ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

24-2 脱税ゲームの途中ですが、割り込みますよ!

2021年09月12日 | 第24話 悲運の商人アントニオと20個の卵の物語
    


 マルセルとクレールの
会話部分は、
第21話2P目
「無花果欲しいが卵はいらん」
の最後のコマと繋がります。
クレールさん、
結構策士だったりしますね〜。

 アントニオは
本社がF市内にある
商社の社長で、
社員の中にはフランドル
(現在のベルギー)や
南仏にまで取引に
行っている者もいました。

 グイードはアントニオの
自宅の方の召使いで、
主人外出の際には同行し、
身の回りの世話を
していました。


  


  主人の言葉にどう思いましたか?


  

 
 グイード君、
口を閉じていれば、
なかなかのイケメン。
真面目なストーリーの
勇者にだってなれるかも
しれないのに。

 主人がこんなんな上、
当人も「天然の気」が
あったために、
脱税ゲームの「おバカキャラ」
なってしまいます。


続きは9月15日(水)
ハリソンさんの
税金への恨みが炸裂!


24-1 敢えて波乱が有りそうな方に挑んでみますか?

2021年09月08日 | 第24話 悲運の商人アントニオと20個の卵の物語
  


 ハリソンさんは
1763年の夏、
プロヴァンスで鶏卵と
無花果を売る
農家の婦人と出会い、
買おうかどうか迷う
というエピソードが、
第21話冒頭にあります。

 その事と「トリストラム・
シャンディ」7巻43章との間には
関係が有りそうです。
そして、この中世コントとも
何か繋がりが出て来そうです。
 



 
召使いの青年グイード君には何と言いますか?






 上を選んだ場合、
その後も順調に行く
可能性が高く、
「アントニオとグイードは
無事に家へと辿り着き
家族皆で晩餐に
美味しい卵料理を
食べました。」
となりそうですが、
フツーのプチ旅じゃんよ〜!

街にペストが発生し、
ロックダウンします。


とか、
盗賊からの

おいコラ、金を出せ。 

の分岐でも出て来なければね。

 が、上記のように、
下を選んでしまった場合は
一体どうなるのでしょうか?


続きは9月12日(日)


第24話 「悲運の商人アントニオと20個の卵の物語」開幕への前奏曲

2021年09月07日 | 第24話 悲運の商人アントニオと20個の卵の物語


 
これから始まる話は、
14世紀イタリアで本当にあった事件が
脚色されたものです。

 その実話は、
当事者本人と家族は望みもしないのに、
尾ひれが付いて変形し、海を越え、
古くから往来があったアヴィニヨンに到達。
イタリアよりも先に
印刷・書籍化されてしまいました。

 そしてそれは、
ハリソンさんが隠そうとする
ある失敗談を
暴いてしまいそうになるのです。

18世紀イタリア風の前奏曲
(原曲はヘンデル作曲のオペラ
「フラービオ」の中のアリア)
が終わり、第24話が開幕です。
続きは明日。




ALWAYS 賛否両論?!〜ジェンナーの天然痘ワクチンもそうだった〜

2021年09月02日 | 各話末エッセイ
【各話末エッセイ②の2】


 18世紀にはぺストよりも天然痘が恐れられていた
ように見えます。

 天然痘自体は太古の時代からあったらしく、
患者の膿やかさぶたから取れた汁を
切り傷に塗る人痘種痘が紀元前から
行われていたようです。

 1720年〜22年の間、デフォーが恐れたぺスト流行は
ありませんでしたが、21年に天然痘が大流行し、
英国では最初の人痘種痘が行われました。
現在コロナのワクチンで死亡者が出る可能性が
問題になっていますが、
人痘種痘の致死率は約2%だったとの事です。

 その上、大変な高額で、
物語の頃には、現在の日本の金額に換算すると、
一人20万円もかかりました。
当然ながら現代日本のような健康保険制度は無いので、
実費払いです。
そして、医者は儲けのために
施術方法を秘密にしていました。

 この物語が完結するのと同じ1768年の英国では、
国民の約半数が罹患し、
約20%が亡くなっている状況でした。
そんな時代に医学の修行をしていたジェンナー。
皮膚の化膿を治療に来た乳搾りの女性から
「自分は牛痘に何度も罹っているので天然痘ではない」
と言われ、牛痘に興味を持ち始めます。

 その後ジェンナーはドリトル先生のモデルになった人物の
元で更に学び、生まれ故郷に戻って内科・外科兼任の
診療を行っていました。

 1778年にジェンナーは、牛痘の病歴がある女性に
人痘種痘をし、天然痘の発病が無い事を確かめました。
「牛痘になった人は天然痘にならない」という
データ収集も行います。
実験も繰り返され、牛痘種痘は人痘種痘より安全との
結論が出ました。

 ジェンナー本人の広報活動や、
低所得家庭の子供への無料接種の働きもあり、
ワクチン接種が広まって行きました。
19世紀初頭には、英国全土で10万人以上が
ワクチン接種を受け、陸軍や海軍でも、
今で言う所の職域接種が行われていました。

 それでも、18世紀末のヨーロッパでは毎年約40万人が
天然痘で死亡していたといいます。
こちらのワクチンでも効果に疑問を呈する人がいました。
政府の強力な「ワクチン推し」への反対・拒否運動も起こり、ジェンナー個人への批判も含めて20世紀まで続いたそうです。
 
 19世紀に種痘は、ナショナリズムの高まりも越えて
世界中に広まって行き、幕末日本にも入って来ました。
一方で病原菌も、しぶとく生き残り広がり続けて、
根絶宣言が出たのは1980年の事。
ジェンナーが病気消滅を予言してから
200年が経って
いました。

 前回の話に戻りますが、
デフォーの本によると、伝染病終息の兆しは
死亡者数が減り、療養者の回復速度が上がる時
だとの事で、
主人公は、これを
「神の全能の力による御業(みわざ)」と呼んでいます。
17世紀には、こう思うしかなかったのでしょう。


第24話「悲運の商人アントニオと20個の卵の物語」
は9月7日(火)より開始の予定です。