
四王天延孝著『ユダヤ思想及び運動』
第一章 概説
日露戦争をロシア革命に利用
・・・・・・フリーメーソン公認を拒絶した首相を暗殺
・・・・・倫敦から会費百萬磅ロシアに送らる。
全盛期の末年から今世紀初頭にかけて東に團匪事件有り、南に阿片戦争あり、
東西にわたって互って米西戦争あり、
再び東亞に日露戦爭が起って平和は攪乱され、
その間に多少ユダヤ人の活躍は傳へられたが、
最も目立ったのは日露戦争間に於けるユダヤの日本にする財政的援助とロシアに對する革命運動である。
彼の紐育の金融財閥クーン・ロエプの巨頭ヤコブ・シッフが、
我が財務官高橋是清氏に對し2億5千萬の戰債募集に応じたことは
厚意に感激する日本人の今以て忘るる能はざる所で、
日本政府はシツフ氏を勲二等に叙したのである。
その応募の目的が那辺にあるに拘わらず、日本としては大に感謝の意を表するが當然であった。
唯、何が爲に蕞爾解たる島国日本に一方的に金を出しかを考へると、
そこに彼等がロシアを打ちまかし、革命を起させて600萬人のユダヤ同胞の解放をやりたいと云ふ
前世紀未以来の燃ゆる様なユダヤ解放第一論者の考へが動いたことは當然のことである。
日露戦爭第一年から既にそこの社會黨等は時節到来と喜んで各種の運動を始めたこと並に、
露骨にも既に説いた猶太労働團隊プンド迄乗り出した事は
スピリドウイッチ著「露国に於けるポルシェヴィズムの歴史發生より政権奪取迄、1883年~1903~1917年」と云ふ
書物の上巻に散見する。
(スビリドーウィッチ氏は国家保安部及宮廷親衛隊の中で警視總監まで勤めた、
所謂、革命運動と闘った人物である)。
レーニン(本名ウリャーノフと云ふユダヤ系)や
ユダヤ人アクセルロッド(後、モスコー政府の新聞局長)の名も1905年のロシア革命に出てゐるのである。
クーン・ロエプ銀行團が世界大戦間に再びロシア革命の準備に奔走し、
1200萬弗の金を出したことは、後とに詳説するが、日露戦爭當時から目的は一貫してゐる。
この1905年革命は失敗に終ったが、
ロシアの弱点は暴露し、世界大戰間決行した本革命の小手調べ、豫行演習となった事は爭はれない事實である。
又日露戰爭間のロシア革命に就て、
フリーメーソンが各國から応援しことは當然であるが、世界大戰後に至り次の如く暴露された。
1905年4月發行のフランスのフリーメーソン新聞アカンシヤは、
『共和黨及佛國フリーメーソン会部はロシア革命が間もなく成功を収めることに就て多大の望みを嘱するものである。』
又ドイツ猶太人ベルンシュタインは1906年の社會主義雑誌に
ロシア革命の為ユダヤ人が如何に活動したか、亦現に活動しつつあるかは世間周知の通りである。
と述べて居る。
1905年のロシア革命は當時、まだロシア人が革命の洗礼を受ける程度に進んで居なかつな爲、
前記アカシア紙のを望は實現されなかった。
其の代りフリーメーソンはロシア政府に対し、公然フリーメーソンを承認することを要求したが、
首相ストルイピンは頑として此要求を却けた。
其の理由とする所は、
フリーメーソンの目的とする社会事業は、政府の監督下にある公然の結社でも十分目的を達成することが出来る。
然るにフリーメーソンの政治上の目的は、ロシアに於て19世紀の初め禁止された時以来今日迄、毫も変更されて居ない。
といふのであった。
此のストルイピンは1911年9月10日、
ユダヤ人ヘルシュコウイッチ・ベグロフ(「通稱デミトリ・モーテル」によって暗殺された。
このユダヤ人は秘密警察の一員にもぐ込み、
或る劇場で皇帝の目前でストルイビンを射殺したのである。
此の暗殺に因って誰が利益を得たかは特に書く必要がない。
(以上三項、ウイヒテル博士著『フリーメーソンと世界革命』の邦語訳111頁、112頁)
尚英國のモーニングポスト在露通信員であつたヴィクトル・マースデン著
『露西亜に於ける猶太人 半血猶太人 改宗猶太人』にも、
1905年に100萬磅の金が反乱費としてロンドンンから、ロシアに送られた。
ロシア政府は英國が送金したことを發表した一人の官吏の行為に就いて謝罪せざるを得なかつた。
この金は全世界に亙るユグヤ人に檄を飛ばしてロンドンで集金し、
そこからロシアに送ったもので、英國が送ったのではない云々と書かれてる。
如何に前世紀未のユダヤ解放策の第一案に對する同士が世界に散在してゐるかが判る。
其の後1907年頃からバルカンや支那大陸に革命とか一國對一國の戰争があり、
火薬の臭ひはして来たが終に1914年に世界大戰は勃發した。
この第一世界大戦には世界革命が伴い啻に地圖の塗り替へが行はれたばかりでなく、
國際政局、経済、文化、思想の各方面に互って一大變革が齎らされ、
而もその治まりが無理をしてある爲に、今回の大戰を巻き起こしてゐのるのである。
而て第一世界大戦にはユダヤ、フリーメーソンが陰にも陽にも大活第をして居るのであるから、
今世紀にける一大事件として特に一章を設けてユダヤ、フリーメーソンとの関係を説く。