ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

25-6 わが青春のマリアンヌ Marianne de ma Jeunesse

2021年12月23日 | 第25話 貴族になれない私達



 1955年のフランス映画と同じタイトルですが、
あちらは真面目な幻想的青春映画。
こちらはといえば、真面目なんだか不真面目なんだか…。
ハリソンさんの真意すらも不明なのでした。

 マルセルを助けるために
自分の方に注意を向けさせたのかもしれません。
撹乱させた挙げ句に何の話だったのか
分らなくするためだったのかもしれません。

 それとも見ての通り、
本当に思ってる事を言ってるだけかもしれません。
でもそれなら
「青春の」じゃなくて「回春の」なんじゃ?

 そもそもマリアンヌさん結婚か?も
まだ本当にそうなるのかがハッキリしていないんだけど…。

 前半の物語中にも貴族社会に属する方々が
何人か出て来ますが、ハリソンさんは
正面切って歯向かうような事は今の所していません。
あくまでも、それより一つ下の紳士階級の人として
礼儀をわきまえた節度ある態度を取っています。

ウォルポール氏にすらそうしています。

 でも、11話の4&5ページで親戚の貴族一家から
相当ひどい目に合わされているらしいとあるので、
貴族階級全般に対し良い印象を持っているとも
思えません。

 なので、マルセル+ハリソンと
宿のおかみ+おかみの娘で
(すんでの所で破戒僧だったという宿の主人は中立派か?)
クレールとエクトル氏をめぐっての対立が
巻き起こるかもしれませんし、
そんな中、宿の息子がまた
とんでもない事を言い出すかもしれません。

 
❄️ 今年はここまで。続きの数ページは来年になります。
  元旦、もしくは 1月2日/日曜日から
 


 

25-5 従者がバカにされているのに主人はボ〜ッとしてる気だろうか?

2021年12月21日 | 第25話 貴族になれない私達



 それでもマリアンヌさん、
心の中では本当に喜んでると思いますよ。

 またしてもマルセルは、エクトル氏に
「そんな事も分からないの?」
みたいな事を言われてしまいました。

 所でハリソンさん、
前半9話9ページ目では
「人間の知識は、境遇や興味によって
偏りやすいものなんだよ。
だから自分が知っている事を
知らない人がいるからといって、
バカにしちゃあいけないんだよな。」
と言い、帰宅後のマルセルを慰めています。

 その後、マリアンヌさんについては
エクトル氏と同じような事を言った後で、
「ひょっとしたら職業柄ありがちな誘惑から
身を守るためにそうしているのかもしれない」
と付け加えています。

 彼女の愛読書「ヌーヴェル・エロイーズ」については
「聞いて呆れると言ったら年寄り扱いされた」
とボヤいていました。
そして、自分の方がルソーより7歳もヤングだ
という事をシッカリ強調しています。


 その時は、マルセルをバカにした連中が
目の前にいませんでしたが、
今はその中のセンターマンが、すぐそこにいる訳です。
果たしてハリソンさんは、どうするんでしょうか?


🍁 ハリソンさんが取った、
またしてもアヴァンギャルドな行動に
一同ドン引き?!
続きは12月23日/木曜日

 

 


25-4 未練タラタラの相手がいながら、他の女性の取り巻きもしてたって事ですよね?!

2021年12月17日 | 第25話 貴族になれない私達



 「ヴァレット」 valet と言う言葉ですが、
元は中世騎士の従者の事で、 
重い甲冑の着け外しを手伝ったり、
転んだり落馬したりすれば
自分一人で起き上がる事もできない主人を
助けるのが主たる役目でした。

 その後、飛び道具の発明や職業軍人の出現によって、
騎士が用済みとなると意味が変わって行きます。
18世紀のこの物語の頃には
「貴人の身の回りの世話をする人」の意味で
使われていました。

 そして現代では
「競馬の騎手のサポートを仕事にしてる人」
の意味になっているようです。
若い女性が多い職種らしく、
「バレット」で検索すると
「あの騎手のバレットがかわいい」
「この騎手のバレットが美人だ」
等と出て来ます。😅

 2コマ目の女性がマリアンヌ・ブルトン嬢で、
前半第9話5ページ目での事です。

 取り巻きの若い男性達は貴族では無いのでしょうが、
そこそこ裕福な家の坊ちゃん達で、
貴族とは地続きの官僚(対英関係の)に
なりたいのかもしれませんし、
流行りの英文学を原語で読みたいからと
英語の会に参加していただけかもしれません。
そうにしても、マルセルとは生まれも育ちも
違う人達なのでした。

 そして、時代の先端を行くカフェで働く
マドモアゼル・ブルトンには、
そういう男性達に囲まれているのが
嬉しくて仕方無かったり、
プレシューズ precieuse(才女気取り)な所も
有る人なのでした。
絶世の美女だと自惚れてる節もあります。

 そんな彼女に、
マルセルは一目惚れしてしまっていたのでした。

🍁 マルセル優勢かと思いきや、
エクトル氏の反撃で一気にピンチへ!
続きは12月20日/月曜日


 

25-3 もし相手が本当に貴族だったらチャレンジャーし過ぎじゃないだろうか?

2021年12月16日 | 第25話 貴族になれない私達


 マルセルの生涯の宿敵となるこの人物、
前半では第9話「なぐさめと励まし」
6ページ目に登場していました。

 憧れのパリジェンヌ、
マリアンヌ・ブルトン嬢の愛読書で、
当時のスーパーベストセラー
「ヌーヴェル・エロイーズ」を読んでおらず、
作者のジャン・ジャック・ルソーも知らなかったので、
マリアンヌや彼女のファン達からバカにされ、
除け者にされてしまったのです。

 2コマ目がその時の若者のセリフです。
この後「今は『エミール』や『社会契約論』を書いたせいで
お尋ね者になっているけどね。有名じゃないか!」
と続きます。

 それに対してマルセルは
「自分は日々働くだけで精一杯の魚屋の息子で、
大した教育も受けて来なかったので知らなかった」
と正直に自分の身分を明かすのでした。

 けれども、この事がマルセルの
終生忘れられない屈辱となり、
それはアメリカ合衆国で相当な出世を遂げた後でも、
消し去る事ができない程でした。

 何かあるごとに「これが欧州大陸だったら、
自分は叙爵されてるかもしれない」
等と
豪語するようにまで彼をさせてしまったのです。
23話の8ページ目にもある、
マーセラス・トロイラスと貴族風な英語の氏名を
名乗った
のも同じ心理からでした。

 しかし、ハリソン氏こそここへ来て、
かなり軽く扱われてんじゃないでしょうか?
主人公としては相当屈辱的でしょうがっ?!
5コマ目では遂に
センター落ちから脇役スルーで
完全たるギャラリー要員!

「バーバファミリー」みたいな
描き方されちゃってるんですから。


バーバファミリー




🍁 この続きは明日

25-2 ハーブティーではなく塩珈琲をs'il vous plaitした男

2021年12月13日 | 第25話 貴族になれない私達



 クレールさんの元婚約者だと思われる人物、
こういう時はハーブティーでも頼んだ方が
心の乱れを抑える効果が期待できそうなのに。

 せっかく薬草・香草の本場の
プロヴァンスに来てるんだし、
飲むんだとしたらカモミールやレモンバーム、
ラベンダーのお茶の方が効くのでは?

 コーヒーだと、神経が鎮静するよりも興奮しそうです。
落ち込んだ心を上向きにするという点では良さそうですが。

 コーヒーに塩を入れると味がまろやかになると言って、
飲んでる人が現代では結構いるようです。
私は「世界ふしぎ発見」でそのような飲み方があるのを
知りましたが、コーヒー産地の一つエチオピアでは、
昔っからやってる普通の飲み方らしい。

 この物語の青年の場合は、
コーヒーにこだわりがある人のようで、
自分で色々美味しい飲み方を試している内に
独自にこの飲み方を発見したのでした。

 17世紀の後半にはカフェオレが
フランスで飲まれていたようです。
他にはチョコレートを入れて飲んでいる人もいました。
18世紀では、かのヴォルテール氏が愛飲していたとの事。


🍁 マルセルは、青年とどこで出会ってたんでしょうか?
続きは12月16日/木曜日