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自治会の在り方④

2022-07-14 23:15:26 | 地域から学ぶ

自治会の在り方③より

 第2回会則改定委員会において、自治会長から示された2点の「対策案」のもうひとつは「隣組」とことである。高齢者の組長を免除する、という案である。実はわたしの属している隣組では、数年前高齢者の方に組長が回りそうな際に免除が提案されて了解いただいていた。これを自治会が指示することが適正かどうかには議論されるべきものがあるが、それは、そもそも隣組は自治会の「配下」か、という問いになるだろう。以前にも隣組については何度となく触れてきたが、自治会が組織されたから隣組も組織されたというものではない。「五伍の法則」で述べたとおり、明治7年に筑摩県が出した通達に「五伍の法則」というものがあった。もちろん当時自治会などというものがあったわけではない。自治会については戦中に設けられた統率組織といったものだ。それは戦後廃止されたにもかかわらず、地域では根強く残されてきた。繰り返すが自治体が設けたものでもない。ところが地方自治法の改正に伴って「地縁団体」というものが認可団体と位置付けられてからというもの、全国でこの地縁団体が正規な団体として登録されてきた。そのまま自治体の認めた団体、と捉えることはできても、実際に運用している側が自治体の言いなりになるというものでもなく、古くから伝承されてきたものも息づいていることは確か。そもそもある地域の相互扶助的組織には、認可団体の規約から外れるような内容も含まれている。それをどう認可時に解消していくというところで、地域は悩んできたはずだ。それを継続させるためらは「認可」の部分とそうでない部分を両立する必要もあっただろう。もちろん地縁団体を認可されるために組織した団体には、そういう苦労はなかっただろうが…。

 ということで、隣組は認可団体ではない。あくまでも自治会を運用していく際に、昔からある隣組を利用しているに過ぎない。昔の「五伍の法則」がそのまま活きているわけでもない。まさに民俗社会で人々が伝承的に継続してきた組織にすぎない。それを自治組織が利用することによって、隣組も自治会の配下にあるかのように錯覚している人は多いかもしれないが。したがって本来なら次回側から隣組に向けて「免除」をするようにと文書化するのはどうかと、わたしは思う。あくまでも隣組内の問題であるわけだ。もちろん促すことに異論はないが、そもそもそうした配慮ができない、あるいは現状を自己認識できない隣組があるとしたら、そもそも隣組とは何かを学んでほしいとも思う。

 この提案は自治会を脱退したからイコール隣組も脱退、という認識があることへの提言でもある。隣組は自治会の配下ではない、という事実と、そもそも隣組の一員であることがそのまま上部組織(区とか氏子組織)と関連付けられている事実にも問題があると意見させてもらったが、このあたりの整理をして自治会内で共通認識を持つ必要性は高いとわたしは思う。そのうえで隣組は自治会の配下だというのなら、それでも良い。しかし、そもそもの問題の所在である自治会から脱退するのはなぜか、という問題解決には至らないとも思う。あくまでも隣組は隣組を組んでいる限定された地域内での相互の意識によるところに任せてほしい。

続く


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