夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(46)

2005-11-04 | tale
 ゴールデン・ウィークになった。入院患者には無関係なもののようだが、雰囲気が微妙に違う。自宅に帰る患者も多く、見舞い客も少なくない。しかし、家にも帰れず、訪れる者もいない患者と世間が休みでも働かなければならない看護婦たちの気持ちが病棟全体に漂い、どこか寂しげで不機嫌である。栄子もそういう気分に伝染したのか、夫と娘にわがままを言ったり、昔のことを話題にしたりした。輪子がむくリンゴに目を遣りながら、 . . . 本文を読む