ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

26-7 貴族にも小市民にも与(くみ)しない俺

2022年11月20日 | 第26話 婿になった修道士



 18世紀欧米では、
市民階級のささやかな愛情によって結ばれた
慎ましい暮らしを賛美する風潮が高まっていました。

 その一方で王族・貴族を頂点とする
上流社会の豪華ファッションや
高級感溢れる絵画、
装飾性の高いインテリア等の文化も
「最後にひと花咲かせるが如く」と
べルサイユを中心に栄えて行きます。

 その二つの価値観が互いに影響を与え合ったり
反目し合ったりしながら未来の「大革命」へと
向かうのでした。

 でも、この物語の頃の二つの世界は、
まだ穏やかに共存できていました。

 ハリソンさんは
結婚の失敗で貴族界から排除され、
生まれと育ちから
今更ド平民の中にも溶け込めません。

 女性陣の
「互いの愛さえあれば!」やら、
「シンデレラ・ドリーム」
「パミラ・アンドルーズ症候群」
(どちらも玉の輿願望の事)
には正直鼻白んでしまいます。

 けれども、
口から出たのは
女性を最も怒らせ、
心中に残酷な復讐を思い立たせる、
男の「高尚な屁理屈から成る説得」
では無かったのですー。

 ちなみに「トリストラム・シャンディ」の中で
トゥビー叔父さんがウォドマン夫人から
肘鉄食らったのは、トゥビーがこれを
やらかしちゃったからなのでした。


🍁 続きは出来次第。


26-6 パパは王子様だよね?一応!

2022年11月12日 | 第26話 婿になった修道士



 愛娘からはプチ意地悪+媚混じりの
態度を取られてもメロメロで大喜び。

 終生の貞潔を誓おうと修練していた
アラサー時代のアンタはどこ行った?

ーといった感じのデノワ氏。

 リュシエンヌが
「ママはシンデレラみたい」
と言ってますが、
おとぎ話に例えるとしたら
「親切にした相手が実は魔法使いの仙女やら、
変装して今だに現世をウロついてる
聖者だったので、その後いい事があった」

の類の話の方に近いかもしれません。

 デノワ氏の場合は、
二人の兄から冷遇され、
遺産は渡さぬと修道院に追いやられました。

 だからもし、長靴はいてる陽気で賢い
化け猫さんが付いてくれてたら

運命が変わってたかもしれません。

 デノワ氏もデノワ氏で、
金の亡者の兄達に当てつけるかのように
「清貧、貞潔、従順」のサン・フランソワ会を
行き先としたのでしたが。


🍁 続きは出来次第。

26-5 二度目の出会いはプリムローズ/この夫婦はどうかしてる

2022年11月06日 | 第26話 婿になった修道士



 ロンヴィル氏が未来のデノワ氏だったと
いう事でした。

 こうして、未来のおかみさんは
地方屈指の豪商の家の玉の輿。
両親もやっとこさ婿が見つかり大喜び
…と、一見感動的な回想場面なんですが。

 マルセルは純朴な平信徒として、
ハリソンさんは作家として物足りなくて、
何だか…釈然としません。

 31歳のデノワ氏が、
英国牧師の暴言に耐える様は良し。
未来のおかみさんからの
〈善意からの〉卵の進呈は
受け入れたとしても仕方なし。

 けれども一目惚れは完全躓(つまづ)き
アウトなんじゃないのか?!


 それを大きくなった子供達がいるほど
遠くに過ぎた事とはいえ、
バラしっぷり正直過ぎやしないか!
と。

 ハリソンさんからすると
「こりゃ、これでも相当省略してるな。
本当は家族やら辞めた会やらと
裏で揉めたんだろうが、
そこが本当は知りたい所なんだよ!」
とかー。

 しかし、ハリソンさんの妄想の爆発やら、
デノワ夫婦各々の結婚前後の時期の苦悩やら、
現在も悩みが全く無いといったら
そういう訳でも無い…といった所を
描ける段階には、まだ到達できておりません。


🍁 続きは出来次第。