『ユダヤ思想と運動』
第七篇 現代のユダヤ運動
第一章 序論
今や世界は大動亂の最中である。
此の渦の中で擧措を誤らず、天與の大使命に邁進するには地面、水面ばかりに現はれた現象を見詰めるのでなく、
地下、水中、上空の動きを知らなければならぬ。
前迄に説き來った處はその觀測の豫備作業であって、實際必要なのは之から説かんとする所である。
以下述べる所は素より今世紀に入ってすぐ起った事件の直接延長であって因果關係に結ばれてゐが、
前篇は第一世界大戦を中心とし、その結末を説き、
本篇に於ては第二世界大戰の序幕から皇紀2600年(昭和15年、1940年)の終り迄、
即ちユダヤの5700年未つ方のユダヤ運動を叙するのである。
生きた歴史であって新鮮な材料であるけれども、
現代活躍の人士の言行に關する事が多いので、
書物としては現はれないで精報の範圍に止るものが少くない。
併し之を除外するときは全貌が判らなくなるので之を取入れた。
後日補足修正を要するものもあると思ふから豫め之を諒とせられたい。
第二章 フリーメーソンの東洋政策
露、支、印を一ブロック・・・・・・國際聯盟の支那開發調査・・・・・・ユダヤ人シムプソンの誘惑
世界大戰も片附き、國際聯盟も成立した後レーニンが支那に着眼し、
之が赤化を以て世界赤化の上に一大巨歩を占めんとする企圖を蔵した事は屡々耳にした事であるが、
筆者が國際聯盟に使して居る間に、消息通であるフリーメーソン系の外人の口を通し、
更に今ではフランスの極右に立っ元共産運動者ドリオ氏の發表により、
支那人消息通(特に名を秘す)の發表等の中、一致する所を綜合すれば
フリーメーソンが第一世界大戰後東洋に対し執る政策は左の如く定められたものと認められる。
ロシアと支那とを打って一丸とする経済ブロックを造る。
次に之に印度を加へて露支印を一つのブロックとする。
その順序を誤ってロシアから印度へ先にしてはならぬ。
何となればロシアから印度へ向ふことには英國との關係で困るから、之は第二段の仕事とする。
其の主旨とする所は、
かくてロシアの1億6千萬、支那の4億、印度の3億5千萬の大人口を包含するときは世界總人口の半ばに達し、
而も人類未開拓の寶庫を廣大なる地域に包蔵するのであるから、
このブロックを形成し得れは天下の事半ば成れりと言ふべきである。
日本が僅か數十年の努力を以て大陸の東端に手をかけるに至った程度である。
今にして之を島國に送還せざれば将来に禍根を残すに至ると考へたのは彼等としては當然である。
右の方針と日満支ブロック又は東亜共營圏を日本の肝入りで造ることなどは到底氷炭相容れざること明かである。
フリーメーソンとユダヤの合作品たる國際聯盟が支那開發に力を入れ
奥地の調査に千萬元を使ひ、
最初人道上悪疫防止の援助をするとて衛生保健部長ライヒマン博士(ユダヤ人)を南京政府へ遣はし、
経済部長ソルター、交通部長ハースの如きユダヤ人を相次いで南京に送って文化開發の名義で工作を行ひ、
ソウエートロシアからはユダヤ人ボロージンやガロンなどを派遣して廣東の軍官學校を指導し、
支那の武力を涵養してフリーメーソン蒋介石の支那統一を助け、
日本排撃の準備工作に取かかった。
第一世界大戰には吾邦には幾多の約束をして英國側に立たしめ、
東洋・南洋からドイツ勢力を驅逐せしめたのみならず、
艦隊を地中海迄出動せて危険な作戰を手傳はせ、
而てヴェルサイユ會議、ワシントン會議等に於て漸次に山東省などの皇國の権益を返納させ、
九ケ約條約を造って日本の大陸に進出を掣肘し、
更に前の大政策に基づいて満洲からすら日本を排撃する手段を弄した。
支那政府の顧問であった英系ユダヤ人レノックス、シンプソンが筆者と會談の際、
日支間に幾多の懸案があるけれども、
貴國が大國の襟度を以て山東省を支那に返へしてやれば、他の諸懸案は一時に水解して、
明朗なる共榮状態になり得ると慫慂しから、
之に對して山東を還附すると直に旅順、大連返還を要求する腹が見えすいてゐるから、
日本政府もおいそれと山東は還附すまいと答へた。
其の後日本はユダヤ人シムプソン等の考へ通り山東を還附したから、
日支親善の賞が擧がるかと思ったが、事志と違った。
皇紀2589年(昭和4年、1929年)6月、濱口内閣成立の當初、
奉天にあった張學良は其の機關紙東三省日報をして左の意味の排日記事を公表した。
濱口内閣に要望す!
濱口若し眞面目に日支親善を希ひ、
排日の種子を無くせようと思ふならば、
須らく左に擧する諸條項を熱讀して速に之を實行に移せ
旅順大連租借地の返還
南満洲鐡道の還附
鐡道、商租其他目下交渉中の諸案件即時打切り
領事裁判權その他一切の不平等條約撤廃
朝鮮の獨立及び臺湾の返還
誠に實行不可能を承知の上の大膽な挑戰的、侮辱的論設てある。
之は學良一個の考へを超越した事柄で、フリーメーソン結社員蒋介石とも相通じ、
從って世界のフリーメーソンの意志を代表した發表と見られるのである。
即ち皇國日本を大陸から驅逐する大政策の動きである。
世界の有識者殊にユダヤ、フリーメーソンの研究を重ねる人の眼には、
日本を敵としてユダヤが策謀を廻らしつつあることを警告したものがある。
その一人は、ドイツの海軍少佐アルフレッド・シュトッスである。
既に滿洲事變勃發に先っこと3年即ち皇紀2588年(昭和3年、21928年)御大典の年の3月、
ミュンヘンの“世界戰闘”と云ふ雑誌に“猶太と日本の戰ひ”と云ふ題で一文を寄せ、
ユダヤ人等は歐米を團結して日本を攻撃させようとして居る。
そして其の動機は支那問題に端を發することを豫告したが、
更に皇紀2594年(昭和9年、1934年)即ち皇国が聯盟を脱退した後にて、
豊富な材料を以て之を補足し單行本として發行し、
左の如き文句をも用て日本の立場を全面的に擁護して居る。
世界は今やその基礎を揺り動かされ、貪慾なる策略に依って歪められて居る。
元来全く防禦のために生れた民族(日本)が、今「世界」(ユダヤ)の攻撃が自己に迫りつつあるのを見て、
他の民族の領土を占領するの止むなきに立至ったのは、實に世界の歪曲に依るのだ、
日本の眞意は東洋民族の自由回復にある。
誠に世界大戰の渦中に投ぜんとする今日に於ても此の通りである。