミマセン、スミマセン・・・」とつぶやき続けている女性が出てきて、痛々しくて胸に残っています。
小野寺と玲子は次第に想いあうようになるのですが、エピソード不足という感じがしました。小野寺が玲子をすごく好きになるのはわかるのですが、玲子が小野寺をすごく好きになるところがよくわからなかった。パンフレットの玲子役の柴咲コウちゃんのインタビューによると、カットされたエピソードがあったようですね。
二人は最初から恋人同士だったり、もともと知り合いで(小野寺が玲子の伯母の経営するもんじゃ焼き店の常連だったなど)お互い好感をもっていたのが淡い恋に発展したとか、そういう設定の方がムリがなかったかも。
予告でも映されていた小野寺と玲子の2つの印象的なシーンについて、完全に私は設定を勘違いしていました。
まず、小野寺の膝で眠る玲子のシーンは、2人が日本を脱出して避難先に向かうシーンだと。そして、ヘリポートで固く抱き合う二人のシーンは、日本がいよいよダメだというときまできて、ようやく再会できたシーンだと・・・
見事に私の勘違いでした。でも、勘違いしててよかった~!!! おかげで思いっきり感動できました。泣けました。号泣まではいかなかったけど。ちょっとウルウルした程度だけど。
まさか小野寺が死んでしまうとは思いませんでした。
相棒だった結城が潜水艇とともに沈んでしまったため、結城が最後まで果たせなかった仕事(日本沈没を阻止するため、日本列島を海中に引きずり込もうとするプレートに超強力な爆薬“N2爆薬”を埋め込む計画で、その起爆地点にN2爆薬をセットするというもの)を成し遂げるために小野寺は旧式の潜水艇で潜ることに。
でも、旧式の潜水艇は設計上、深度2,000メートルまでしか耐えられないのに、4,000メートル以上潜ろうというのだからムチャすぎる挑戦です。
でも、愛する人たちを守るため、小野寺はたった一人で海の底へ向かいます・・・
小野寺はトラブルに見舞われながらも、なんとかミッションに成功!
でも、限界を超えた潜水艇ではもはや海上に戻ることは不可能。
近づく最期のときを前にして、ブルゾンに手をやる小野寺。このブルゾンは、玲子が繕ってくれたものなのでした・・・
そしてプレートに埋め込まれたN2爆薬は無事爆発し、日本は最悪の事態を免れることに。
そんなのありかよ~!!!!!!!!! というような設定ですが、ま、映画ですから・・・
小野寺には死なないでほしかったな・・・
随分長い記事になってしまいました(^▽^;)
でも、まだまだ語り足りてないような気がする!!!!!
2時間強の作品では、原作の素晴らしさを描ききろうとするのはやはりムリがあるのかな。
ドラマ(しかも2クールでね)の方がもっと原作の良さを描けたのかな。
石坂浩二さんが演じる総理が、孫と日本への思いを語るシーンはよかったのですが、孫の名前とか少々語りすぎましたね。ドラマ向きのエピソードだと思いました。
あと、豊川悦司さん演じる田所博士が日本沈没までの時間の計算結果を見て、PCの画面にパンチを喰らわしたりするところは少々引っ張りすぎという感じがしました。ドラマだったらいいけど、映画の限られた時間の中では、削ってもよかったのでは・・・
「なんだよー、日本沈没まで1年もないのかよー!
ガ━━(゜Д゜;)━━ン! 」
と凍り付く表情のアップで十分だったような。
時間をかけるべきシーンで時間をかけず、時間をかけなくてもいいシーンで時間をかけすぎるという傾向が強い作品かも。
私は原作を読んでいますが、旧作の映画とドラマは見たことがありません。
旧作の映画を見ている両親の感想は「映像は今の方がすごいけど、作品としては昔の方が・・・恋愛話はいらんかった」とのこと。
脚本と編集がイケてなかったのかな。
「私だったらどんなストーリーにするかな~」と当分想像して楽しめそう。
いろいろ書きましたが、もう1回見に行く予定です(爆)
原作の小説『日本沈没』の感想はコチラ