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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

高校入試前期選抜から

2007-02-15 07:46:56 | ひとから学ぶ
 昨日は、県立高校の前期選抜の合格者発表の日であった。試験日は2/5だったわけだが、翌日の地元新聞でも前期選抜試験のことに触れて、成績重視が顕著になってきていると報じていた。自己推薦型といわれる入試制度が始まって3年。当初は制度の様子見のところもあって、自己推薦だからたくさんの子どもたちが、ある意味では「いちかばちか」といった雰囲気で前期選抜試験に挑んだものだ。ごたぶんに漏れず、姪がそのはじめての前期選抜に挑んで撃沈した。様子もわからない、不合格者も多い、ということもあって、そこそこ姪も納得はできたのかもしれないが、やはり〝落ちる〟ということは応えたに違いない。選択する高校側の視点は、しだいに成績重視を前面に出してきている。だから受験する高校のレベルによってどの程度の成績が選抜目安になるかは解ってきているはずである。形ばかりというと異論もあるだろうが、前期選抜は多くの学校は面接が中心となる。それも10分程度というのだから、その時間内で選抜の評価をすることはおそらく不可能だろう。とすれば、成績重視といっているのだから、ますます番狂わせなんてない。それを受験する子どもたちも、また父兄も、どう捉えるかである。

 マル秘と言われる合格目安の一覧が、教員たちの間にはあるという。数年この入試制度が行なわれているから、傾向はほぼ解っている。噂によれば、ほとんど予想通りに成績順に上位から選抜されるという。成績のほかにも学校での活動なども評価に上がるようだが、年を追うごとに成績の方に重みがきているようだ。むしろ資格など方が選抜の評価点を上げるともいう。それほど予想通りというのなら、無理して受験して不合格になるのは「得策」かと問われる。

 さて、今年は息子がその前期選抜に挑んだ。中学に入った当時から評定が入試の時に大事になると言っていたこともあって、そこそこがんばってはいた。ところが、今までにも何度か触れてきているように、中体連が終わった後に、「駅伝をやる」といって受験勉強から逃げに入った。主力は駅伝で進学できるが、補欠の補欠ではそんな美味い話には乗れない。そうこうしているうちに、年末に近くなると、練習の疲れか肺炎にかかって長期に学校を休んだ。自業自得といえばその通りなのだが、本人はどこまでその状況を把握していたか、受験に向かって下降気味の生活が、挫折の前触れかと思わせるほどだった。本人はそんなこともあって、不合格でも仕方ない、あるいは「いいよ、また後期で受けるから」とさばさばしたものだった。そんな顔を見ていたから、「落ちてもあたりまえか・・・」程度にわたしも思えるようになって、発表の日とはいえ、気にもしていなかった。しかしである。わたしと同じような受験生を抱えている同僚がいて、発表の時間になるとそわそわしているのを感じとったわけだ。「そうはいっても、落ちるというのはいいものじゃない」と、わたしにも雰囲気が伝わってくる。高校のHPにアクセスしても通じないということは認識していた。その通り、時おりアクセスしてはみるが開かれることはない。

 午後1時の発表で、学校にも連絡があるというが、授業日ということもあって、子どもたちに知らされるのは下校時以降である。妻が言うには、息子が帰ってくるまで結果を知ろうとはしなかったようだ。ふだんの妻からすれば、ずいぶん落ち着いたものだ。気にもしていなかったわたしの方が落ち着きがなかったかもしれない。受験番号が公表されるから、隣近所の番号の様子がわかる。かろうじてだと思うが、息子の番号はあった。帰宅した息子は、下校後であったが、合否が解るほど落ち込んでいる友だちの姿を目にしたという。どんなに落ちると言われて予想していたとしても、やはり、つらい報告である。担任によっては、合否ラインを認識しているかしていないか知らないが、ほとんど指導しない先生もいるという。「きっと無理かもしれない」と言われればまだしも、何も言われずに挑むのもつらいものがある。こういう制度でやるからには、内申点を受ける子どもたちには公表するべきではないか、そんなことを思う。でなければ「なぜ落ちたんだろう」と悩み、10日ほど後の後期選抜締め切りまでに心の整理ができない子どももいるはずだ。

 挫折することも試練、と息子には言うつもりだった。それをきっかけにもっとがんばる子どもたちいるだろうから、前期に合格すれば良いというものでもない。ただ、多くの子どもたちは不合格から一転して次の目標をしっかり見据えることは、なかなか簡単ではないはずである。制度が悪いのか、それとも無理をして受けないように指導するべきなのか・・・。

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