取次営業orz

取次の営業とは何か

意外と気持ち良かったカゲロウ

2011-01-11 | Weblog
書 名 KAGEROU
出版社 ポプラ社
著 者 齋藤智裕
税込価格 1,470円(本体1,400円+税)
発行年月 2010年12月
判型 B6
ISBN 9784591122457

『12月15日、ポプラ社小説大賞を受賞した齋藤智裕(水嶋)氏の『KAGEROU』を歩安入帳の責任販売で発売する。同社から取次会社の出し正味は65%で、取次会社から書店には74%で出荷する。返品は書店から取次会社へは64%、取次会社からポプラ社に55%の歩安入帳となる。完全受注制の満数出荷。事前受注の締切日は11月25日。書店は返品率28%以下で利益となる。ポプラ社で責任販売を導入するのは今回が初めてである。』(Shinbunka ONLINE 2010/11/15より ※"返品率28%以下で利益"は、"消化率28%以上"の誤りと思われる)

責任販売制に関しては批判的なことばかり書いてきてしまいましたが(※過去記事:責任(計画)販売制の動機を巡って)、今回のカゲロウに関しては違いました。

以前、計画販売制の記事で書いたように、部安入帳型の責任販売は、そもそもノーリスクの委託制度下においては、必然的にリスクの方が大きくなるという性質を持っています。
では、どこに書店のメリットがあるのかと言えば、それはリターンが増える(出荷正味が低い)ことよりも、"完全受注制の満数出荷"というところにあると思います。(機能していればの話です)

これまでの部安入帳方式は出荷正味65、入帳正味30前後が一般的で、5割程度消化しなくては利益が出せない上に、商品力も不明で、いくつ仕入れればよいかわからない。「結局、仕入れない方が無難である」という印象を持っていました。

しかしながら、カゲロウ条件の場合は3割消化できれば利益がでます。また、話題性から考えて、もしこれが委託配本であれば、注文が殺到し、「配本が少ない!」等の書店クレームが発生した商品だったと思います。

結果は、周知の通りです。
消極作戦が仇となり、臍を噛んだ書店もあったことでしょう。また、初速の勢いに興奮して追加注文を出しすぎた結果、今ではハラハラしている書店もあることでしょう。

でも、フェアですよね。バラモンに対しても全く不満はありません。

小説の内容や、大賞受賞に纏わるゴシップばかりが取り沙汰されておりますが、少なくとも流通条件としては優れたものであったと、私は思います。

3 コメント

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"完全受注制の満数出荷" (Unknown)
2011-01-12 00:51:08
これで取引している出版社はいくらでもありますよね?
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Unknown (Unknown)
2011-01-12 01:32:33
カゲロウ級の商品が出た時にポプラ級の対応ができる版元は、いくらもありませんよね?
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Unknown (Unknown)
2011-01-12 01:52:06
全体の売上規模の何パーセント位の出版社が"完全受注制の満数出荷"に対応しているのでしょうか?(買切じゃなくて)
もしわかりましたら教えて下さい。
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