今日の天っちゃん

天知茂関連作品の情報

市川雷蔵

2006年06月27日 | 大映with市川雷蔵
意外と共演している天っちゃんと雷蔵さんだが、お互いを評した記事って見たことないなあ(当時の格差などを考えると、雷蔵さんが何か言ってた、ということはなさそうだけれど)と思っていたところに、うってつけの本が。

『対談:雷蔵をめぐって』(後援会報用の対談集)の中に、「天知茂・市川小金吾さんに聞く」として、ちょうど明治座公演(S51)時のインタビューが入っていた(例の二役の話なんかもさりげなく宣伝)。

雷蔵さんとは直接会話を交わしたりという機会はあまりなかったものの、どことなく共通点があるように思うことや、時代劇臭くない人、という印象を持ったことなどを結構饒舌に語っていて、雷蔵さんが生きていて、TVに出ていたら『非情のライセンス』なんか演っていたかもしれないって気がするなんて言葉も飛び出していた。

他を読むと、雷蔵の伊右衛門で四谷怪談を撮る、という企画もあったそうで(まあ仮にそんなことになっていれば、今ごろ伊右衛門役者ナンバーワンの座は雷蔵さんのものだったろうが)、やはりそっち方向の雰囲気は似ているのかもしれない。

市川雷蔵

三一書房

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明治座公演(S51年8月) [3]

2006年06月20日 | 舞台公演
(公演パンフより引用)

天知茂――男の魅力・静かな――

ふと見た深夜放送で、天知茂が木の実ナナと二人で歌をうたっていた。木の実ナナの、あの色っぽい肢体と視線が“男”の体にからみつくようにして歌っている。その“女”の媚びた眼に、ニコリともしない天知茂の横顔くらい似合うものはない。

また、その一時間も前(7月24日10時)天知茂の代表作「東海道四谷怪談」を日本映画名作劇場という番組で放送していた。天知は伊右ェ門にぴったりだ。胸のなかの温かいものを少しも表に出さず、時代と世相と悪友におしながされてしまう有能で美貌の青年(この映画の主人公)民谷伊右衛門は天知茂の風貌のためにある役といっていいだろう。

新東宝のニューフェースで応募、新東宝スターレットに合格。36年ごろから映画からテレビへ「次郎長三国志」「虎の子作戦」「孤独の賭け」以来。「非情のライセンス」までスターの道、ひと筋だ。


*木の実ナナさんとのデュエット曲ってのもあるとは知らなかった

有能で美貌の青年、いい響きだ!

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御薗座公演(S47年2月) [2]

2006年06月16日 | 舞台公演
(公演パンフより引用)

天知君と私 宮川一郎(1925~)

早いもので、天知君とのつきあいは、そろそろ二十年近くなる。今はもうすっかり変わってしまった新東宝の撮影所で、どっちから声をかけたか忘れてしまったが、二人とも名古屋に縁があるという事で話しあったのが最初の様な気がする。

天知君は、御承知の様に名古屋の出身だし、私は、中学、高等学校(旧制)とも名古屋なので、そんな事がキッカケで、親しくなったのではないかと思う。

当時、全国から募集した新東宝のニューフェースは半年間、俳優座の養成所にあづけられ、一応の演技の基本を叩き込まれた上、撮影所へもどってくる事になっていた。

ABCの採点がついた付箋つきで、二十数人のニューフェースの紹介が、我々新米の企画部員の所まで廻って来た。

天知君はその中で、AA・・・つまり一人だけずば抜けた成績であった。

*松竹での経験(=シゲマツ時代)が活かされていたのかもしれない

しかし・・・何故か、天知君だけ、いつまでたっても役がつかなかった。我々は気をもんだ。「あれはいいですよ。・・・何とかしてやって下さい」。プロデューサーや、監督に口をきくのだが、いつまでたってもラチがあかない。聞いてみると、愛想がないのも原因の一つだと言う。名古屋地方の言葉で、「愛想もこそもない」というのがあるが、成程、そう言われてみれば天知君は愛想もこそもない。酒ものまぬ、賭け事もせぬ、実力者を取りまいて、ワアワアやるわけではない。いつもむっつり、静かで、必要な事以外は口をきかない、どこかの片隅で、本を読んでいるか、殺陣の練習をしている。監督や、助監督に自分を売り込むわけでもない。傍から見ていて、「なるほど、これでは前途遠しだな」と思ったものである。

*宮川さんが天っちゃんに「カメラマンにならないか」と勧めたのはたぶんこの頃(ワイズ出版の資料本より)

だが天知君は、同期のものがどんどん起用され、又、どんどん落第してゆくのをじっと辛抱してみていた。早く出れば、それだけ評価が決まるのも早いわけで、天知君はある日突然、際物の小品ながら主演をすると(*「恐怖のカービン銃」)、一躍びっちり評価が決まった。そうなると、愛想のないのも魅力の一つで、「仲々ニヒルな味があってよろしい」などという事になって、いつの間にか、新東宝に天知茂ありという事になってしまった。

そのころから、私は、企画の仕事の傍ら、脚本を書き始め、天知君主演のものを、次々と書く様になった。互いにやっと仕事が判りかけた所で新東宝は解散。天知君は大映へ、私は東映の契約ライターになって、しばらく一緒の仕事をする事がなかったが、テレビの仕事で再会。それから又七・八年、私は天知君のものを数多く書き続けてきた。天知君は次第に、芸域を拡げてきた。こっちも負けじと、従来の天知茂にないイメージを押しつけてきた。友人同志には言葉はいらない。天知君はだまって、演じつづけて来てくれた。気がついてみると、私の年間の仕事のうち、天知君の仕事が三分の一を超えていた。

やがて、天知君は芝居を始めた。これだけは、私の領域外と、手を拱いて見て来たのであるが、今度「清水一学」をやるから書けとの御薗座からのお話で、喜んで引き受けたもののハタと困った。一学に関する資料が全くない事は最初から判っていたので、それは問題ではなかった。困ったのは一学のイメージが、日ごろよく知っている天知茂と、どこまでいってもぴったりなのである。一学が天知茂なのか、天知茂が一学なのか、私の貧しい頭の中で、それがゴッチャになってどうにも動きが取れぬ。吉良上野介に殉じた清水一学という人間を創り出し、それを天知茂が演ずるという本来の形ができあがるまで、私はプロデューサーの林さんに相当厄介をかけた様に思う。(どうにか形になっているとしたら、それは林プロデューサーのおかげである。)ともあれ、私は私なりに、父恋いの一学、妻恋いの一学、友恋いの一学を描いてみた。あとは天知君に精一杯やってもらう他にはない。又精一杯やってくれるにちがいない。名古屋の皆さん!・・・どうぞ、期待してやって下さい。


*後に宮川氏が好きな作品として、星の数ほどある関連作からこの御薗座の清水一学を挙げていることから、出来は相当良かったようだ
コメント (4)
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御薗座公演(S47年2月) [1]

2006年06月16日 | 舞台公演
(公演パンフより引用)

「清水一学を訪ねて」

このたびの義士外伝「清水一学」の上演にあたり昨年十一月、天知茂と作家の宮川一郎ら関係者が、愛知県幡豆郡吉良町を訪れた。

(中略)

円融寺の裏山にかかったところにある墓地の一隅、苔むした墓石の中に、真白い角柱が建ててあり「清水一学之墓」元禄十五年十二月十五日と大書きしてある。その下にひっそりと時代を経た一学の墓石がある。

墓前に花と線香をを供えたあと、住職に過去帳や位牌を見せて貰い、寺のすぐ近くに住む一学の子孫、十四代目の児玉豊松さん(七十三歳)から遺品の手槍をと黒く古びた皮の袋に入った刀を見せていただき、刀を手に取った天知は刀の柄の短さに気付いて不思議がると児玉氏は「やはり二刀を使うには柄の短いほうがよかったんでしょう。小刀の行方は不明ですが・・・」

天知は「今までに歴史にも名を残している人、実在した人物を演じて来ましたが、こうして故人の遺品などを手に取ったことはなかった――故人が握った柄を私が今、同じように握っていると、手の平からじわじわ身体に何か感ずるような気がして、今までにない責任と意欲が湧いてきます。必ずいいお芝居にしてみせます。是非観て下さい」と児玉氏に約束して、そのあと同町岡山にある華蔵寺(=けそうじ:住職黒柳建英氏)を訪れた。この寺は、吉良公の菩提寺で有名だが、夕陽さす墓所に花を供えて合掌する天知は、あたかも一学が主君に言上中の図といったところ。

(中略)一行は公演の無事と成功を吉良公の墓前に祈願して帰途についた。


*ストライプの入ったスーツ&ちょっと派手目のネクタイで墓参り&正座して刀を眺めている写真あり(白黒)

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御薗座公演(S47年2月) [0]

2006年06月16日 | 舞台公演
公演データ
*1972年2月3日~27日 御薗座

【昼の部】
「雪と女と旅がらす」二幕七場(成澤昌成 原作「風と女と旅鴉」より)
・仙太郎:天知茂

「桃くり三年柿八年」(林美智子主演)

【夜の部】
「清水一学」二幕七場(宮川一郎作、市川小太夫 演出)
・清水一学:天知茂

「桃くり三年柿八年」(林美智子主演)

*S51年の明治座公演もそうだが、昼と夜で違う出し物というのは大変だったろうなあ(演じるほうは無論、観劇するほうも)

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東支那海の女傑

2006年06月03日 | 新東宝映画
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