取次営業orz

取次の営業とは何か

みんな!どこにいるの!?

2010-07-31 | Weblog
当社には、組織表がありません。
あるのかもしれませんが、すくなくとも営業には公開されていません。

組織表が無い、とは一体どういうことでしょうか。

社内にどんな部署があるのはかろうじてわかります。内線番号の一覧があるからです(これはこれで何故か外線番号が掲載されておらず、出先からは電話できないという営業泣かせのシロモノDEATH)。

しかし、その部署に誰がいるのかがわかりません。
そして問題なのは、その部署が何を担当業務としているのかがわからない、ということなのです。

営業は日々、書店からの問い合わせ、クレームを受けています。その内容な極めて雑多であり、担当部署の担当職員に照会しなくてはならないケースが多くあります。

でも、わからないんです。
「これって、○○部かなぁ、△△課かなぁ」
「どうだろ?部署の名前的にはそうっぽいけど・・・」
「もしもし、××の件なんDEATHけどぉ・・・」
「それ、ウチじゃないです」
(;゜Д゜)・・・。

これって、普通のことなんですかね。井の中の蛙にはわかりません。

こんなこともあります。

「そういえばアイツって、どこに異動になったんだっけ」
「・・・さぁ?」
(;゜Д゜)

私が経営なら、組織表は絶対に作ります。
どの部署が何を担当しているのかを明確にし、末端の担当者の業務、照会先までを明らかにします。

これは人事の仕事です。何故やらないのでしょうか。
部署の業務を明らかにする、担当者を明らかにすることは、責任の所在を明らかにすることと同義だからです。


おーい!みんなぁ!ドコにいるんだーい?
死~ん・・・。

責任**能力

2010-07-29 | カースト制度
重要な仕事を任される人には責任能力が求められますが、取次の場合は責任"回避"能力が求められます。

簡単に言えば、"いかに営業の責任にするか(できるか)"ということです。

例えば、所謂責任販売や契約販売は、一定の条件を満たすことで報奨金が支払われるという企画が一般的です。
しかしながら、報奨率を決めずに報奨条件だけを提示して受注を取って来いというパターンがあります。いくら貰えるのかワカラナイ"契約"を書店は結ばなくてはなりません。締切は刻一刻と迫っています。

問題なのは、企画の作り手であるバラモンは、全く悪びれることがないということでしょう。
むしろ、いくらかわかんねぇけど報奨出してやるんだからありがたく思え、ぐらいに考えていることでしょう。
最終的にカスみないな報奨率になって書店にクレームを言われても、それは決まってもいない報奨率をオーバーに表現し、過度に期待させた営業の責任になります。

また、セット企画では彼らが昨年実績を元に推奨のセット規模を算出してくれることがあります。
しかしながら、文系が多いからなのか、おパソが不得手なのかわかりませんが、適切な推奨がなされているとは思えません。
推奨セットのまま書店に導入して、棚が溢れ返品増に繋がれば、やはり営業の責任です。「推奨はあくまで推奨、現場を見て実情を判断するのが営業の仕事だろ」と。

そうか。ということで書店に実情に合わせたセット数を申し込んだ場合はこうなります。
「推奨数から乖離した数を申し込んだ書店は調整します。」しかも、後になって言ってくるのが常套です。

つまり、何を何処にどう送るかはバラモンがコントロールする。それに伴って発生するクレーム、返品、その他の責任はシュードラに取らせる。
これが基本構造です。

統括系スタッフに置き換えると、
何の数字にどう報告するはクシャトリアがコントロールする。それに伴って発生する責任はシュードラに取らせる。

これは、物流系でも、eビジネス系でも、システム系でも置換可能です。
シュードラへの責任転嫁をスムースに行える者が、より高い評価を受けるでしょう。
管理職もそれを容認しています。

取次営業の皆さん、ここにバビロンシステムがあります。
まずは気づくことです。

取次会社は何を売るのか3 情報

2010-07-26 | Weblog
[POSなどの販売情報、発注などの物流情報、新刊などの商品情報をオンライン等で流通させる。また市場動向に関する調査、報告を行う]


書店にとって、商品の情報収集は売上を左右する重要な仕事ですね。

商品情報は、様々な手段で書店に提供されています。

・出版社による営業。
版元(またはセレクター)が書店を回って、情報提供し受注を取るというスタンダードなやり方です。デメリットとしては、書店によって来たり来なかったり、思いっきりムラが出てしまうことです。

・取次による情報誌の発行。
"速報"とか"週報"とかいう名前がついた情報誌を毎週書店に提供しています。デメリットとしては、あくまで情報に過ぎず、どうすればそれを仕入れることができるのかわからないということがあるでしょう。
(この情報誌の決まり文句に「お問い合わせは弊社営業担当まで」という文言がありますが、営業は社内の誰に問い合わせればいいのか、ほとんどの場合わかりません。)

・FAX注文書
書店には殺人的な量のFAXが、版元・取次から送られているのではないでしょうか。デメリットはその量の多さと通信エラーが比較的発生しやすいことにあるでしょう。

・Web
版元のWebもありますし、取次のWebシステムもあります。デメリットとしては取次のWebシステムは有料だということです。また注文書データをプリントアウトして、番線を押してFAXして下さい、みたいな馬鹿らしい仕組みになっていることも問題DEATHね。

そして一番の問題は、全てが一つの場所に集約されない、ということにあるのではないでしょうか。これは取次の仕事です。
新刊情報、企画情報を一箇所に集め、それを仕入れる為ににはどういう注文方法をとればいいのか(注文できないのであれば配本のやり方)。それを書店に公開すべきでしょう。

仕入系スタッフは情報を出したがりません。情報を出して"客注なんとかしろ"とか営業が騒ぎだしたら鬱陶しいからです。でもそれは、注文ルールを開示していないからでしょう。そこを曖昧にしたまま、版元は「取次に言え」と言い、取次スタッフは「一応短冊預かります」とか「とりあえず自分で短冊持っててください」とか言ってしまう。

大事なのは、公明正大であることです。委託販売制度なのですから、書店に仕入れの自由はありません。客注がなんとかできなくてもいいのです。配本が0でもいいのです。
でも、どういう商品がどういう根拠に基づいて書店に届けられるかは情報開示すべきじゃないでしょうか。


キレイゴトばかり書いてしまいましたが、今、取次会社(あるいは業界?)を蝕んでいる最大の要因は、この"アンフェアさ"にあるのではないかと私は考えています。
社内カースト制度により、取次営業は多くの矛盾や理不尽に晒され、やがてそれに慣れ、呆けていきます。
"アホでカス"になってしまうのです。

脱線気味DEATHね。
さぁ、取次会社はこれから何を売っていくのでしょうか。
私は今日も媚を売っています。
はぁ・・・。

取次会社は何を売るのか2 物流

2010-07-23 | Weblog
[新刊、注文商品を全国の書店に出荷する。また多種多様な商品を在庫し注文に対応する]

物流のポイントは3つです。
1.安さ
2.速さ
3.正確さ

1.安さ
安いですよね、取次の物流は。書店への送料は無料ではなかったでしょうか。
でも、書店にはあまり満足していただけていないようです。
他の2つのポイントがあまりにも杜撰だからです。

2.速さ
ダメDEATH。でも昔よりよくなったと言われますね。取次在庫商品であれば、SA発注から中2日位で届くこともあるようです。特に棚卸月は、納品が早く。「やればできるじゃないか」と書店に言われます。
問題は版元取寄の場合DEATH。1週間の時もあれば、2週間、それ以上の時もあります。書店からは「どーなってんだ!」とクレームを受けますが、どーなってんのかわかりません!わかるのは、大きな書店ほど頻繁に商品を出荷しているので、早く届きやすいということぐらいです。

3.正確さ
ダメー!行方不明と破損の嵐DEATH。
だいだい、出版社から搬入になったのかどうかすらわからないのです。
以前、私の経験した事故では、版元は「間違いなく搬入した」と言い張りました。
結局、納品書まで遡って確認した結果、確かに取次に搬入されていました。
版元は鬼の首を取ったかの様に難詰を始め、私は脂汗をかきながら謝るしかありませんでした。
しかし後日、物流センターから事故品としてその本が私の元に届きました。
版元は、その書店の番線コードを豪快に間違えていました。書店に届くわけがありません。
私は抗議のFAXを版元に送りましたが、黙殺されてしまいました。

事故を水際で喰い止めることが、まずできていません。
そして今度は取次による手違いが多数発生します。
※過去記事:取次営業の仕事 物流事故処理1

物流システムで他取次との競争に勝つには、"納期を約束する"しかないでしょう。
私が書店なら、納期を約束してくれる取次と契約を結びたいものです。
破損は起こるでしょう。紙の商品を裸で流通させているわけですから、破損の発生はある程度止むを得ないと思います。大事なのは、事故が発生した場合の補償をどう行うのかを明示することにあります。
事故を減らす、無くすためにどうこうするという話は聞きますが、事故が起きた時はこう対応しますという物流、乃至会社の声は聞いたことがありません。

ただ、何もしていないわけではありません。
当社では、10年程前から客注専用の物流サービスを運営しております。

これを利用すれば、納期もわかりますし納品も速いです。しかし無料というわけにはいきません。手数料をいただきます。「正確さ」と「速さ」は有料なのです。もしこれを無料にできれば、当社の大きなアドバンテージになることでしょう。
経営側の皆さんいかがですか。

この手数料に納得できず、あくま通常物流で客注品を注文して、事故って取次営業に文句を言ってくる書店もありますね。まあ、書店の言い分が正しいんですけど、私に言わせれば「あーたホントにオキャクサマのコト考えてるノ?」って感じDEATH。

たとえ有料サービスでも選択肢があるのです。
それを利用している書店にこそ、それを利用せざるを得ない現状の物流に抗議する権利があるのではないかと私は思います。

次回は、"情報"についてです

取次会社は何を売るのか1 商流

2010-07-21 | Weblog
[出版社にとっての販売代行、書店にとっての仕入代行、書店からの代金回収と出版社への支払い。]

"書店にとっての仕入代行"ですから、いいモノを安く仕入れてあげればいいわけです。

まずは、「正味の話、どないやっちゅうねん!怒るでしかし!(横山やすし1944-1996)」ということがありますね。
正味を下げれば、帳合は増えるでしょう。また実際そうして取引書店を増やしてきた(減らしてきた)とも言えるでしょう。
次に、配本ですね。宝島の美顔ローラーなんかをイッパイ付けてあげればいいでしょう。

いいモノを安く供給するのは、取次にとって儲からない仕事DEATH。
薄利ですから。これは大手ナショナルチェーン等に当てはまりますね。
反対に、わるいモノを高く供給することも、取次にとって儲からない仕事です。
返品フリーなんですから。無意味です。これは、一般の中小書店に当てはまりますね。

取次にとって儲かるのは、いいモノを高く供給することです。書店側の言葉に直せば、「正味は安くないけど、配本には満足している」ということです。
だから、パターン配本、実績配本だけではダメなのですヨ。
一方で、わるいモノを安く供給しようというやり方もあります。返品できない条件で。
ほら、あれとかアレとか。

返品に関する問題もあります。いらない本は返品すればいいわけですが、入帳〆日が不明、または早いので、書店は月々の支払額をコントロールすることができません。
入帳〆後の数日間を狙った過剰配本は、決算月などに特に多く見られる現象です。
新刊の発行自体は版元が決めることですから、取次はギリギリまで返品入帳してやるしかないのです。これによって月末送り込みのバイアスは緩み、自然と総量規制が掛かることでしょう。
書店にとっては帳合変更の決め手にもなりうるでしょう。

"出版社にとっての販売代行"という面はどうでしょうか。
私は営業ですから版元取引には詳しくありません。ネット上で黒い噂を見たりする程度です。
自社商品を安価に全国へバラ撒けるという取次のシステムは、版元にとっては今も魅力的なものでしょう。版元は取次と取引せざるを得ない状況なのではないでしょうか。ですから取次は、特に中小版元には厳しい条件を提示しているようDEATH。

しかし、ディスカバー21の躍進、電子書籍の普及などによって僅かばかりですが、取次を介さない出版流通ビジネスの可能性が見えてきました。

いつか、中小版元に頭を下げる取次仕入の姿が見れるかもしれませんね。

取次会社は何を売るのか 前置

2010-07-19 | Weblog
取次は何を売っているのでしょう。

「本だ!本田!HONDA!」

違います。
取次はシステム(仕組み)を売っているのです。

取次の機能は大きく分けて3つあると思います。

1.商流機能
[出版社にとっての販売代行、書店にとっての仕入代行、書店からの代金回収と出版社への支払い]
一つの書店が、4,000社もある出版社と個々に販売契約を結ぶのは大変すぎます。また、1つの出版社が15,000軒もある書店と個々に販売契約を結ぶのは大変すぎます。(ディスカバー21スゴイね)
金融面でも、送返物流の制度下では双方に、回収リスクが生じてしまいます。「払え!払って!待って!逃げた!?」もう大変です。

2.物流機能
[新刊、注文商品を全国の書店に出荷する。また多種多様な商品を在庫し注文に対応する]
書店は、一日に4,000回もクロネコが来たらたまりません。また、出版社は、1日に15,000匹もヤマトを発射できません。

3.情報機能
[POSなどの販売情報、発注などの物流情報、新刊などの商品情報をオンライン等で流通させる。また市場動向に関する調査、報告を行う]
商品情報を掴むこと、書店の販売情報を把握するには、取次のような集約システムがあったほうが便利ですよね。

つまり、
この3つの機能において、より使いやすいシステムを提供した取次が、
帳合切替というゲームの勝者となります。

それでは、これらのシステムについて、個別に検証してまいりましょう。
(つづく)

敢えて書く 営業不要論

2010-07-17 | Weblog
当社も不況の折、リストラが断行されております。
リストラの対象になるのは、営業職です。スタッフ職にその手が及ぶことはありません。以前行われたリストラは、それに応じない営業が地の利のない地方支店に異動させられるという屈辱極まりないものでした。一定の年齢層の営業マンばかりが対象の、グロテスクな辞令が発令されたのです。

普段、"営業力"だ何だと言っておきながら、真っ先に切られるのが営業です。
つまり営業は、要・不要の優先順位の一番下に位置しているということです。

でも、それはそうなのかもしれません。

当社の取引書店は、1000坪のナショナルチェーンから10坪のパパママストアまで、その形態は多岐に渡ります。それぞれに営業担当がついており、臨店なり電話なりでコミュニケーションをとっているわけです。

毎日行く、行かなくてはならない書店もあるでしょう。毎日電話が掛かってくる書店もあるでしょう。月1回ぐらい行く書店もあるでしょう。ほとんど電話しない書店もあるでしょう。行かない書店もあるでしょう。

はっきりいって、営業が何もしなくても書店は回るのです。臨店頻度だって、勿論売上規模は考慮されますが、「定期的に行かないとうるさいから」みたいな理由も多分にあることでしょう。

営業は結局、クレームを受けて、それを処理して、あとは物流補助をやってるだけです。ただその数、業量が尋常ではありません。
書店も、取次営業に求めているのはクレーム案件の迅速な処理と、物流補助でしょう。

クレームのない状況で、補助する必要のない物流が配備されれば、もはや営業は不要なのです。

我々は、どうしても現状のスタッフ系や物流系に不満を漏らしてしまいます。
しかし、それらの問題が解消したら、我々は即死なのです。

取次営業の仕事は尻拭いです。謝ることです。
彼らが私たちに仕事をくださるのです。

さぁ、ウ○コしてちょーだい!

バラモン ―慢心の構造―

2010-07-14 | カースト制度
バラモンの職務目的は、売上の最大化です。
これは自分の担当する本の送品を最大化し、返品を最小化することを意味します。
対し、シュードラの職務目的は、売上の最大化です。
これは自分の担当する書店の送品を最大化し、返品を最小化することを意味します。
おや、利害は一致しているようDEATHね。

しかしながら、実態は全く異なります。

バラモンの本当の目的は、仕入・調整・配本というルーチンを如何に楽に、早く、ストレスフリーに仕上げるか、ということにあります。
何を何冊、どこに送れば、返品を最小化し売上を最大化できるかなどわかりませんし、仕入れ部数も取次のシェアで大体決まってしまいます。
とどのつまり、売れる商品はどこに送ろうが売れるし、そうでないものはそもそも手間をかける意味がない、ということです。

翻って、
シュードラの本当の目的は、担当書店との関係を良好に保つことです。ただでさえ物流事故・遅延が頻発し、頭が上がらないのですから、客注手配や新刊の希望数の確保くらいチャンとやんないといけません。それが、意味のわからない企画モノの受注や、採用品の獲得や、帳合の切替・被切替に影響を及ぼすのです。

換言すると、
バラモンは、「個店単位の調整なんかやったって売上なんか変わりゃしない。だったらどこまでラクできるかでしょ」

シュードラは、「この客注ミスったら他帳合に注文ながれちゃうよ~。企画モンの注文もらえねぇよ~。送り込み許してもらえなくなっちゃうよ~。」

こんな感じになります。
利害は全く一致しません。

ラクをしたいバラモンに対し、シュードラは常にお願いする立場にあります。
「これ客注なのでお願いします」「これ希望数なんですけど減数も止むを得ないのは重々承知しておりますので、短冊、預かるだけ預かっていただけないでしょうか?」「版元に、取次にフリー入れてるから、そこから使ってくれって言われちゃったんですけど・・・」

バラモンにとってシュードラは蝿です。
様々な虫除け対策が講じられています。

バラモンは神ですから、ルールを制定します。そして、それが明文化されることはありません。明文化すれば、自身もそのルールに縛られてしまうからです。

「それが営業とのお約束ですから」
(;゜Д゜)))えーっ!そんなオヤクソクあなたといつどこで交わしたの!?ボク記憶喪失?

「それはご相談です」
(;゜Д゜)))えーっ!だから相談してるんでしょ!答えになってないよ!

「締め切ってます」
(;゜Д゜)))えーっ!昨日、忙しいから後にしろって言ったのアンタだろ!

「こんなことやってなんの意味があるの」
(;゜Д゜)))えーっ!注文した、オキャクサンに、本が、届くん、だよ!

「おぼえてられません」
(;゜Д゜)

シュードラは文句を言いません。今後のことを考えればそうせざるを得ないのです。
どころか、シュードラはバラモンに媚を売りまくります。ゴマをすりまくります。
バラモンが、機嫌を損ねないように。

誰だって、毎日お追従に晒されていれば、慢心してしまいますよね。

ヨッ、バラモン様ニッポンイチッ!!

取次会社のカースト制度

2010-07-11 | カースト制度
【カースト制度のヴァルナの枠組み】

■バラモン
神聖な職に就いたり、儀式を行うことができる。ブラフマンと同様の力を持つと言われる。「司祭」とも翻訳される。

■クシャトリヤ
王や貴族など武力や政治力を持つ。「王族」「武士」とも翻訳される。

■ヴァイシャ
商業や製造業などに就くことができる。「平民」とも翻訳される。

■シュードラ
一般的に人々の嫌がる職業にのみしか就くことが出来ない。バラモンに対しては影にすら触れることを許されない。「奴隷」とも翻訳されることがある。

※ウィキペディアよりざっくりと抜粋


【取次会社のカースト制度のヴァルナの枠組み】

■バラモン(仕入系スタッフ)
商品を仕入れたり、配本を行うことができる。特に書籍系スタッフは神と同様の力も持つと言われる。「慢心」とも翻訳される。

■クシャトリヤ(統括系スタッフ)
上層部とのパイプなどで発言力や社内政治力を持つ。「保身」とも翻訳される。

■ヴァイシャ(その他スタッフ)
物流系、システム系、ネット系、総務系など様々な職務に就く。「平民」とも翻訳される。

■シュードラ(営業)
一般的に会社の人々の嫌がる職務にのみしか就くことが出来ない。バラモンに対しては影にすら触れることを許されない、くらいの扱いを受ける。「奴隷」とも翻訳されることがある。

書籍新刊の予約はできるのか

2010-07-10 | 取次営業の仕事
書店「○○の客注入ったから付けて」
書店「版元に電話したら取次に言えって言われたから配本付けといて」

普通のことですよね。

新刊予約を受けた取次営業は、短冊を作って(未だに)、新刊配本担当者、乃至仕入系スタッフにお願いに行くわけです。

あいよ!って感じで何事もなく予約が完了する場合もありますが、そうでない場合が多いですね。

「仕入れ部数がわからないので、付けられるかわかりません」
「フリー分がいくつあるかわからないので付けられるかわかりません」
「とりあえず預かります」
「付けられないかもしれないから、短冊は預かれません」(これは"付けられるかもしれないけど預かりません"ということ)
「おぼえてらんねぇよ」
「あなただけを特別扱いするわけにはいかないんDEATHよねぇ」
「まだ誰が担当するか決まってません」
「あとで部数調べ回すと思うんでとりあえず自分で持っといてください」

まぁ、仕入系スタッフに言わせれば、
"なんでも客注っていえば配本付くと思ってんじゃないわよ。そもそもホントに客注なのかしら。版元に言ってよ。そんないちいち客注なんか受けてたら仕事終わんないわ。見落としたり忘れたりしたら、アタシのせいになっちゃうじゃない。どこの書店に送ろうがこっちは返品が少なければそれでいいのよ。めんどくさいわね。"
てな感じなんじゃないですか。

ムカつく気持ちを抑えつつ、冷静に考えてみれば、このスタッフの行動は間違ってはいないのかもしれないのです。

新刊委託制度については前回書きました。
『出版社や取次販売会社は、書店に対し出版物を配本し、書店は配本された出版物を販売し、売れ残った商品については一定期間内の返品が認められる制度。』
DEATH。

つまり出版物を配本する権限は「出版社や取次販売会社」に有り、書店には無いということです。だからこそ「売れ残った商品については一定期間内の返品が認められる」のです。

書店「バカヤロウ!カバチタレてんじゃねぇ!客注なんだぞ!返品しねぇんだよ!付けろやゴルァ!!」

そのとおりです。客注対応は書店の生命線です。1冊の本が、顧客のライフタイムバリューを決定付けることもあるでしょう。

そこでお願いDEATH。

書店は新刊の客注を受けたら、まず出版社に連絡しましょう。大事なお客様の注文なのですから取次営業に丸投げしちゃダメですヨ。

出版社は新刊の事前予約を受けてください。受けられない場合でも「取次に任せている」というような無責任なことは言わないでください。

仕入系スタッフは「事前予約は受けられない」と宣言してください。受けられるのでれあれば、締切日や提出先、提出方法を明確にし、営業と書店に開示してください。あなた方の高慢で曖昧な対応は、結果的に書店の客離れを推進していることに気づいてください。
「なんだ注文できないのか。じゃネットで買おっと」と読者に思っていただいた方が、書店へのダメージは少ないはずです。


それにしても、取次営業はあらゆるところに頭を下げて、こういったケースの対応に奔走していますよね。書店への営業活動以上に、社内営業に骨が折れます。

取次営業の社内カースト制度におけるヴァルナはシュードラですからね。
えっ?不可触だって!?

次回は社内カースト制についてです。

思考の限界!委託販売制度

2010-07-07 | 取次営業の仕事
【委託販売制度】
出版社や取次販売会社は、書店に対し出版物を配本し、書店は配本された出版物を販売し、売れ残った商品については一定期間内の返品が認められる制度。

■買切扱い
返品できない条件で売買されることで、たとえ売れ残ったとしても、返品することはできない。

《書籍の流通条件》
・普通委託(新刊・重版)/返品期限105日
・長期委託/4ヶ月 6ヶ月 など
・常備寄託/1年
・注文品/返品不可
・買切品/返品不可
・延勘品/返品不可

※取次の発行する手帳よりざっくりと抜粋


大変です書店様!御社の在庫、ほとんど返品できませんよ!ガンバってください!
・・・・・・んなわきゃない、ですよね。

以下は取次営業の私の感覚の流通条件です。

【委託販売制度】
出版社や取次販売会社は、書店に対し出版物を配本し、書店は配本された出版物を販売するか否か自由に選択できる制度。返品は自由だが仕入の自由はない。

■買切扱い
委託条件と違い、出版社に対し即、支払いが行われる条件。返品できるか否かは不明。

《書籍の流通条件》

・普通委託(新刊・重版)/永久に返品できる。但し、廃業版元と草思社は返品期限105日

・長期委託/永久に返品できる。但し、廃業版元は返品期限4~6ヶ月等

・常備寄託/1年

・注文品/大半の商品が永久に返品できる。但し、廃業版元と買切版元と一部企画ものなどは返品できない。どこが買切版元で何が"一部企画もの"に該当するのかは、経験からボンヤリとしかわからない。
※しかしながら"逆送"は取次の物流センターで判断されており、そこには逆送商品のマスタが単品レベルのデータとして存在していなくてはならない。てゆうか存在している。

・延勘品/永久に返品できる。但し、廃業版元と買切版元は返品不可。返品できる商品でも、例えは3延べを、3ヶ月以内に返品すると逆送になるケースがある。同じ延勘でも何が逆送対象になるかは、経験からボンヤリとしかわからない。


簡単に言ってしまうと、
出版社に返品を受ける意思があって、取次物流センターの商品マスタが「返品可」になっていれば返品でき、そうでない場合、マスタが「返品不可」になっていれば返品できない(逆送される)のです。

書店「じゃあ、その商品マスタ、公開してちょーだい」
取次「ダメー!それを公開したらテキストの流通条件を守っていないことを認めることになるもん!取次営業にも公開しないもんねー」

だから私も、何が返品できて、何が逆送になるのか、尻ません。
書店に「これ返品できますか?」と聞かれます。いつも勘で答えていますが、本当は・・・。
尻ません。

取次営業の仕事 企画販促

2010-07-05 | 取次営業の仕事
企画商品の販促は、取次会社が営業に求める機能の一つですね。「注文取ってこい!」ということです。
しかしながらその機能は十分に働いておらず、送り込みが横行しているわけです。
そしてついに、計画販売制の導入により送り込みが阻止されようとしています。
ここまでが前回の内容です。
では、販促(受注促進)の現場とはどのようなものか、お話しましょう。

まずは営業経験のない取次スタッフがイメージする営業の販促を書いてみましょう。

1.営業はまず、企画の内容、条件、受注目標数について理解を深める。
2.受注目標を達成するために、担当書店への販促計画を立てる。(スタッフが作成した実績データなどを参考にどこの店舗で何冊売れるかシミュレーションする)
3.電話、臨店による受注促進を開始する。
4.スタッフが用意してくれたチラシ・ポスターなどをお店に設置してもらい事前予約活動を行う。
5.受注状況を定期的にスタッフに報告し、受注進捗を管理する。
6.予約分+店頭分で受注を確定させる。条件について十分に説明し、書店に利益を還元するための企画であることを理解させ、目標数以上の受注を獲得できるよう最善を尽くす。
7.商品が発売になった後も、展開方法や売行状況を確認しながら、補充・追加注文獲得など、アフターフォローを行う。

こんな感じでしょうか。
では実際は―。

1.営業はまず、企画の内容、条件、目標数について理解を深めようと努力しますがわからないことだらけです。
例えば―。
・"3ヶ月延勘"とだけ書いてあり、返品できるのかできないのかが不明。
返品できる商品とできない商品では受注数が大幅に変化します。
・受注締切日が不明。
論外DEATH。
・読者向けの注文書しかなく、販売条件が明記された書店向け注文書がない。
自分で作れってか。
・受注目標数の根拠が不明。版元作り部数に依拠している。
根拠不明の目標を追いかけられる理不尽さ。
・プロモーション計画が不明。
宣伝するの?しない?どうなの?

返品できるのかできないのか不明で、受注締切がいつなのかもわからず、プロモーション計画も不明で、書店向けの注文書もない商品を、根拠不明の目標冊数、受注してこいと。

2."必達"目標が割り当てられる。
営業の目、あるいはデータから判断できる適正受注数(まぁこれはこれでアテになりませんが・・・。)は関係なく、必ず達成しなくてはならない必達目標というモノが課せられます。

3.電話、臨店による受注促進を開始する。
「申し訳ありません。この数やらなくちゃいけないんです。なんとか協力してもらえないですか。お願いします!すみません!さーせん!見本?んなもんありません!」

4.不透明な販促物の流れに翻弄される。
・書店に直接送付されていて、営業は何がどこに送られたのか不明なパターン。
・チラシ・ポスターが営業に渡されて書店に送付しろというパターン。チラシは送れますけど、ポスターってどうやって送ればいいんですか。
・チラシが不足しているパターン。1軒に3枚しか送れなかったんですけど、読者に告知徹底できますかね。

5.受注進捗を改竄する。
ゼロなんですけど・・・。ゼロじゃダメなんですよね。報告毎に進捗率が伸びて、最終的に達成率100%になんなきゃダメなんですよね。じゃあ今週は3冊注文上がりました。来週は5冊注文上がって8冊になりました。と報告しましょう。

6.販売条件を崩して目標受注を確定させる。
「なんとかお願いしますよぉ。30冊やってくださいよぉ!売れなったら引き上げますからぁ。なんとかしますからぁ。俺2冊買いますからぁ。」

7.ショタレの処理に途方に暮れる。
売れなかったなぁ。引き上げちゃったなぁ。どうしよっかなぁ。

こんな感じじゃないっすか。
ですから、計画販売制のような送り込みできない企画が増えてまいりますと、取次営業は機能不全に陥るわけです。

あれ?もともと機能不全だったけか。

計画販売制

2010-07-03 | 取次営業の仕事
計画販売制は、所謂部安入帳型の責任販売制のことで、小学館がこのように呼称してますね。

通常の委託商品を正味77で返品フリーと仮定します。
計画販売制では、この通常の委託条件とは別に、
正味65で返品入帳正味30というような条件を提示して書店に選択させています。

例えば、本体価格1,000円の商品の場合―。

■委託条件 
・仕入値 770円
・販売利益 230円
・返品した場合の入帳金額 770円
・返品損益 0円
→リスク0% リターン23%

■計画販売制
・仕入値 650円
・販売利益 350円
・返品した場合の入帳金額 300円
・返品損益 350円
→リスク35%(委託に比べて+35%) リターン35%(委託に比べて+12%)

こういった条件になります。どっちがいいか選びなさいというわけです。
「リスクが+35%でリターンが+12%なら、ノーリスクの委託の方がいいんじゃない」と思われるかもしれません。
しかし、委託は"調整が入る"のです。計画販売制で○冊、委託条件で○冊というふうにしてリスクを軽減することはできません。委託は何冊入ってくるかわからないんですから。"計画販売"しようがありませんね。
選択肢が与えられているようで、そうではないのです。

これは明らかに書店にリスクを負わせようという意図が感じられますね。でも、「くらべる」が大ヒットして、よかったですね。書店も喜んでますヨ。
あと、取次への条件ってどうなってるんですかね?やっぱり計画販売を仕入れた方が儲かるんですか。

まぁ、何にせよこれはさすがに送り込みできませんね。送り込んだ結果、返品になれば書店に不利益が発生しますから。犯罪性のある行為と言わざるを得ません。

ですから取次営業は一生懸命書店に案内し受注促進しています。出版社様、社内スタッフ様に言わせれば、「やっと、まともに仕事するようになったか」といったところでしょうか。

でも、今はまだいいですけど、今後この手の企画がメインストリームになってしまうと、取次営業は機能不全に陥りますよ。

何故かって?
また次回。