新北九州空港をPRするチラシを下関で配っていたところ、「他県の縄張りにまで来るんじゃない!」と宇部空港を抱える山口県側が北九州市にクレームをつけた(毎日)のだそうです。
下関市と北九州市は、関門海峡の両岸で花火をやったり共同で観光誘致を行うなど普段は良好な関係なのですが・・・・この件でヒビが入らないよう「関門海峡の平和的解決」を望みたいところではあります。(そういえば麻生外相は福岡、安倍官房長官は下関だったりもしますね)
◆US warns Chen to stick to `status quo'(Taipei Times)
◆陳総統 「国家統一綱領の廃止や『台湾』での国連加盟を検討」(台湾週報)
◆台湾総統、中台統一政策の最高指針廃止を検討(讀賣)
◆陸委会「中国の脅威と圧力こそ両岸関係の不安定要因」(台湾週報)
◆統一綱領の廃止検討、背景に中国の軍拡…台湾閣僚 (讀賣)
陳水扁総統は春節の休暇中、台南市での会合の席で、本年度の目標として国家統一綱領の廃止や「台湾」の名義での国連加盟についての検討、今年中に新憲法草案が誕生することへの期待を述べましたが、これが予想通り各界の波紋を呼んでいるようです。台湾の英字紙(記事)では<US warns Chen to stick to ’status quo'>(合衆国、陳総統に「現状を維持するよう」警告)と報道されています。
<This time, the State Department focused on the need for better Taiwan-China dialogue, along with the maintenance of the status quo, apparently fearing that the elimination of the council and the unification guidelines could undermine prospects for such talks.>
(国家統一委員会と国家統一綱領の廃止が中台双方の対話の土台を崩すのを恐れた国務省は、今度は台湾海峡の現状維持とともに望ましい中台双方の対話の必要性を力説した)
国務省のエレリー副報道官は「一つの中国」政策と「三つの上海コミュケ」に基づく合衆国の立場と「どちらの側からの現状変更にも反対」する旨を教理問答のように繰り返していますが、台湾紙によると、新憲法制定への期待を述べた元旦の談話は事前に国務省に原稿を渡していたようです。今回は事前協議はなされなかった模様ですが、「懸念」というニュアンスであれ「警告」であれ、ワシントンが台北を諌めている事実には変わりません。
国家統一綱領(国家統一委員会)の廃止は法理的に統一という選択肢を排除するものですが、陳総統が独立に向けた動きをおこしかねないというよりも、北京を刺激しかねないという懸念の方が強く感じられるブリーフィングです。
台湾紙は淡々とした記述の中にも〝Knuckle-rapping〟(拳骨で叩く行為)と記していますが、特に00年以降の経緯を見ると、ワシントンが力技で台北を押さえ込むような言動が目立つ印象を受けます。法理的に台湾攻撃の根拠を与える「反国家分裂法」を制定し、異常なペースでの軍拡に勤しみ、「台湾海峡の現状」を刺激しているのは北京の側であり、台湾側としては大いに不満を抱くのは当然のことではなかろうかと思います。
ワシントンと台北双方の「現状」の捉え方にも相当な思惑の違いがありますが、恐らくワシントンのいう「現状」というのは、陳水扁総統が就任時に打ち出した「四不一没有」の公約、即ち、(1)独立宣言をしない(2)国号変更を行わない(3)二国論を憲法に書き込まない(4)独立を問う住民投票を行わない(5)国家統一綱領を廃止しないというものなのでしょう。新憲法制定への期待について表明した陳総統の談話に関して国務省が取り立てて過敏に反応しなかったのは、前述の公約の範囲内であれば問題ないという解釈であり、国家統一綱領の廃止は「公約違反」ということになります。(私は「陰謀論」というのは好まないのですが、この「四不一没有」の公約というのはメリケンが陳総統に押し付けたものではないかという気もいたしました)
先日のブッシュ大統領の「一般教書演説」は、税制改革等の具体性を欠き、求心力の低下が否めない印象を受けましたが、大統領の残りの任期中の具体的な(外交)成果ということに関しては、イラク・中東地域にオーバーウェイトする方向で進むのではないかという気がいたしました。同じ核問題に関しても、安保理付託には消極的な北朝鮮とイランというコントラストが見えますが、イスラエル・パレスチナ問題も含め、イラクの周辺には気を配らざるを得ない。一方北朝鮮の核はさしあたって米本土に直接の危害を及ぼすわけでもぶわけでもないので適当にお茶を濁しておこうという感じなのかもしれません。
そのためには米中協調路線が大前提となりますが、拉致の問題も含め、日本にとっても隔靴掻痒たる状況が続きかねない懸念を抱きますね。
民主主義国対一党独裁国家が台湾海峡の両岸に相対している「現状」で、合衆国が「独裁国家をあまり刺激するな」と民主主義国家に対して注文をつけている状況は何とも滑稽ですが、
<"We think it is important that both sides engage in dialogue and ... I want to underscore this: the United States opposes any unilateral change in the status quo by either side," he said.>
(「我々としては、両岸が対話を行うことが重要であると考えておりますし、この点を協調したいのですが、合衆国はどちらの側からの現状の一方的変更に対しては反対であるということです」)
「台湾海峡の平和的解決」という日米安保の共通戦略目標も、では具体的にどうエンゲージメントしていくかということに関しては「両岸でよく話し合え」というメッセージを発するだけに過ぎないのかもしれません。(実際メリケンはそれしか言っていませんし・・・・)米軍再編がらみで太平洋への戦力シフトを行うのは有事対応を見据えた抑止力にはなりますが、それが根本的な解決に結びつかないのは自明の理でもあります。
先日のパレスチナの選挙でハマス圧勝の報を受けたライス国務長官は、泡食って「何でこういう事態が予想できなかったのか」と国務省の面々を問い詰めたそうです。08年の台湾で似たようなことが起きないといいんですが・・・・
※写真・・・・関門海峡
晴れた日は壮観です。
下関市と北九州市は、関門海峡の両岸で花火をやったり共同で観光誘致を行うなど普段は良好な関係なのですが・・・・この件でヒビが入らないよう「関門海峡の平和的解決」を望みたいところではあります。(そういえば麻生外相は福岡、安倍官房長官は下関だったりもしますね)
◆US warns Chen to stick to `status quo'(Taipei Times)
◆陳総統 「国家統一綱領の廃止や『台湾』での国連加盟を検討」(台湾週報)
◆台湾総統、中台統一政策の最高指針廃止を検討(讀賣)
◆陸委会「中国の脅威と圧力こそ両岸関係の不安定要因」(台湾週報)
◆統一綱領の廃止検討、背景に中国の軍拡…台湾閣僚 (讀賣)
陳水扁総統は春節の休暇中、台南市での会合の席で、本年度の目標として国家統一綱領の廃止や「台湾」の名義での国連加盟についての検討、今年中に新憲法草案が誕生することへの期待を述べましたが、これが予想通り各界の波紋を呼んでいるようです。台湾の英字紙(記事)では<US warns Chen to stick to ’status quo'>(合衆国、陳総統に「現状を維持するよう」警告)と報道されています。
<This time, the State Department focused on the need for better Taiwan-China dialogue, along with the maintenance of the status quo, apparently fearing that the elimination of the council and the unification guidelines could undermine prospects for such talks.>
(国家統一委員会と国家統一綱領の廃止が中台双方の対話の土台を崩すのを恐れた国務省は、今度は台湾海峡の現状維持とともに望ましい中台双方の対話の必要性を力説した)
国務省のエレリー副報道官は「一つの中国」政策と「三つの上海コミュケ」に基づく合衆国の立場と「どちらの側からの現状変更にも反対」する旨を教理問答のように繰り返していますが、台湾紙によると、新憲法制定への期待を述べた元旦の談話は事前に国務省に原稿を渡していたようです。今回は事前協議はなされなかった模様ですが、「懸念」というニュアンスであれ「警告」であれ、ワシントンが台北を諌めている事実には変わりません。
国家統一綱領(国家統一委員会)の廃止は法理的に統一という選択肢を排除するものですが、陳総統が独立に向けた動きをおこしかねないというよりも、北京を刺激しかねないという懸念の方が強く感じられるブリーフィングです。
台湾紙は淡々とした記述の中にも〝Knuckle-rapping〟(拳骨で叩く行為)と記していますが、特に00年以降の経緯を見ると、ワシントンが力技で台北を押さえ込むような言動が目立つ印象を受けます。法理的に台湾攻撃の根拠を与える「反国家分裂法」を制定し、異常なペースでの軍拡に勤しみ、「台湾海峡の現状」を刺激しているのは北京の側であり、台湾側としては大いに不満を抱くのは当然のことではなかろうかと思います。
ワシントンと台北双方の「現状」の捉え方にも相当な思惑の違いがありますが、恐らくワシントンのいう「現状」というのは、陳水扁総統が就任時に打ち出した「四不一没有」の公約、即ち、(1)独立宣言をしない(2)国号変更を行わない(3)二国論を憲法に書き込まない(4)独立を問う住民投票を行わない(5)国家統一綱領を廃止しないというものなのでしょう。新憲法制定への期待について表明した陳総統の談話に関して国務省が取り立てて過敏に反応しなかったのは、前述の公約の範囲内であれば問題ないという解釈であり、国家統一綱領の廃止は「公約違反」ということになります。(私は「陰謀論」というのは好まないのですが、この「四不一没有」の公約というのはメリケンが陳総統に押し付けたものではないかという気もいたしました)
先日のブッシュ大統領の「一般教書演説」は、税制改革等の具体性を欠き、求心力の低下が否めない印象を受けましたが、大統領の残りの任期中の具体的な(外交)成果ということに関しては、イラク・中東地域にオーバーウェイトする方向で進むのではないかという気がいたしました。同じ核問題に関しても、安保理付託には消極的な北朝鮮とイランというコントラストが見えますが、イスラエル・パレスチナ問題も含め、イラクの周辺には気を配らざるを得ない。一方北朝鮮の核はさしあたって米本土に直接の危害を及ぼすわけでもぶわけでもないので適当にお茶を濁しておこうという感じなのかもしれません。
そのためには米中協調路線が大前提となりますが、拉致の問題も含め、日本にとっても隔靴掻痒たる状況が続きかねない懸念を抱きますね。
民主主義国対一党独裁国家が台湾海峡の両岸に相対している「現状」で、合衆国が「独裁国家をあまり刺激するな」と民主主義国家に対して注文をつけている状況は何とも滑稽ですが、
<"We think it is important that both sides engage in dialogue and ... I want to underscore this: the United States opposes any unilateral change in the status quo by either side," he said.>
(「我々としては、両岸が対話を行うことが重要であると考えておりますし、この点を協調したいのですが、合衆国はどちらの側からの現状の一方的変更に対しては反対であるということです」)
「台湾海峡の平和的解決」という日米安保の共通戦略目標も、では具体的にどうエンゲージメントしていくかということに関しては「両岸でよく話し合え」というメッセージを発するだけに過ぎないのかもしれません。(実際メリケンはそれしか言っていませんし・・・・)米軍再編がらみで太平洋への戦力シフトを行うのは有事対応を見据えた抑止力にはなりますが、それが根本的な解決に結びつかないのは自明の理でもあります。
先日のパレスチナの選挙でハマス圧勝の報を受けたライス国務長官は、泡食って「何でこういう事態が予想できなかったのか」と国務省の面々を問い詰めたそうです。08年の台湾で似たようなことが起きないといいんですが・・・・
※写真・・・・関門海峡
晴れた日は壮観です。
最新版のQDRの概要を見るとやはり中国の脅威を全面に打ち出しているので方向性は決まっているのでしょう。台湾も率先して米国の世界戦略の一部を担うようにするのが安全を保つ最善の策です。軍事的に、見捨てたくても見捨てられないような重要な存在になるべきかと思います。これは人様の国のこともさることながら我が国自身に当てはまることでもありますが。
それから4不1没有は、米国側が押し付けたものであることははっきりています。00年の陳総統就任演説原稿では事前になかったものが、AITが無理やり入れさせたもの。
また、イラク戦争開戦のときも総統府、行政院、民進党に、反対しないようにしつこく圧力をかけた。民進党は反対しそうだったからね。おかげで反対しなかったが、日韓比あたりと比べたら妙に弱いトーンで消極的だった。
米国がこんなくだらない中国寄りの対応をしていると、台湾で若者を中心に出てきている嫌米感情に火をつけることになりかねないよ。
南米や欧州や韓国で嫌われているくせに、またも反米国家を増やしたいのかね(苦笑)。
もし台湾が反米になって、「むしろ中国のほうがいいかも」と思ったら、米国は後悔しても遅いのだよ。
>最新版のQDRの概要を見るとやはり中国の脅威を全面に打ち出しているので方向性は決まっているのでしょう。台湾も率先して米国の世界戦略の一部を担うようにするのが安全を保つ最善の策です
>
それは、米国が南米やアジアなどの「庭」を確保していた昔なら通用した米国第一主義の発想でしょう。
南米であれだけ反米政権ができた今となっては、米国は世界から孤立化しつつある。
ここで台湾の重要性についてちゃんと認識できず、いまだに「一つの中国」などというキッシンジャーがでっち上げた神話に固執しているのは、頭が悪いとしか言いようがない。
米国はイラクの失敗に続いて、台湾についても失敗しようとしているのか?
極東情勢については、中東と同様に、あまりにも鈍感で、ずれていると思う。
日本は米国と喧嘩してでも、台湾を守ることを鮮明にしていく必要があるだろう。
米国はまさか台湾は反米にならないだろうし、台湾が中国に取られることはないと、タカをくくっているのではないか?
どうもアジアの情勢変化を正しく認識できていないような気がする。
まあいい。米国がそのつもりなら、台湾も第二の韓国になるだけのことだ。
別にね、台湾人の庶民にとっては、また中国になろうがどうだっていいことなんだよ。
そうなったら、米国のほうが損失が大きいくせに、また米国こそが台湾のいまの曖昧な状態を作り出した張本人のくせに、米国がそうやって台湾人をバカにするなら、台湾人は「米国人なんかよりは、同じ肌の色の中国人」を選ぶかもしれないってこと。
「まさか」と思うかもしれないが、10年前までは米国に忠実だった南米が、ブッシュ政権になってから、あれだけ反米になったことを考えれば、ありうる話。
そのために、どれだけの軍事支出が必要になるの?
ただでさえ、一人あたりGDPが15年もボックス圏にあってぜんぜん上昇していない台湾が、それだけの軍事支出に耐えられると思っているの?しかも、そうしたところで、米国の気まぐれで冷酷な戦略にあっては、単なる駒になることみえみえ。
大体ね、台湾は何を悪いことしたっていうの?
中国から独立しているのは米国が勝手にそうしたからでしょう?まあそれはそれで台湾人の利益にもなっているんだが、米国が切り離しておいて、いまさら「独立は反対」?だったら、台湾人はそんな米国のために何を犠牲になれというの?
いったい、台湾のこと、あなたは何だと思っているわけ?
>軍事的に、見捨てたくても見捨てられないような重要な存在になるべきかと思います。
そんなものはイスラエルしかないんじゃないの?米国にとって。
米国はイスラエルのためなら、台湾だろうが日本だって売り渡すだろうからな。
要するに、中国と同じで「自分のいうことを聞くかどうか」が問題で、民主主義なんてどうでもいいんだよ、米国は。いや、むしろ民主主義というのは米国のいいなりにならないことが多いわけだから、米国はある国が民主化すればするほど、その国をいじめるようになる。台湾しかり、韓国しかり。米国は民主主義の敵です。
>軍事的に、見捨てたくても見捨てられないような重要な存在
台湾関係法が制定された79年の台湾は国府の一党独裁下、ベトナム撤収後のドミノ赤化防止と申しますか、「反共防波堤」という典型的な冷戦時代の思考パターンですよね。
台湾を対中牽制の防波堤としつつ、武器を売って儲けるというご都合主義的な思惑も見え隠れします。(汗)
>今回も事前協議はしています。米国がしらばっくれているだけ。
それから4不1没有は、米国側が押し付けたものであることははっきりています。
なるほどですねぇ!それなら辻褄が合います。
>米国がこんなくだらない中国寄りの対応をしていると、台湾で若者を中心に出てきている嫌米感情に火をつけることになりかねないよ。
私も「打倒美帝」の声が上がってかえって困った事態になるように思いました。
まさに〝Knuckle-rapping〟という行為そのもので、陳総統にしてみれば合衆国という目の上のタンコブに割りを食った部分は相当大きいと同情を禁じえません。
そもそも、合衆国の極東政策は大体に於いて失敗している(日本の占領政策とその後くらいか?)んですよね。
まぁ、ちょっと一般教書演説やこのところの動向を見る限りでは台湾海峡政策への積極的な関与は期待できそうにないですね。
私自身も日本はぼんやりしている場合ではないと思います。
>「一つの中国」などというキッシンジャーがでっち上げた神話
>に固執しているのは、頭が悪いとしか言いようがない。
>日本は米国と喧嘩してでも、台湾を守ることを鮮明にしていく
>必要があるだろう。
このあたり、全くその通りだと思いますね。「一つの中国」政策を放棄するどころか、逆に、例えば公民投票にまで内政干渉したなんてのは、いくら米国中心主義(?)の私でも、首を傾げざるを得ないですな。キッシンジャーは中共から金もらってるから如何ともしがたいとして…。