Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

棟に立つ幣束

2006-04-03 08:00:17 | 民俗学
 何度か中条村を訪れているうちに、長野市七二会から中条村までの間で何軒か屋根の上に幣束が立つ家があることに気がついた。七二会あたりではトタン屋根の棟の中央に1本の幣束が立ち、中条村あたりでは2本の幣束と中央に剣が立つタイプである。いったい何なのだろうと思っていたが、すべての家にそれがあるわけではない。新しい家にはないのはもちろんだが、古そうな家でもあったりなかったりである。
 
 中条村でもう少し気にかけてみてみると、萱葺き屋根にトタンを覆った屋根にそうした姿が目立つ。だからといってやはりすべてではないのだ。先日長野市の県庁裏を流れる裾花川をさかのぼって旧鬼無里村で用事を済ませ、鬼無里から小川村へ峠越えをして中条村を経て帰ってきた。鬼無里あたりでもそうした家が何軒か見られたが、小川や中条ほどではない。そして小川村から中条村にかけてはたくさん見ることができる。写真は中条村の小川村境の家にあったもので立派なものである。だいたいはトタンで幣束が作られている。幣束1本だけという家も何軒かあった。

 帰宅して『長野県史 民俗編』の資料編で確認してみたが、どうも触れられた文はない。鬼無里から小川、中条ということで、虫倉山系の総合調査報告書『むしくら』を開いてみたが、住居に関する記述は皆無だ。上棟の際の幣束は、屋根裏に立てられることが一般的だが、この屋根に立っている幣束もそれらに似ている。記述されたものがあるだろうと、聞き取りもしてこなかったが、今度訪れた際に、意味を聞いてこようと思う。

コメント    この記事についてブログを書く
« 長持唄 | トップ | 図書館のはなし »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

民俗学」カテゴリの最新記事