Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

柿の収穫

2005-11-01 08:13:28 | 農村環境
 干し柿用の柿を採る時期になった。ところが、ここ数年、柿を採ってから雨が降ったり暖かかったりと、なかなかうまくできない。そんな状況を予測したように数年前、中国の干し柿が入ってくるのでは、という心配もあって値下がりが心配されたが、今のところまだ大丈夫のようである。とはいえ、東京あたりには中国産の干し柿は以前より姿を現しているようである。伊那谷の南部では「市田柿」という柿を生産して、干し柿として出している。いまごろになると、農家の軒に吊るされた柿が透き通るような黄色を見せて、人々の目を奪う。すでに柿を採り始めている農家があるが、こうした天候のようすをみながらの柿採りである。大規模に出荷する家では、予冷庫に保存しておいて、寒くなってから皮をむいて干す。それならカビが出る心配はないし、柿を剥くのもあわてることはない。いっぽう規模が小さい農家は、保存がきかないから、いろいろ工夫はするが、カビが出てしまう。とくに、手で回すタイプの柿剥き機や、電動でも柿を鉄の串に刺して皮を剥く場合は、その刺し傷からカビがでるケースが多い。カビが出ていないと思っていても、割ってみると、刺し傷にカビが出ている。けっこう知らずに出荷するケースもある。
 わたしも数年前、インターネットで注文された方に送ってみたが、ちょうどカビが出て騒ぎになっている年で、送った先からカビではないかと問い合わせを受けた。送り返すので見てほしいということであったが、暖かい地域に送ったものだから、日もたっていれば当然カビが出ている可能性があった。返送せずに捨ててください連絡し、再度送ることにした。すでにすべてを送って手元には傷物しか残っておらず、仕方なく、他の生産者から分けてもらって再度送ったという苦い思いがある。規模は小さいし、贈答用に作っている程度なので、天候が不順となれば、無理してたくさん作っても仕方がない、という話になる。
 とりあえず小さな予冷庫へ少し保存しておき、あとは天候をみながらの勝負である。平均気温が少しくらい上がったといってもそれほど影響がないような気がするが、カビの出やすい環境というのは、微妙なものなのかもしれない。数年前のある年は、本当に大方の農家がカビが出てしまった。カビを取り除いて食べれば食べられるのだが、出荷はできない。値がよいこともあって、年寄りにとってはよい収入源にもなるはずが、こんなところにも厳しい状況があって、毎年頭を抱えている。
 写真はもう6年くらい前のものであるが、これは電動で串刺しにして皮を剥く機械である。息子がまだ小学校へ入ったばかりのころのものである。このころは、よく農作業を手伝ってくれたものだが、今は部活三昧である。
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