靴の中に籠るアスファルトの輻射熱って熱い。
ついつい眉間に皺がはいる。
路面の熱い揺らめきなのか、ボクの足元がクラっとする。
「おいおいお前さん・・・」
目が覚めるとボクは椅子を並べた上で寝ていた。
「ひっくりコケんじゃないぞっ」
見覚えのある空間、聞き覚えのある声、久しぶりの古いココは銀河食堂。
「眉間に皺よせて、なに突っ立ってたんだ?」
「ボクは…」と言いかけ
「ほら、食べない」
店主はテーブルに、ひじきカレーを置いた。
ボクは、スプーンを手にし、一礼し、パクッとカレーを口へ運んだ。
「美味いかっ」店主の顔はパーッと輝きを放ち、ボクはウンウンと大きく頷く。
「隠し味に梅ジャムを入れたんだ」店主は嬉しそうに言う。
なるほど。口に運ぶカレーがすすむ。
「店主らしい味。元気がでたよっ」とボクは御馳走様とスプーンを置いた。
「笑ってろ。お前さん笑ってろ。お前さんの隣には、いつも誰か居ると思え」
「え…?」
「おっと、さ、帰ってくれ。早々に店じまいだ」
店主は皿をひくと、ボクを扉の外へ出した。
ービシャンっー ボクの背中で荒々しく戸が閉まり、驚いて目を瞑った。
びっくりしたぁ、瞑った目をそっと開け、戸の方を振り向く。
そこには白い砂浜と青い海が広がっている。
「海だぁ!」思わず叫ぶ。その声が海風に乗ってゆく。
ボクの隣で黄色い向日葵が笑ってる。
2020.08.09朝食風景