ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

童謡「月の光」にまつわるエトセトラ&c. 〜白い服のピエロ〜

2023年09月18日 | 各話開始前エッセイ


♪Pierrot répondit:
 ― Je n'ai pas de plume,
 Je suis dans mon lit.
 Va chez la voisine,
 Je crois qu'elle y est,
 Car dans sa cuisine
 On bat le briquet.


 ピエロ : 
僕はもう眠ろうとしてたんで
火は消してしまったし、
ペンも近くに無いんだ。

隣の家に行ってみたら?
あの家は晩の食事が遅いから
女主人の侍女が台所で
まだ火を使ってる筈だよ。

 リュバン :
分かった。
そうしてみるよ、有り難う。
では、おやすみなさい。

(リュバン一旦退場)

 ピエロ : 
(呟き)火を分けるくらいなら
あの家の者でもしてくれるだろう。
そこまで非情じゃ無い筈だ!


 原語で歌う国では
子供だとこの2番でストップ。
明かりとペンを借りに来たリュバンが
ピエロに断られる所で
La FIN
 
 です。

 ――でも、
実はその続きがあるのでした。

 この歌ができたと
思われる頃のピエロは
白い服着てて、
「ホラー」だの「度が過ぎた狂気」だのとは
無縁の道化者でした。


童謡「月の光」にまつわるエトセトラ&c. 〜そもそも童謡じゃ無い?!〜

2023年09月15日 | 各話開始前エッセイ
 そういえば、
小学校の教科書(か歌集)には
「フランス古謡」とあった。

 17世紀やモーツァルトの
子供時代よりもっと後で、
もうルイ16世の時代になってから
作られたという説も…。

 歌詞は4番まであって、
どうも童謡というより
ムード歌謡のノリだったりする。


 その歌詞と
様々な訳文と解釈、
17〜18世紀に人気のあった
イタリア&フランスの喜劇、
当時の画家ワトー等の
絵画を参考に再話化してみた。




 ♪Au clair de la lune,
  Mon ami Pierrot ,
  Prête-moi ta plume
  Pour écrire un mot.
  Ma chandelle est morte,
  Je n’ai plus de few,
  Ouvre-moi ta porte
  Pour l’amour de Diew.


 ピエロ : 
隣の家の御婦人に
ご贔屓にしてもらえるどころか、
召使いの女ときたら
取り次いでもくれない。
ケンもホロロでトホホだよ。

しよーがないから
またの機会に期待して
今晩の所はサッサと
眠るしか無いね!

(外から若い男性の声が聞こえて来る)

 リュバン :
書き物をしようとしてたら
蠟燭を誤って消してしまい、
その上火打ち石まで
見つからず困ってる。
どうかドアを開けて
僕を助けて欲しい。

 ピエロ : 
(呟き)何だよ、リュバンか?



童謡「月の光」にまつわるエトセトラ&c. 〜いつからあったの?〜

2023年09月13日 | 各話開始前エッセイ


☝️その場面こういう感じだった。



 モーツァルト死後200年だかを
記念して放送された(と思われる)
TVドラマで見た記憶があるんです。

 もーたんは子供の頃に
家族との欧州演奏旅行(1763〜66年)
でパリにも滞在。
貴族の館に招待され、
クラブサン(ハープシコード)を
弾いてました。

 貴婦人がもーたんに
「私が歌う歌に即興で伴奏して」
と言って歌い出したのが
「月の光」だったのです。


 え?知ってる曲じゃん!
小学校で習ったよ。
(当然ながらフランス語で歌ってたので
歌詞の方は分からず)
こんなに古くからある曲なの?

 ――でしたが、これは
「リュリ作曲」説を取った演出なのでは?
と思われます。
だとすると、
17世紀起源の曲という事になりますが、
リュリって、




☝️「アマディス」組曲の中から耳コピーした。



 トランペットが弦楽オーケストラ
とティンパニ従えて高らかに響かせる、
こんな勇ましい曲書く人が
童謡の原作になるような曲を?

 …とか思ってしまいました。



童謡「月の光」にまつわるエトセトラ&c. 〜タイトル今昔〜

2023年09月12日 | 各話開始前エッセイ


 
☝️ 絵で描くとこういう感じの内容。



 小学生の時、
何年生かは忘れたけど
音楽の教科書か歌集に載ってた
綺麗な風景を歌った曲。

 牧場の空に丸い月が上って
夢のよう…というような歌詞。
その時は「月の光」という
タイトルだったと
記憶してる。

 現在は「月夜」「月の光に」
「月明かりのもとで」
のタイトルで呼ばれているらしい、
フランスの童謡。





 
☝️こういうメロディー。



 ベートーベンやドビュッシーの
鑑賞曲タイトルと紛らわしいから
変えちゃったのかな?
私の勘違いなのかな?
――は今となっては
分からない。

 フランスでは
今も昔もこれからも
Au clair de la lune
のタイトルだろうけど。