東京五輪以前の頃の話だと思いますが、オーブンレンジが普及していなかった日本に、米国の製菓会社が電機釜で作れる蒸しパンを売り込みに来たものの、いざ店頭に並べてみるとサッパリ・・・・
「白米を炊く電機釜で蒸しパンというのは何だか違和感がある」という主婦の一言がその謎を解くヒントとなったそうなのですが、かように日本の消費者の食に対する感覚は繊細であるという教訓を40年以上も前に得ていたにも関わらず、メリケンは全く不用意なことをしてくれたものです。まぁ、「謝罪しろ、賠償しろ、譲歩しろ」の三点セットを突きつけられるばかりの日本が、珍しく謝罪を受けた点は何だか新鮮で溜飲が下がるような気もしましたが・・・・
◆米国務副長官、良好な中日米関係を希望(人民日報)
◆日米中の歴史家で検証を 米国務副長官、記者団に(朝日)
◆歴史研究への米参加拒否 中国「北東アジアは特殊」(共同)
◆米国務副長官が親中派宣言?(日経)
クリントン政権時代にガタガタになった対日関係の建て直しがひと段落つき、対日・対中関係を等分に見れる人材との期待で抜擢された感もあるゼーリック国務副長官ですが、日本では在日米軍駐留経費の日本側負担に関する暫定協定へ署名し、予想通り日中関係も話題に上ったようです。
同副長官の訪中を巡っては、米国内でも様々な憶測を呼んでいるようですが、日本をないがしろにするような親中路線という危惧を抱く必要はないと思います。昨年9月の演説で「ステークホルダー」という言葉を用いて中国に「大国としての責任」を促す内容の演説を行ったゼーリック副長官ですが、直近の課題である北朝鮮やイランの核問題、対テロ、イスラム過激派対策等では米中協調が不可欠ですし、今年は中間選挙の年でもありますから、議会で沸騰必至な通商面での保護主義、対中強硬圧力を交わす役割も求められます。
ゼーリック副長官は演説の中で「閉ざされた政治が将来もずっと中国社会の姿となることはあり得ない。国民に信頼され、説明責任を伴った政府となるよう政治的な移行が必要である」という見解も示していましたが、共産党一党独裁体制の打破と民主化を最終的な帰結点に置いている点では昨秋のブッシュ大統領の演説と軌を一にするものです。
同副長官が中国の史観に対する疑義を指摘するとともに、日中間の歴史対話の仲介役を買って出てもよいといいと切り出したのも、日中関係の現状が米中協調の障害要因となることへの懸念からでしょうが、これに関しては難渋は必至でしょうね。総体的にはこの一年の米中関係は難しい舵取りが予想されるように思います。
◆米海軍戦力、太平洋にシフト・潜水艦の6割配備へ(日経)
昨年のペンタゴンの年次報告(記事)は発表時期の大幅な遅延やその内容から大変な論議の的となりましたが、太平洋の海軍戦力の比重拡大の方針は昨年夏にも報じられていた既定路線です。
今回の国防計画見直しに関しては、敵対国家の脅威を念頭に置いた従来の構成から、対テロと敵国を両睨みした米軍変革の方針に沿った内容となっているようで、対処すべき脅威については、(1)米本土への破壊的なテロ攻撃(破滅型)(2)通常のテロ行為(不規則型)(3)敵国の通常兵器による攻撃(4)米軍の任務を阻止しようとする試み(妨害型)の四つに細分化されているのだそうです。
日経朝刊によると、QDRでは中国を(4)の「妨害型脅威」と定義し、戦力的には米軍に遠く及ばないものの、中国軍がハイテク兵器を使って指揮系統を壊し、米軍の行動を妨害する危険性を指摘しているとのことでしたが、昨年台湾侵攻に関してこのパターンを予測していた記事も目にした記憶があります。戦略原潜の太平洋シフトは大きな抑止力となりますが、台湾と表裏一体の離島防衛に関しても、大規模な波状攻撃よりこれを警戒すべきなのかもしれません。
先日韓国のバン・ギムン外交通商相とライス国務長官は駐韓米軍の戦略的柔軟性問題に関する戦略会議を行い、韓国は共同声明を通じて「韓国は同盟国として米国の世界軍事戦力変化の論理を十分に理解し、駐韓米軍の戦略的柔軟性を尊重する」と発表しました。
在韓米軍の運用に関し、同盟国としては背信行為とも思えるようなゴネ方を韓国はしていましたが、日本も問題を先送りにしてきた米軍再編問題が待ったなしの段に来ています。
米軍基地の問題は、牛肉と同じく微妙なところも孕んでいますが、伊達や酔狂で日本に米軍基地が存在している訳ではありません。先日産経抄(産経)がその辺を痛烈に記していましたが、韓国の件は以て他山の石とせねばなりませんね・・・・
※写真・・・・パンダと戯れるゼーリック国務副長官
叩かれたりしたら痛そうなんですが・・・・
中共が説明責任を果たしたら、中共でなくなって
しまうような。(笑)
ゴルバチョフが民主化したことを、ロシアの政治家は誰も
評価しませんよね・・・。
このような形でプレッシャーを与え続けることは
大切ですね。
私も米国が謝罪するとは思ってもいなかったので、あれを見たときは驚くとともに感慨深いものを感じました。
ところで、こちらのブログを私のところでリンクさせていただきました。もし不都合があれば仰ってください。
それでは今後ともよろしくお願いします。
自分のblogを書き終えて、こちらに来てみたら、ゲーリック副長官のお話で、偶然話題が同じで驚きました。
ゲーリック副長官のステークホルダーを、中国での訳し方は変遷したようですが、利害を共有する関係者という対立する立場からの変化を表す関係と理解するものとなっているようですね。
「中国は何故反日になったか」の本に出てきますが、キッシンジャーの日本頭越し外交で有名な、そのときの米国と中国の対話がきっかけの一つとされています。
ゲーリック副長官の発言が、そこまでとは思いませんし、日本を無視したり排除しようというものでもないとは考えますが、「中国は何故反日になったか」の本のキッシンジャーを考えると、米国に甘えて頼り切るのではなく、自立したパートナーシップでのつきあいが必用と考えます。
まぁ、今はペンタゴンより声が通りやすい感もある国務省ですが、911以降の極東政策不在のツケである巨額の貿易赤字という厄介な問題をどう裁くか・・・・ゼーリック長官が上手く火消しできればよいのですが、議会で蜂の巣にされる可能性も高いと思います。
日本に関しては、在日米軍絡みのビハインドだけはヤバイネタですのでこれは予定通りにやって付け込まれないようにしておかないといけませんね。
まぁ、ちょっと国内問題でメリケンも大変そうですし、火の粉を被らないようにしたいものです。
その意味でも日米外交は抜かりなくやっておいて欲しいのですが。