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ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

23-6 兵士は将来の夢を語らない方がいいのか?

2021年07月06日 | 第23話 才能開花



 お国に残留組の3人には、
戦場で隊列を組む時の行進曲や
戦闘時に戦意を高める効果音などを演奏する
チャンスはありません。

 とはいえ、フィクションの世界では、
兵士が将来の夢を語ると死ぬ確率がアップします。
2人の先輩は大丈夫なんでしょうか?

 プロヴァンスのある村の広場には、
ナポレオンが活躍した時代の戦いで
太鼓を叩いていた、ある実在の兵士の像が
現在でも立っているそうです。

 マルセルは軍隊にいた頃、
「ハナちゃん」La Fleur と呼ばれていました。
楽隊自体が町の人全体や近隣地域の人達からも
アイドルグループのような人気ぶり。
年少者で可憐な姿のマルセルは、
楽隊の「花」として、
とりわけ人気者だったのです。

 その事でマルセルは、
英国のマライア・バートラム准男爵令嬢が、
自宅のマンスフィールドパークで
ある小説を読む時代になっても、
「自分はその登場人物のモデルなのだ」と自慢し、
フルートでは懐メロ吹いて、
周りから呆れられる事となるのです。




23-5 笛吹きに出世の道は有るに非ず

2021年07月04日 | 第23話 才能開花



 諸事情により、
またアップが途絶えてしまっていましたが、
実は、25話までは描けてはいます。
このページは、初めてお絵かきアプリを使い、
スマホで編集してみました。



 以前はPCで全て編集していましたが、
お絵かきアプリ+スマホで編集する方が格段に楽なので、
これからその方法で細々と
アップして行こうかと思っています。

 ハリソンさんがアラベラさんの情緒不安定に
振り回された挙句に失恋、意気消沈していた頃、
マルセルは、お国のために何かしたい若者の一人として、
軍隊に入っていました。

 当時フランスは東インド(現在インド)と
西インド(現在カリブ海周辺地域)の覇権をめぐり、
英国と戦っていました。

 しかし、日本が第2次世界対戦末、
アメリカに負け続けたように、
フランスは次々と領地を失って行きます。
7年戦争終結後には、カナダとルイジアナも
英国に奪われる事に。

 上半分のアメリカでの勢力を失ったフランスの恨みは、
北米13州の英国本国への憤懣とシンクロ。
独立戦争でフランスは米軍側に味方し、今度は英軍が敗退。
ゴネる国王ジョージ3世を、
ノース首相が涙を流して懇願し説得。
パリで講和条約締結後、アメリカ独立が確定したのでした。

 とはいえ、フランス側も人を呪わば穴二つ。
合衆国成立がフランス国民の意識を刺激し、
かの大革命が起こってしまうのです。

 楽隊の人達が演奏しているのは、
最前列2名が小太鼓
2列目はオーボエ1名+F管フルート2名 
最後列でマルセルがピッコロを吹き、
お隣は低音楽器のセルパンという、
今では楽器博物館でしか見られない楽器を吹いています。

第1~21話は「漫画 ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN -フランス通過編-
で、ご覧になれます。



23-4 天才発掘

2019年09月08日 | 第23話 才能開花


 17~18世紀には現在使われている楽器が、
中世に使われていた楽器を元にして、続々と作られるようになっていました。
ヴァイオリンやオーボエ、フルート、クラリネット、ピアノ等がそうです。

 中世に東洋から伝わった横笛が

①軍隊での連絡用に使われていたファイフ
②楽曲演奏用のフルート

の二手に分かれました。
18世紀の軍隊ではファイフとフルート両方が使われていました。

 18世紀の前半までは、フランスやドイツが楽器製作の本場でしたが、
後半になって来ると産業革命の影響もあって、
英国が最先端を行くようになって来ます。
管楽器は運指を簡単にしたり、音量を大きくするために、
キーの数がどんどん増えて行きました。

 この物語当時の最新式フルートは、4鍵まで開発されていたようです。

 最後のコマでノアイラさん、驚いていますが、
マルセルの話の細かい部分は聞き流していたんでしょうか?

続きは10月以降となります。

第1~21話は「漫画 ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN -フランス通過編-
で、ご覧になれます。


23-3 いたずらなのか才能なのか

2019年09月08日 | 第23話 才能開花


 マルセルは子供でしたから、
自分から客の二人に「おじちゃーん見て~」
とか言ったのかもしれないし、
二人の方からマルセルに気付いて、
側に呼んだのかもしれません。

 お酒のビンはもちろん、ペットボトルも実は鳴らす事ができます。
けれどもちょっとコツがいります。
口を横に強く引いて、息を飲み口に対し平行・垂直の2方向へと
分割して吹き込むようにしないと鳴りません。

 これさえできれば、後は現代フルートの運指は簡単なので、演奏する事ができます。
ただ、吹奏楽部やオーケストラ等で活躍できるかは別かもしれません。

①部活で希望しても、唇の形や歯並びで別の楽器に回される可能性がある。
②容姿も、ある程度のレベルが要求される。
(実はかなり重要らしく、ここを無理やり突破し、技術やリーダーシップがあったとしても先々悩む事になる)

③合奏時には「自分が何吹いてんのか分かんねーよ!」と
音のデカイ楽器(金管&サックス)パートに心の内で憤る。

④「フルートと一緒だと自分の楽器の音が柔らかくなったみたい
とクラ(リネット)連中の引立役にされていた事に気付き、イラッとする。

⑤楽譜を見りゃあ細かい16分音符の山あり谷あり。
これを間違わず、すっ転ばす、全音符聞き取れるように吹かなきゃならない。

⑥こういった事に耐え続けているのにも関わらず、
端からは見た目が随一の華やかさだけに、
本当に一角だけ乃木坂&ジャニーズ(若い頃の田原俊彦含むw)
or橋本環奈、森川葵、立花音美
――張りの美少年・少女揃いだとすると特に、
「フルート吹きは目立ちたがり」と非難される。

 こういった事に耐えられる強靭なメンタルが必要なのだ!

―と前の作者が愚痴っていましたとさ。

23-2 はじめてのフルート

2019年09月08日 | 第23話 才能開花


 マルセルは魚料理屋の息子で、
年の離れた姉が一人います。

 父親の言ってるような、魚を笛にする事は、さすがとありませんでしたが、
巻貝を笛にはしていたようです。

 北部海岸地域で獲れた魚は、パリへも輸送されましたが、
入市税が高い上、いい魚は王侯や聖職者達の食卓に上ってしまうのでした。
それですら、塩漬けにされて、それなりの距離を運ばれて来たため、
新鮮とは言い難いものだったようです。

 一般市民の方々は残りの魚でガマンし、
お金を貯めては北部の町へと旅行して、魚料理を食べて帰って来ました。
そして、18世紀末に活躍したジャーナリストのメルシエ氏によると、
その事を周囲の人達に、残りの生涯中自慢して、
あきれさせたとの事でした。