取次営業orz

取次の営業とは何か

論創社『出版販売試論』を読んで3 これはそのとおり

2010-08-27 | 読書感想文
昭和四十五年七月に発表された出版販売合理化審議会の『返品減少対策報告書』について、

『「対出版社――清新にして魅力的な企画開発を行う」、「対取次――責任をもって適正仕入れを行う」、「対小売店――予約注文を積極的に行い、自主仕入れを行う」等それぞれに対策が講じられており、平成二十二年の現在でもこれ以上内容の濃い「対策」は考えられないであろう』77頁より

いいですね。では何故、返品は減少しないのでしょうか。出版社が予約注文を受けないからです。ハイ次。

『例えば現在、出版社は「取次が配本してくれれば良い」、取次は「一日二〇〇点前後の新刊の厳密な意味での適正配本など物理的に不可能」、書店は「毎日何が送られてくるのか解らない、売れなければ返品すればよい」、要するに三者三様の「甘えの構造」漬かって半世紀以上過ごしてきた(中略)』88頁より

これはうまくまとめてますね。
ただ、肩入れする気はないんですけど、この場合の書店は「甘え」じゃないでしょう。
だって、『甘えの構造』を脱却するために、出版社は「ちゃんと書店に営業しろ!予約注文受けろ!」、取次は「物理的問題の前に楽をしようとしてるんじゃない!適正配本できるように人員とシステムを配備しなさい!」と言えますが、書店は・・・、えっ?どうすりゃいいんですか?

『「責任販売制」に対する書店側の最も辛辣な意見は、「おつき合いではやるが、大きなビジネスが動くとは思えない。はっきり言って金と人と時間のムダ」(『新文化』平成二十一年七月十六日号)』91~92頁より

みんなホントはわかってるんだよね。
わかってないのは・・・・・・うぅっ!!

/(。□。;/) 死~ん・・・。

―END―

論創社『出版販売試論』を読んで2 その他のツッコミどころについて

2010-08-22 | 読書感想文
『「再販制度見直し論」に対しては、業界あげて反対の立場に立つのは当然』21頁より

そういうことだと私も思っていたんですが、これ本当ですか。
ここで申し上げたいのは外商についてDEATH。外商商品、特に採用品の受注獲得合戦は熾烈を極め、公然と値引き販売が行われていますね。出版社は、出版物における再販売価格の拘束が認められているにもかかわらず、それを行使していませんね。
これって、再販制度が崩れているってことじゃないんですか。この時点で、外商活動において値引き販売を慣行している書店、それに対し再販売価格の拘束を行っていない出版社は再販護持を主張する資格はありません。
業界あげて反対というわけにはいかないんじゃないですか。


『「仕入れの適否について小売店はリスクを負うのであり、逆にそれゆえにこそ仕入れには最も神経を使うことになる。書店にあってはこのように主体的に自ら仕入し、それに対してリスクを負うという姿勢がほとんどみられない。委託制度と再販制度によりかかり、それに『甘え』ているために、小売商として最も大切な資質を自ら喪失してしまっているのではないだろうか」。』61~62頁より

これは著者の言葉ではなく、「大阪書店商業組合」が昭和六十三年三月に発表したものだそうです。
『甘え』ですよ、書店の皆さん。こんな考え方が書店側から提出されたことに驚きを隠せません。


『(中略)未だ誰も提案したことのない「物流の平均化」のために、全出版社の〆日をアイウエオ順に分ける「〆日の変更」について一考できないものか。
すなわち「あ行は五日〆」、「か行は十日〆」、「さ行は十五日〆」、「た行は二十日〆」、「な行は二十五日〆」、「は行以下は三十日〆」という具合にである。
出版ニュース社の『日本の出版社』によると各行大体名簿上は七〇〇~八〇〇社位なので、業務に差し障りは少ないと思う。』111頁より

"は行以下"の扱いが雑!てゆうか版元の扱いが雑!


この著者の考え方の特徴として、業界三者(版元・取次・書店)全てのコンセンサスが得られなければ推進不可能な改革案が多いんですよね。

でも、AmazonもAppleもGoogleも業界の合意など得ずに、出版市場に頭角を現しました。読者の支持を得ているからでしょう。

無視しすぎたんですよ。読者を。

次回は、『出版販売試論』最終回、これはそのとおりだ、と思うところです。

論創社『出版販売試論』を読んで1 「取扱マージン制」について

2010-08-17 | 読書感想文
書 名:出版販売試論
副書名:新しい流通の可能性を求めて
出版社:論創社
著 者:畠山貞
税込価格:2,100円(本体2,000円+税)
発行年月:2010年6月
判型:B6
ISBN:9784846008734

栗田書店(現栗田出版販売)にて取次業務に従事された著者が、今日的課題である「返品問題」解消のため独自の「取扱マージン制」の導入を提案する。
というのがこの本の概要だと思います。

では、「取扱マージン制」とは一体何なのか。まずは抜粋させていただきます。

『*私案「取扱マージン制」の基本
(1)出版社から取次への送品は原稿より正味を二%上げる。例えば現行で正味六八%の場合、七〇%とする。但し返品は更に三%の歩高入帖とする。
(2)取次から書店への納品は現行より正味を三%下げる。例えば現行で正味七八%の場合、七五%とする。但し返品は更に三%の歩安入帖とする。』103頁より

本体価格1,000円の本で、入正味68、出正味78と仮定した場合、「取扱マージン制」を適応すると。

取次は出版社から700円で仕入れます。書店には750円で卸します。
取次マージンは50円も減ってしまいました。

しかしながら、返品が発生した場合。
取次は書店から720円で引取ります。出版社には730円で返します。
なんと取次は60円も儲かってしまうのです。

そして著者は、
『(中略)出版社サイドとして「送品の選別」に厳しくなり、返品率を四〇%以下に抑えれば現行より多く利潤が望めるようになる。(中略)書店の意見として「返品減少」より「売り損じを恐れる」という発言が業界紙で報じられており、事実その通りであろう。(中略)返品率が五〇%以下なら明確に粗利が増える制度になれば、書店の返品に対する考えも変わってくるのではないか。(中略)「取次」のマージンが、私案では一見、減少するように見えるが、(中略)返品率の改善により、諸経費は遥かに軽減されるので、このシステムを活用したほうがベターであろう。(中略)取次サイドとして、返品増はより多くの利益に結びつくという考えも成り立つ。しかし、これは出版社・書店の望む所ではないので、そうなることはないだろう。「返品減少」の実質的解決には、この私案の「取扱マージン制」が一考されてもよいのではないか』108~109頁より
と、主張してるわけです。

・・・・・・。一考してみたのですが、全く実現性がないと思います。ダメです。

まず、「歩高入帖」という考え方がありえないですよね。
上の例えだと、700円で仕入れた本を730円で返品するわけですよね。
配本しないで、全部返品すればいいじゃないですか。
「そ・・・そんな悪魔のようなこと、取次がやるわけないだろ!」
やるかやらないかじゃなくて、できてしまうということが問題なんです。

そして、現状「委託販売制度」の返品期限105日は、版元廃業時にのみ適応されており、実際には期限なし、フリー入帖ですね。しかし「歩高入帖」制を導入すればそうはいかないでしょう。版元は期限105日を過ぎた本の返品は受けなくなるでしょう。版元の言い分が正しいのでどうしようもありません。書店は105日を過ぎた本を店頭に置けるのでしょうか。取次は委託期限外の本を在庫できるのでしょうか。

書店側ですが、返品は一律歩安入帖になるわけですよね。そして配本は版元と取次が決める。これは「いじめ」の構造にしか見えないんDEATHけど。
例えば、上記が『スゴイね!ポリエステル』という本だったらどうするんですか。絶対売れないですよ。それが版元指定とか、取次の実用書ランクとかで配本されてきて、売れなかったらペナルティ(歩安入帖)だと・・・。

また私が懸念するのは、高度に政治的な判断で、万が一「廃業してもよい」とか「廃業したほうがよい」とかいう書店が発生した場合、この制度を利用して、オカシナ本をバンバンその書店に配本すれば・・・。
「そ・・・そんな悪魔のようなこと、取次がやるわけないだろ!」
だから、やるかやらないかじゃなくて、できてしまうということが問題なんです。

取次の配本精度は確実に落ちるでしょう。今でさえ、バラモン(取次仕入系スタッフ)は、めんどくさいことはしたくない。ランク・パターン配本に何の疑問も感じていないんですよ。そこにこんな焼け太りのマージン制度を導入すれば、彼らのモンスター化にもはや歯止めはかからないでしょう。

以上が、「取扱マージン制」について、私が一考した感想です。

この本には、まだまだツッコミどころがあるので、次回に繋ぎたいと思います。

※でも、ガッカリしないでください。勉強になる部分もありましたし、何より楽しく読ませていただきました。

鬱病

2010-08-16 | Weblog
取次営業は絵に描いたような板挟みに苦悶しています。書店と社内(スタッフ)です。
例えば、バラモン(仕入配本系スタッフ)は出版社と取次営業の板挟みになっているように想像できますが、そうではありませんね。シュードラ(奴隷=取次営業)を蹴ればいいだけの話ですから。蹴られた取次営業は書店を蹴ることができるしょうか。逆に蹴られますよね。つまり、袋叩きDEATH。

また、常態化した物流事故・遅延による書店クレーム対応は、非常に強い精神的苦痛を伴います。「あるのかないのかわからない。なかったらどうしよう。」という不安を、商品が"あるまで"持ち続けなくてはならないからです。

取次営業という職種における鬱病の発症リスクは決して低くないと考えています。
そこで今回は、一緒に鬱病の自己診断テストをしてみましょう。
使用するのは、講談社現代新書「うつ病をなおす」より野村氏の作成した診断テストです。
私も一時期オカシナ状態になってしまったことがあるので、【私の場合】として、自分の体験を付記いたします。

①次のうち最近2週間のあなたに当てはまるものに○をつけてください。

・ほとんど毎日、一日中ひどくゆううつを感じる(悲しい、むなしい、空虚)
【私の場合】特に朝です。朝の鬱は筆舌に尽くしがたいものがありました。ただ、悲しい空しいというより、ひたすら"嫌だ"という気持ちでした。

・ほとんど毎日、一日中何をやっても、つまらないし、喜びというものを感じない
【私の場合】これは今もそうです。

○が一つもつかなければ、あなたは鬱病ではありません。
○が一つでもついた方は、次の診断に進みます。

②次のうち、いつもと違って最近2週間のほとんど毎日、あなたに認められるものに○をつけてください。

・ひどく食欲がないか、逆にひどく食欲がありすぎる
【私の場合】2週間で4キロ体重が落ちたことがあります。辛いものを食べることが特に困難でした。また、アルコールを摂取することもできませんでした。

・ひどく眠れないか、逆にひどく眠りすぎる
【私の場合】早朝覚醒が酷かったです。眠りが浅い上に、朝5時前に目が覚めてしまいます。

・イライラして仕方ないか、動きがひどく低下している
【私の場合】正直何もしたくない(袋叩きに遭いたくない)ので、ノロノロ人間になってしまいます。

・ひどく疲れやすい、だるさが極端
【私の場合】眠ることができないため、疲れやだるさは抜けません。休日は布団から出られませんでした。(でも眠ることはできなかったです)

・「自分はどうしようもない人間だ」「悪い人間だ」と自分を責める
【私の場合】これは今でもそう思います。

・考えが進まず、集中力、決断力が落ちた状態が続く
【私の場合】不安や心配事で思考回路がオーバーフローしてるような感覚で、感情や反射が鈍磨していたように思います。

・自殺を繰り返し考える
【私の場合】「死にたい」という言葉を一日100回以上吐いていたと思います。無意識に呟いてしまっていたので、同僚に聞かれないかとても心配でした。ただ、これは自殺願望とか希死念慮というよりも、とにかくこの苦痛から逃れたいという感覚だったと思います。自死の具体的方法についてある程度調べたりもしましたが、本気でそれを考えていたとは思えません。

○が3つ以下の場合(①で2つに○がついていた場合が2つ以下)、あなたは鬱病ではありません。
4つ以上に○がついた場合(①で2つに○がついていた場合は3つでも)、次の診断に進みます。

③以上の症状のために、ひどく苦しみ、仕事や家事、学業に著しい支障が出ていますか

出ていなければ、あなたは鬱病ではありません。
出ていれば、鬱病の可能性が高い。

ということです。私の場合、一時的にオカシクなったのですが休職には至らず、徐々に回復していきました。不思議DEATH。


次に、血腥い話ですが、自殺ついても危険因子を確認しておきたいと思います。
以下は、講談社+α新書「あなたの「死にたい、でも生きたい」を助けたい」第3章、働き盛りの自殺予防からの抜粋です。

自殺が迫る状況/「職場」における危険

●常軌を逸した長時間労働が続き、ほとんど休養がとれない。
→これはないですね。残業なんてたいした時間じゃありません。書店イベントとか、販売応援とかで一時的に休日出勤が重なることはありますね。

●仕事に意義が見出せない。
→まあ、そうでしょうね。でも、それでいいんじゃないですか。仕事なんですから。

●努力しても評価されない
→どう評価されているのか尻ません。ただ、言えるのは努力項目が不明だということDEATH。

●長期的な目標が示されない
→数字の目標はありますね。具体性はありませんね。

●仕事の裁量権がない。
→取次営業には、全ての権限が蟻ません。

●能力を生かせる仕事を与えられない。
→仕事がいただけるだけでありがたいと思います。

●意見を言っても取り上げられない
→現状を否定する意見は取り上げられない、ということじゃないかと思います。体制批判になりますから。北の将軍様と同じDEATH。

●情報が不足している
→圧倒的に不足しています。取次営業に目隠しをすることで利益を得ている人間が必ずいます。

●扱い(業績評価、人事)に不公平感を覚える。
→どう評価されているのか尻ません。ただ、昇格人事に偏りがあることは否めないでしょう。そして、社内カースト制度は厳然として存在します。
※過去記事:取次会社のカースト制度

はじめから達成することができないことが明らかな目標を立てさせられ、目標が達成できないことに対して責任を問われる。
→それ以前の問題です。取次営業の売上目標はコントロール不能です。
※過去記事:取次営業の売上目標

●仕事上の大失敗をする。
→大失敗をしたスタッフの尻を拭うのが、取次営業の仕事です。

●適性に合わない配置換えを命じられる。
→取次営業に適性なんてあるんですか。

●心理的な虐待(いじめ)を繰り返し受ける。
→スタッフ、書店のモンスター化によって、凄惨な状況が現出することもあります。

●上司に能力がない。
→部下を守る自己犠牲タイプなのか、部下のせいにする保身タイプなのか、運命の別れ道DEATH。

●上司と部下の板挟みになる
→ヒラの取次営業には関係ありません。

●職場での権力闘争に巻き込まれる。
→ないです。権力そのものが。

●不本意な転勤を命じられる。
→希望退職に応じない取次営業は地方行きでしたよね。

●会社の将来に強い不安を感じる
→ε=(・д・`*)ハァ…

●職を失う
→リストラなう


取次営業の皆さん、ご自愛を。

※参考文献
高橋祥友「あなたの「死にたい、でも生きたい」を助けたい」講談社+α新書
笠原嘉「軽症うつ病」講談社現代新書
野村総一郎「うつ病をなおす」講談社現代新書
野村総一郎「うつ病の真実」日本評論社
下園壮太「うつからの脱出」日本評論社

貧困を引き受ける

2010-08-12 | Weblog
『貧困家庭に育つということは、 よほどの体力・精神力を持ち、 運までをも引き寄せなければ渡っていけないような荒波の中に、 無防備な姿のまま子どもが放られるようなものであろう。 そしてひとたび、 まっとうとされる教育課程からふるい落とされると、 就労の機会は激減。 低収入となり、 その子どももまた貧困になる、 という貧困の世代間連鎖が生じる。』財団法人・神奈川県高等学校教育会館 教育研究所HP「貧困の連鎖」より

このレポートでは、年収200万円以下の家庭と年収1,000万円以上の家庭の子育て環境を調査したデータが紹介されています。

つまり、年収200万円以下の世帯を貧困層、1000万円以上の世帯を富裕層と見做しているということでしょう。地方公務員の平均年収が700万位だったと思いますので、まぁ、妥当かもしれませんね。

さぁ、取次営業の年収は「200万円以下」と「1,000万円以上」、どちらに近いでしょうか。残念ながら前者に近いDEATHね。取次営業は貧困層ではないが、貧困層に近い、と言えると思います。

さて、レポートに戻ります。

『親の収入が低いほど、 子育ての相談相手もいない、 困った時に助けてくれる人もいない、 といった孤立状態に陥りやすく、 子どもとゆっくり過ごす余裕が持てない、 といった傾向が見られる。 貧困によって、 余裕を失った家庭では、 虐待も起きやすい。』同HPより

そして、その子どももまた貧困になってゆくという貧困の連鎖が発生するわけです。

はっきり言ってしまうと、取次営業は既に「家庭を築く資格」を喪失しているのではないかと思うのです。手当ては無くなり、賞与もカット。市場の縮小に歯止めはかからず・・・。人員整理の対象に・・・。

貧困の連鎖を断つ、現実的に有効な方法は「低所得者は子どもを持たない」ということしかないと思います。
自分の世代で貧困を終わらせる。「貧困を引き受ける」ということです。

人が生きる上で、家族の価値、家庭を築く意味というものはとてつもなく大きいと私は思っています。だからこそ、勇気を持って「貧困を引き受ける」という選択も必要なのではないかと考えてしまうのです。

出版流通業のパラダイムが大きく変わろうとしています。貧困の連鎖を醸成する環境因子は確実に整いつつあります。

あなたは貧困を引き受けられますか?


■蛇足

このレポートの結びに、当ブログのコンセプトに通じる文言がありましたのでご紹介いたします。

『なにより重要なのは、 多くの人が実態を知り、 それが許されざる不公平であるという認識を社会が共有することだろう。』同HPより

営業力強化案

2010-08-08 | Weblog
「営業力を強化せよ」という掛声は、会社からよく聞かれます。

営業力強化とはつまり、営業が会社のイニシアチブを取るべきだというニュアンスだと認識していますが、合ってますか?
これが間違っていると話の前提が崩れてしまうので、合っていることにして先に進みます。

営業力強化のために会社は何もしていない、とは思っていません。しかしながら、営業の"力"というものはまだまだ微弱であると私は思います。過去記事で書いて来た通りです。

そこで・・・。

■私の考える「営業力強化」案

営業は1人につき、「1点」と「-1点」を持ちます。
これは、社内スタッフを評価する点数です。

四半期に一回、もしくは半期に一回、営業はこの点数を使ってスタッフの評価を行います。
最も対応がよいと思うスタッフに1点、もっとも対応が悪いと思うスタッフに-1点を付けます。
該当者がいないと思う場合は、持ち点を使用せず失効させることも可能です。

5人の営業が1点を付け、2人の営業がー1点をつけたスタッフAの評価は、
5-2=3点となります。

こうして、評価されたスタッフの点数を社内に公表するのです。

この点数を、人事考課や賞与評価に反映させる必要はありません。
むしろ反映させてしまうと社内に公表できる性質のものではなくなってしまうので趣旨が変わってしまいます。

ただ、公表すればよいのです。

ほとんどのスタッフは0点になるでしょう。そもそも仕事内容によって営業との接触頻度が大きく違いますから当然です。
それに次いで、1~5点、-5点~-1点のスタッフ。これでスタッフ全体の8割くらいになってしまうかもしれませんね。

そして、露わになるのが6点以上、-6点以下のスタッフDEATH。

このブログではあまり触れていませんが、仏様のようなスタッフもいるものです。
そういったスタッフの情報を共有できれば、営業力は強化できます。少なくともそのスタッフと関わりのある業務においては、後ろから刺される、ということが無いと考えられるからです。書店に堂々と話ができます。

そして、その逆のパターン。
マイナス評価の高いスタッフの情報を共有することはさらに有益です。

マイナス点が高い程、そのスタッフはモンスター化しているか、業務がオーバーフローしていると考えられますので注意が必要です。
突然話が変わったり、勝手なルールを作ったりして自分を守ろうとしますので、営業は常に背後を警戒しながら、書店促進を行う必要があります。
そうすべきか否か、コレによって事前にある程度知ることができるのです。

また、定期的な評価・公表を実施することで、問題が業務にあるのか、人にあるのかも見えてきます。(スタッフも担当変更がありますしね)

この制度により営業力は強化され、うまくいけばスタッフの意識改革も可能になるかもしれないと考えています。


やります?

本のソムリエ

2010-08-05 | Weblog
【ソムリエ】レストランで客の要望に応えてワインを選ぶ手助けをする、ワイン専門の給仕人。フランスでは国家資格である。

【コンシェルジュ】ホテルの宿泊客のあらゆる要望、案内に対応する「総合世話係」というような職務を担う人の職名として使われている。宿泊客のあらゆる要望に応える事をそのモットーとしていることもあり、「(宿泊客の要望に対して)決してNOとは言わない」と言われている。

※ウィキペディアよりざっくりと抜粋


"本のソムリエ"になれとか、"本のコンシェルジュ"になれとか、経営が言っていた時期があります。まあ、なんとなくニュアンス伝わりますよね。
読者が読みたい本を見つけてあげる、本との出逢いをサポートする的なことだと思います。往来堂の文脈棚というのも、意味合いとしては近いんじゃないでしょうか。(行ったことないですけど・・・)

考え方は間違ってないでしょう。
取次なのですから、あらゆる出版社の商品情報が集まっています。バラバラのコンテンツをコンテキストにまとめ上げていくことは、不可能ではないと思います。

では、経営はそれを実現するために何をしたのでしょうか?
何もしていませんね。

まずはデータベース。
取次は書誌情報のデータベースを持っています。それが伝票発行機や、Webシステム、また各種分析等に活用されています。書誌情報の中には分類が存在します。アンパンマンなら「児童書/絵本」、勝間なら「ビジネス/自己啓発」といった感じです。

「児童書」で検索すれば児童書の商品リストを作れます。しかしこれではソムリエとはいえません。金太郎(飴)です。
例えば絵本でも、20代の母親に人気の本、孫への買い与えに選ばれる本、ビジネス街の書店で売れる本、○○が推薦する本、別の物語・小説の中に登場する本、表紙が赤い本、etc・・・、様々な切り口があり、これによってコンテキストを作ることができるです。

往来堂だったか記憶が定かでないのですが、"表紙が赤い本"だけでコーナーを作ったという話を聞いたことがあります。これが果たして良いのかどうかはわかりませんが、これは書店員の頭に"赤い本"のデータベースが無ければできないことです。

アナロジーによって、同じ本でも置かれる場所が変わります。文庫なんかは特に版元別管理が一般的なので、適宜メディア化だとか著者のコーナーとか、関連本とかで別の場所にお出かけすることがありますよね。

だから、それをデータベース化すればいいんです。でもしなかった。しようという発想があったのかさえ疑問DEATH。

次に、取次営業は日々どんな本が書店に送り出されているのか知りません。
バラモン「そんなの伝票見りゃわかるだろ!」
伝票に記載されている、版元、書名、価格の情報だけどうやったらソムリエになれるのでしょうか?
バラモン「書店行ってんだろ!モノ見れるだろうが!」
毎日書店に立ち読み行けばいいのでしょうか?今日の新刊はどれですか?って書店に聞いたらいいですか?
書店に着く前に商品情報を知りたいんDEATHけど。

私が1Q84(1)の現物を初めて見たのは、発売から1週間ほど経ってからでした。

取次営業は商品情報に疎いんです。
取次営業にソムリエとしての知識、コンシェルジュとしての技能を身につけさせるには、スタッフの仕事を変えるしかないんですヨ。


・・・・・・白痴の方がコントロールしやすいんだよねぇ。

ガ━━(;゜Д゜)━━ン!!