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銀河のサンマ

何でもあり

気まぐれなスイートポテト

2021-03-13 | 銀河食堂

 

霧雨がふり太陽が柔らかい朝。

少し寒いが、ボクは霧雨に太陽が好き。

でも霧雨をみていても、休みなのに仕事で頭がいっぱいになる。

んー…

「何を抱えこんどるんですと?」

ふっと重たい頭をあげると、ボクは古民家の中。

銀河食堂あらわれた。

「さ、林檎たっぷりのスイートポテトですたい。食べてみなっせ」

いただきます。ボクは静かに一礼し、一口。

「林檎が甘酸っぱくて溶けそうっ」

うんうん、と静かに老女の店主が微笑む。

「雪柳が満開ですなぁ」

食べながら、ボクは、そうなんだぁ、と考える。

「休みくらい、のんびりしてくなっせ。気まぐれ屋から、笑われますばい」

「え?」

ちょうど食べ終わった、ボクのスイートポテトのお皿をスッとひき

「さ、行ってくなっせ。たまには気まぐれな日を送りなっせ」

老女の店主が、徐に、髪に覆う白い三角巾をぬぐいとり、ボクの目の前に放った。

「ここは何処だろう…」

霧雨は無く、綺麗な青空がひろがっている。

ボクの横で雪柳が風に揺れる。

そっか、ボクは理解した。雪柳の花言葉は「気まぐれ屋」。

雪柳の香りを嗅ごうとすると、風に揺れ、ペチペチボクの顔を叩く。

嫌がられている気がしないでもない 苦笑。

あーぁ、ボクは雪柳のある芝生へ寝ころんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 昨日の残りの蒸し芋に、林檎2個と黒豆でスイートポテト。

 

 

 

 

 

 

 

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塩焼き鳥缶詰味御飯

2021-02-28 | 銀河食堂

春へ、あと一歩なのに、春の波にのれない僕。

低登山でも良いから、登って春のためにモチベーションを高めたい。

土を踏みしめて歩く登山靴。

肌寒いが山頂でクッキング開始。

無洗米を、ボクのお腹分だけクッカーにいれ

持ってきた塩焼き鳥の缶詰と、切って袋に詰めてきたエノキを入れる。

人参はワイルドにヘタまで入れて、白出汁と粉生姜を入れ、強火でガンガン炊き始める。

登山クッキングは、簡易理科的な楽しさがあり、ワクワクする。

木の棒で土に「低登山クッキング、日曜日も営業中」と書き、銀河食堂を真似てみる。

おっ、鍋が噴く、噴くっ。蓋をあけ混ぜて、火を止め10分待つ。

10分の一時、春の陽射しと風が、肩の緊張をほぐす。

春の波にのれたようだ。

ボクは、春になると何故か勇気がわく。

一呼吸一呼吸、丁寧に春をのむように深呼吸し、そしてクッカーの蓋をあける。

 

「あらー、イイじゃないっ」

「え!?」ボクは戸惑った。

ボクの前にズラリと銀河食堂を営む3人が立っている。

「景色も良いところですなぁ」と老女の店主。

「是非、アンタのご飯をいただきたいもんだ、ワハハハハハ」老爺の店主。

訳わからず、無言で頷き、ボクはご飯をよそう。

「あのー…何で此処がわかったのですか?」とそっと尋ねてみる。

「塩焼き鳥の缶詰で味ご飯とは、良いアイデアで」

ボクの質問を聞いちゃいない。

ボクも、ご飯を口へ入れてみる。

登山には、ちょうど良い味付けだと思う。

「ねえ、私も教えてね」と女将が、小さくウインクする。

小さいクッカーなので4人では少ないが、皆との御飯は、美味しい。

暫くして「ごちそうさま」

3人が声を揃え、お辞儀した。

「いやいやいやいや、そんなそんな…」ボクは慌てた。

「日曜日は程々に。明日からまた仕事でしょう」ニッコリ老女の店主が微笑んだ。

「またワシの所へ食べきない」老爺の店主が微笑む。

「ね?これは妄想?幻想?さぁ、帰るわ、現実に。登山は疲れたわ」

女将が少し寂しそうに微笑み、ボクが敷いていたストライプの布に一粒の涙を落とした。

「どうしたの?女将」

とボクが眉を歪ませた途端に、ボクは現実に戻っていた。

いや、最初から現実なのだ。

ボクは妄想低登山で春のモチベーションをあげたかっただけなのだから。

ボクは、テーブルの上のクッカーをみて驚いた。

食べた痕跡が4人分、たしかに残ってる。

ボクのどこまでが妄想?

 

 

 

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檸檬大根

2021-02-02 | 銀河食堂

 

 

ボクはネクタイをしている。

節分も勿論、仕事だからだ。

ネクタイや蝶ネクタイは好きだ。

COOL BIZも締めていたい方だ。

だが今日のボクは、ネクタイを緩めたい。

何故ならボクは風邪気味だから。

なんてネチネチ考えていたら

ーハックションっーボクは大きなくしゃみをする。

「おう、寒いから閉めない」

「ん?あれ?」

ボクは古い食堂に中にいる。

はっ!?銀河食堂あらわれる!

「早よ、座んない。小鉢だが檸檬大根だ」店主はボクの顔をみて、ニヤっとした。

箸をとり、一礼し、檸檬大根を一口。

後をひかない爽やかな味。

「檸檬はビタミンCがたっぷりだ。発汗作用もあるから風邪に効くと思うがな」

「…え?」

食べ終わるのを見計らって、店主がボクの胸ぐらを掴み立たせる。

ドキリとした心臓と同じタイミングで、箸を落とした。

店主は無言でボクのネクタイを締めなおし、一言。

「ワシがつくったから、もう治ってるさ。さ、仕事へ戻りな」

そうしてボクは店の外に出され、ピシャンと戸が閉まった音がした。

そぉっと店の方を振り返ると、ボクは信号待ちをしている。

寒い曇り空の節分。鼻は痛くない。

信号は青に変わり、ボクは歩く。

締めなおしてもらったネクタイに檸檬の香りが揺れる。

 

 

 

 

 

2021.1.23朝食風景

 

 

 

 

 

 

 

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サヴァ缶味御飯

2020-11-25 | 銀河食堂

 

 

「こんなのが流行ってるんですって」女が感心する。

「鯖の缶詰のパプリカ・・・チリソースじゃて」年の男が不思議そうに首を傾げる。

「ほぉ、洒落とりますなぁ」老女は深い息をする。

「味御飯にしてみましょうよ、御義父さんっ」女が笑顔でいうと

「これをかね?!」と年の男が女の方を向く。

「ほぉっ、洒落た、お御馳走になりましょうな」老女が微笑み頷く。

「生姜少し入れてみようかしら御母さん」

「ローリエと玉葱みじん切りを入れてみようかのう」

「少し和風にもして御義父さん」

「あいよ」

「あの子好き嫌い激しいものね」

「さ、火をつけますばい」

やがて土鍋が吹き、火を小さくし湯気がでて火を止める。

「わーっ。出来たわっ!御母さん!」

「成功したごとありますなぁ」

「お御馳走になりましたなぁ」

3人は土鍋を満足げに眺める。

「おや・・・空間が揺らぎはじめたな…」

「あの子の心の揺らぎだわ」

「さっ。銀河食堂の用意ですたい」

「ワシが今日は出ましょうか?」

「いえな、私が行きますたい」

「御義父さん!御母さん!私が行くわっ!じゃねー」女が手を振り瞬く間に2人の前から去った。

「あれまっ・・・」残されたふたりは顔を見合わせた。

そして、あの子の前が歪みだす。

ふふ、っと笑みをこぼし、女は木札を掲げる。

ー銀河食堂、虹蔵不見な期間も営業中ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ひじきカレー

2020-08-19 | 銀河食堂

 

靴の中に籠るアスファルトの輻射熱って熱い。

ついつい眉間に皺がはいる。

路面の熱い揺らめきなのか、ボクの足元がクラっとする。

「おいおいお前さん・・・」

目が覚めるとボクは椅子を並べた上で寝ていた。

「ひっくりコケんじゃないぞっ」

見覚えのある空間、聞き覚えのある声、久しぶりの古いココは銀河食堂。

「眉間に皺よせて、なに突っ立ってたんだ?」

「ボクは…」と言いかけ

「ほら、食べない」

店主はテーブルに、ひじきカレーを置いた。

ボクは、スプーンを手にし、一礼し、パクッとカレーを口へ運んだ。

「美味いかっ」店主の顔はパーッと輝きを放ち、ボクはウンウンと大きく頷く。

「隠し味に梅ジャムを入れたんだ」店主は嬉しそうに言う。

なるほど。口に運ぶカレーがすすむ。

「店主らしい味。元気がでたよっ」とボクは御馳走様とスプーンを置いた。

「笑ってろ。お前さん笑ってろ。お前さんの隣には、いつも誰か居ると思え」

「え…?」

「おっと、さ、帰ってくれ。早々に店じまいだ」

店主は皿をひくと、ボクを扉の外へ出した。

ービシャンっー ボクの背中で荒々しく戸が閉まり、驚いて目を瞑った。

びっくりしたぁ、瞑った目をそっと開け、戸の方を振り向く。

そこには白い砂浜と青い海が広がっている。

「海だぁ!」思わず叫ぶ。その声が海風に乗ってゆく。

ボクの隣で黄色い向日葵が笑ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020.08.09朝食風景

 

 

 

 

 

 

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