今日の天っちゃん

天知茂関連作品の情報

明治座公演(S51年8月) [2]

2006年05月24日 | 舞台公演
お好みインタビュー:天知茂
一日四食が健康法

(後半)
――今後、舞台でやりたい役柄、演目をとくにあげると……。

僕の場合、テレビを仲介としてのファンが多いので、どうしても現代ものを望む声が強いんです。時代ものだととまどう人がいるようです。かつて朝丘雪路さんと大阪で「滝の白糸」をやったことがあるし、明治座でも明治ものを出しましたが、明治から昭和初期までの時代を背景にしたものだと自分もやりいいし、お客様も喜んでくださるようです。昨年やった明治ものの「深川まつり」なんか気に入っている作品です。明治、大正もののオリジナル作品でいいものはないか、といつも思っているんですよ。

――1年中、テレビや舞台の仕事に追われて、ゆっくり休むときなんかあるんですか。家庭サービスなんかも出来ないんじゃないですか。

テレビの撮影が追い込みに入ると休めませんが、ふだんは週に一日とか十日に一日のわりで休みがとれるんです。休みの日は思いきり朝寝坊をして、あと家でブラブラしたり、こどもと遊んだりしています。昔からそういう生活ですからこどももどこかへ連れていけなんていいませんし……。それに上の娘が高三、下の坊主が中一で、それぞれ友だちが出来て夏休みなんかでも思い思いに楽しむようですよ。

――テレビのレギュラー番組をもったり舞台公演をする上で、なによりも大事なことは健康を維持するということですか。なにか健康法をやっていますか。

とくに健康法といったものはありませんが、しいていえば食事を時間通り規則正しくとるということですかね。僕は胃が小さいのか、一回に食べる分が少ないんです。ですから、朝、昼、夜と普通に食べたあと夜食をとるんです。そういう習慣がついているせいか、たとえば昼食が十二時を過ぎるともう機嫌が悪くなっちゃうんですよ。

――ゴルフをなさっているそうですね。

それが仕事の関係でごくたまにしか出来ないから、ぜんぜんうまくならないんです。僕は酒も飲めないし、ほかに道楽がないんで、体のためにもゴルフなんかときどきやりたいんですがね。


今月の天知は一日中明治座の舞台と楽屋の生活で、毎日少し体のあく時間があります。「舞台の合い間に踊りか三味線のけいこをしようかと思っているんですよ」と語っていたが、この人にとっては、仕事あるいは仕事に関係のあることに没頭しているのが趣味なのかもしれません。[終]


*一日四食とるから恰幅が良くなりすぎたきらいもあるが
コメント (3)
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明治座公演(S51年8月) [1]

2006年05月23日 | 舞台公演
お好みインタビュー:天知茂
一日四食が健康法

(前半)

テレビ・ドラマにレギュラー出演している人が舞台へ出るとなると、公演のけいこが始まる前はたいへんな忙しさです。舞台公演は約一ヶ月、その前の準備期間を入れると約一ヶ月半近くテレビの撮影が出来なくなるので、何本かの番組の撮りだめをしなければならないからです。今月の天知茂の場合も、彼が主演している人気番組「非情のライセンス」を、九月下旬までに放送する分を撮っておかなくてはならないから、大げさにいうと昼夜兼行のあわただしさで撮りだめに励みました。そんなある日のひととき、会田刑事こと天知茂に会ってみました。

――朝早くから夜遅くまで東映の撮影所通いだそうですね。

今月は二十四、五日ごろから八月公演のけいこに入らなきゃならないし、九月下旬分までのものは撮っておかなくてはならないので、七月に入ってからは四日に一本の割り合いで撮りあげています。そんなわけで撮影の班をいくつかに分けて、僕はあっちへ行ったりこっちへ行ったりして撮影を進めたわけです。連日、朝は八時ごろから夜は九時すぎまで、それも大泉の撮影所で撮ったり、都内のロケをしたりでめまぐるしいですね。疲れちゃうといけないから朝はギリギリまで寝ていて、車の中で食事をしたり衣裳を着たり、メーキャップまで車の中でするんです。

――今度は初めて舞台化する「非情のライセンス」、またたびものの「弥太郎笠」と、現代もの、時代もので取り合わせが面白いですね。

もう三十年近く役者をやっていますが、僕は時代劇が多いんです。「非情のライセンス」はことし四年目の番組で、なんとか舞台にのせてみようということで企画したんですが、花道のある劇場でああいう現代ものが違和感なしにうまく出来るかどうか、ちょっと心配な面もあるんです。渡辺文雄さんや左とん平さんといったテレビの常連が出るので、気が楽なところもあるんですがね。テレビでもやったことのない二役をやって、なんとか楽しんでいただけるものにしたいと思っています。「弥太郎笠」は典型的なやくざもので、奇をてらわずにまともにぶつかってやってみようと思っています。これまでいろいろな方がやっている作品なので、比較されるでしょうからやりにっくいことはやりにくいんですがね。

――明治座への出演もことし四年目ですが、一年の大半をテレビに出ていて、たまに舞台へ出るというのは俳優としてどうですか。疲れるんじゃないですか。

テレビ・ドラマの連続ものを作るということは、いわばベルト・コンベアー式のシステムでないとだめなんですね。僕たち俳優も含めてすべての人が、同じコンベアーに乗っているようにして仕事を進めていかないとだめなわけですよ。途中で僕だけベルトから降りられないんです。でも、年に何回かはそのベルトから降りたいですよ。また、ときにはベルトを止めないと故障も起きます。
僕の舞台公演はベルト・コンベアーから降りて、新しい空気を吸うようなものです。舞台を終えてテレビに戻るとテレビがまた新鮮なものに感じられるんです。


(後半に続く)

*今となってみれば「そんなに身を粉にして働かなくても・・・」と思ってしまうのだが、そのおかげで20年以上経っても毎日どこかでご尊顔を拝することができるのだから(でもってこんなブログを作れてしまうのだから)ここは感謝せねばなるまい。

*「非情のライセンス」の舞台は原作「兇悪の眼」がベースで、天っちゃんは会田刑事のほかクロード・東という名の殺し屋を演じているらしい。しかしクロードってあれだろうか、角刈りのロベール(@黄金仮面)みたいなもんなのだろうか。

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明治座公演(S51年8月) [0]

2006年05月23日 | 舞台公演
公演データ
*1976年8月1日~28日 明治座

【昼の部】
「弥太郎笠」二幕七場(子母沢寛 原作)
・二本差(りゃんこ)の弥太郎:天知茂

「花小袖」(木暮実千代主演)

【夜の部】
「花小袖」(木暮実千代主演)

「非情のライセンス」八景(生島治郎 原作「兇悪の眼」より)
・会田刑事:天知茂
・クロード・東: 同

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