「演劇界」(1979年・S54年9月号)より引用
関西劇信
勉強芝居に挑む人々
大鋸時生
梅田コマ
天知茂公演
TVで放映中の『雲霧仁左衛門』(池波正太郎原作)を主演の天知茂が、劇化上演した。例によって誠実な舞台ぶりは快い。それを御木本伸介(兄蔵之助)、北町嘉朗(捕方の長官・安藤式部)らが例によって、よく主演者をかばいつづけていた。ストオリィは上層部の圧力から自決をせまられた兄をかばい浪人となった雲霧仁左衛門が、天下を騒がす大義賊となる物語だが、林成年(木鼠の吉五郎)、カルーセル麻紀(因果小僧六之助)、東てる美(おみつ)らの部下ぶりが快かったのに比し、西尾美栄子(黒塚のお松)、茶川一郎(山猫の三次)たちは今ひと息。高田美和の仁左衛門の恋人おりょうと女賊で仁左衛門を慕うお千代の二役も、なぜか目立たずじまい。また伊藤雄之助(家老・八木重右衛門)には例によって引っかかりつづけた。
テレビ作品の劇化とあっては視聴者の感銘保持が大事なのだろうかして、客席の反応は十分だったが、それにしても、劇場の表で仁左衛門とお千代が大鳥にのって江戸城の大屋根から昇天逃走すると解説していたそうだが、舞台にそれが実現しなかったのは淋しかった(三日目所見のせいかしら)
*舞台写真はこんな感じ
*大衆演劇には辛口批評が多い「演劇界」にあって、“例によって誠実な舞台ぶり”というのはかなりのほめ言葉だと思う。ところでスーパー歌舞伎もびっくりのクライマックス、ほんとに実現しなかったのだろうか?
関西劇信
勉強芝居に挑む人々
大鋸時生
梅田コマ
天知茂公演
TVで放映中の『雲霧仁左衛門』(池波正太郎原作)を主演の天知茂が、劇化上演した。例によって誠実な舞台ぶりは快い。それを御木本伸介(兄蔵之助)、北町嘉朗(捕方の長官・安藤式部)らが例によって、よく主演者をかばいつづけていた。ストオリィは上層部の圧力から自決をせまられた兄をかばい浪人となった雲霧仁左衛門が、天下を騒がす大義賊となる物語だが、林成年(木鼠の吉五郎)、カルーセル麻紀(因果小僧六之助)、東てる美(おみつ)らの部下ぶりが快かったのに比し、西尾美栄子(黒塚のお松)、茶川一郎(山猫の三次)たちは今ひと息。高田美和の仁左衛門の恋人おりょうと女賊で仁左衛門を慕うお千代の二役も、なぜか目立たずじまい。また伊藤雄之助(家老・八木重右衛門)には例によって引っかかりつづけた。
テレビ作品の劇化とあっては視聴者の感銘保持が大事なのだろうかして、客席の反応は十分だったが、それにしても、劇場の表で仁左衛門とお千代が大鳥にのって江戸城の大屋根から昇天逃走すると解説していたそうだが、舞台にそれが実現しなかったのは淋しかった(三日目所見のせいかしら)
*舞台写真はこんな感じ
*大衆演劇には辛口批評が多い「演劇界」にあって、“例によって誠実な舞台ぶり”というのはかなりのほめ言葉だと思う。ところでスーパー歌舞伎もびっくりのクライマックス、ほんとに実現しなかったのだろうか?