所謂「アーミテージレポート」には、日本経済が「失われた10年」から脱却し、長期的な健全性を取り戻すためには、日本の政治家が実行したがらなかった短期的な犠牲を伴う大胆な改革が不可欠だと記されていました。
「痛みの伴う聖域なき構造改革」「改革なくして成長なし」を標榜し、三年間の零成長の忍従を説いた発足当初の小泉内閣でしたが、当初掲げた改革目標の多くは<抵抗勢力>の存在や景気動向等で先送りや頓挫を余儀なくされました。その間首相は金融機関の不良債権処理に力を注ぎましたが、企業のリストラも進んだこともあって、ようやく景気回復基調が鮮明となりました。
好機到来とばかりに積年の目標である郵政民営化で乾坤一擲の勝負に勝利した首相は、「郵政は改革の本丸」という言葉のとおり、その余勢を駆るが如く医療制度改革(私自身の専門領域としてはこれは目を見張りますね!)や政府系金融機関の統廃合、所謂三位一体の構造改革も鮮やかに急展開させ、日経平均も就任当初を凌駕する一万五千円の大台を突破しました。
これは民間に続く公的分野のリストラに市場が好反応を示したという向きが大きいのでしょう。
勿論、小泉内閣が徹頭徹尾百点満点ということではありません。例えば皇室の問題等は十分な論議が必要であり、改革という錦の御旗の元に性急な結論を急ぐべきではないと思いますが、総体的には、日本の転換期の舵取りを行った内閣の功績として余りあるものがあったと後年評価されるのではないでしょうか。(11年前のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会の際に小泉氏は私の後ろの席にひっそりと座っていましたが、まさか首相になろうとは思いもよりませんでしたね)
◆日韓外相会談見送りか 東アジアサミットの場で(共同)
◆靖国問題は外交カードにならない=日中韓首脳会談延期で小泉首相(朝日)
◆小泉首相、イスラエル・パレスチナを来月訪問(日経)
◆麻生外相、印パ訪問調整 来年1月上旬(産経)
◆中国:日中「政冷」で日本のインド歩み寄りに警戒[中国情報局]
「内政では大きな実績を残したものの、外交面では課題を残した」と「外交面では課題も残したが、内政面での実績は余りあるものがあった」では大きく印象が異なります。
「中韓両国との首脳、外相交流の中断は両国関係修復の機会を当面失うことになり、日中、日韓関係は一層厳しい状況に追い込まれそうだ」等と共同は書いていますが、日本が一方的に悪く、日中・日韓関係の悪化で日本沈没といわんばかりに針小棒大に騒ぐマスコミにはいい加減辟易します。日本叩きの材料として用いてきた靖国云々の外交カードを無効化しようという首相流のしたたかな戦略にエールを送るという発想はみじんもないのでしょうか。中韓両国も掛け値なしの<抵抗勢力>であり、いたずらに宥和的な態度で擦り寄るのは百害あって一利なしというのはこれまでの歴史で散々証明されていることです。
現時点では中韓を多少「泳がせておく」方が賢明でしょう。先日の日経朝刊のインド大特集記事(記事)に対する中国側の反応(「警戒」ってあんたねぇ・・・・)には中国側のホンネが透けて見えるようで興味深いですね。韓国にしても、外交通商部と青瓦台との間には温度差があるように思います。多少じらして相手の出方を見てから善後策を検討しても遅きに失することはありません。むしろこの両国に対しては、これまでが「急いては事を仕損じる」を地で行っていたような顛末だったというべきでしょう。
中韓両国と一緒になって騒ぐのではなく、猫研究員様(超特選ブログ)が指摘されているように、東アジアサミットでの首相の基調演説の骨子から今後の日本の展望について考察する方が遙かに有意義ですし、中東和平に意欲を見せる首相や、新春早々の印パ両国訪問を視野に入れている麻生外相の動向等からも、戦略的な「何か」を読み取ることが出来るのではないでしょうか。
麻生外相は就任会見で、「ライバルはマスコミ」といった趣旨のことを述べていましたが、国内に残る<抵抗勢力>がマスコミであるという現状認識は慧眼だなと苦笑してしまいます。
◆首相、NHK改革の必要性を明言(日経)
◆ユーミン紅白は上海から中継出演(日刊スポーツ)
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『一九六〇年頃、NHKは盛んに東南アジア向けに日本語放送を流していた。台湾人の中にはその放送を聞いている人が少なからずいて、町を歩いているとよく家の中から日本語放送と日本の歌が聞こえてくることがあった。懐かしい「七つの子」の童謡のコールサインで始まる日本語放送は、私の郷愁をかき立て、私は毎日熱心に聞いていた」
「四十数年来、国民党政権はファシスト独裁と教職員、マスコミを利用して国民を騙すことにより、その政権を維持してきたのである。それゆえ、心ある台湾人の多くは毎日、NHKの衛星放送を見て、台湾のテレビを見ない。台湾にはテレビ局が三局しかない(※80年代当時)のに、どの新聞を見ても、テレビ番組欄は五つある。二つはNHKの衛星第一放送と第二放送なのだ。NHKの衛星放送の番組を載せなければ新聞が売れないのである」(『台湾監獄島』柯旗化著)
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日本の放送文化のみならず、海外にも大きな足跡を残したNHKの一連の不祥事も全く残念ではありました。NHKに関しては、大胆な改革が不可欠なのは異論のないところでしょう。
私自身は紅白自体に特段の思い入れはありませんが、今年は司会がみのもんたで、ユーミンが上海から中継・・・・ユーミンといえば苗場と申しますか、「あの頃の東銀+三菱+三和+東海=三菱UFJだもんなぁ・・・・」と何だか隔世の感もいたしますね。
まぁ、ミュージシャンというのは夢を売る浮世離れした商売ですから、「アジアは1つ」という彼女のメッセージにいちゃもんつけるのはやめておきますが、年の瀬に上海から日中友好というのもかなり無理な演出のような気もしますね。衛星生中継でリアルに反日暴動の姿が年の瀬のお茶の間に届けばそれはそれで面白いですが・・・・
総体的にはマスコミに振り回されたこの一年だったように思います。
※写真・・・・都市再生本部であいさつする小泉首相(中央)。左隣は北側国交相=首相官邸で6日午前10時53分(毎日)
「日本におけるドイツ年05」も明日の北ドイツ放送交響楽団で私は「仕事納め」です・・・・
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「おいておく」といいましたが、やはり一言。「日中、日韓関係は一層厳しい状況に追い込まれそうだ」って、関係が厳しくなって困るのは、彼らの大好きな大陸の国々なんだから、本当にかの国々にシンパシーを感じているならば「もうおやめなさい」と忠告してやるのが友情(?)ってもんでしょうに…。日本のマスコミが煽るもんだから、彼らもむしろ迷惑してるのかもしれません。
・・・・と、いうことで事後承諾恐れ入ります!(礼)
今年は岡山まで聴きに行きましたが、ウィーン・フィルは腐れ縁で毎年聴いておりますねぇ。94年にショルティと来日した時はまだ大学生でしたなぁ。(涙)
私が1Fの14列で小泉さんは15列でしたけど、「後輩なんでサインくださいよ」と言ってプログラムに書いてもらいました。その後ホテルオークラに指揮者のサイン貰いに行きましたが、この手の馬鹿話は山ほどありますねぇ。
雑談用雑記帳でも作ろうかしら?(爆)