取次営業orz

取次の営業とは何か

ある日のできごと

2010-09-26 | カースト制度
社内カースト制度についてはしつこいぐらい書いてきました。
※過去記事:取次会社のカースト制度

今回はその力関係がよく見える事例を取り上げてみたいと思います。

[登場人物:仕入系スタッフ=バラモン / 取次営業=シュードラ=私]

ある日、バラモンから連絡が入ります。

バ「今度あなたの担当書店の近隣を活動拠点にしている著者が○○という本を出すんだけど、何冊いる?」

私の心の声『えっ・・・。いきなりなんだよ?名を名乗ってくれよ。どんな本で刷部数はいくつなんだ?商品価値がわからん。でもこの場で決めろってことだろ。どうすりゃいいんだ?てゆうか版元営業は回ってないのか?』

私「いや、あの~・・・。」

バ「いらないですか?」

私の心の声『すぐ決められないんだったら配本ゼロか。一応ご当地ものだし、ある程度積んだ方がいいだろう。』

私「100で」(根拠なし)

バ「そんなもんでいいんですか?」

私「じゃ、じゃあ150で!」

バ「そんなにあげられません。」

私の心の声『何なんだよ・・・。』

私「じゃあ…、100で」

バ「じゃあ一応希望数ってことでなるべく付けるようにしますので短冊もらえますか」

私「はい」

私の心の声『やっぱり短冊は書かなきゃいけないんだな。てゆうかあんたは誰なんだ?』

バ「返品になると困るんで書店に言っといてくださいね」

私「書店に渡せる資料はありますか?」

バ「(著者の)ホームページでも見て下さい。」

私「わ、わかりました」

私の心の声『俺(社内)に出せる資料もないのかよ。そもそもいつ出るんだよ。数だっていくつ付くのか結局わからないんだろ。書店にどう説明するんだ?」

バ「じゃあ短冊お願いします。調整入りますので」

私「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

私の心の声『なんだだったんだろう・・・。』


しかしながら、このスタッフはかなり優秀なんです。
商品の特性を見て、営業担当に連絡しているわけですから大したものです。
ただ、やはりバラモン特有の圧力が会話の端々に感じられます。あくまで、主導権はバラモンにあり、責任はシュードラに取らせるという。
穿った見方をすれば、責任回避行動として、とりあえず私に話を振ったという捉え方もできますね。私が配本数を決めたわけですから、売れなかった場合も返品が出た場合も私の責任です。(そもそも配本には"調整"が入るわけですが)

でも、何もないよりいいと私は思います。できれば書店と話合いながら数を決めたいものです。
それには、時間も情報も必要です。

PARCO出版『傷だらけの店長』を読んで3 POSデータについて

2010-09-15 | 読書感想文
競合店に対抗するために様々な策を練り実行してゆく「傷だらけの店長」ですが、頑なに拒絶するものがあります。全国POSデータです。この「POSデータ」というものに関して、店長の考えが表明されている印象的な場面を引いてみましょう。

『しかしある日、商品構成をどのように考えていくかを本部の人間や取次の人たちと話していた際、取次側が口にした提案に、私はカッとなってしまった。
「POSデータを拝見すると、当社の全国データによる推奨棚商品と、御店の、とくに文芸書の棚在庫が大幅に一致しません。つまり、全国的に売れていない本をかなり在庫してるということです。売行良好書で棚を固めましょう。動きの鈍い商品はバーンと返品して、当社推奨の商品にドーンと入れ替えましょう。棚にぎっしり本を差しておくものいただけない。面陳を増やして、良好書をもっと並べましょう」
ちょっと待て。ちょっと待て!何だそれは?(中略)書店員としての矜持をないがしろにされた気分だった。(中略)競合店にはたっぷり積まれている"良好書"ばかり並べて、何が「対抗」なのか?結局、大書店のミニチュアになるだけではないか。そもそも"良好書"とは何ぞや?データが全てだというのか。そうじゃないだろう。(中略)「全国データ」のような、十把一絡なものを受け入れろ、という種類の提案はほとんど拒み続けた。(中略)取次の提案者たちは熱心だった。何度も足を運び、案を投げかけ、協力をしてくれる。その熱心さには感謝の言葉もない。また、その善意を疑いもしていない。が、はっきり言ってその提案の多くは、書店側の「思い」を知らぬ素人の意見にしか私には聞こえない。(中略)POSやその他のデータを否定するつもりはない。(中略)ただし、それに使われたり、無批判に受け入れたりすることを、私の中の「書店人」が拒絶する。昨今のデータ漬けが、多くの書店員の思考を停止させ、その「職人性」を腐らせている気がしてならない。』132~135頁より

ハイ。いかがですか?

まず、ここに出てくる取次営業の提案は正しいのかというと、正しいDEATH。お店の在庫データと全国POSデータをマッチングさせた上で欠本(?)を指摘し、在庫入替を提案しているわけですから、なかなか優秀じゃないかとさえ思います。ただ、ここで取次営業が指摘している"全国的に売れていない本"はこのお店でも売れていないのかということはPOSデータから確認したほうがよいでしょう。全国的にどうであれ、このお店で売れているのであれば、返品する必要はありません。てゆうか返品してはいけません。

そして、この取次営業の「正しさ」というのは、あくまで「取次としての正しさ」という認識が必要だと私は思います。

取次がお店に品揃えを提案する場合、根拠となるものはPOSデータしかありません。そのお店のお得意様の趣向や、その棚が作り出してる文脈、書店のカラー、書店員の好み、熱意などというものを加味することは不可能です。それらを加味して品揃えするのは書店の仕事であり、これこそが書店員に求められる「職人性」ではないでしょうか(取次が偉そうに語るな!ハイごもっとも)。
したがって、取次営業としては、POSデータの上位銘柄(良好書)をきっちり揃えましょう、という提案で正しいわけです。

これは「POSデータによる品揃え」が「書店員による品揃え」よりも優れているという意味では全然ありません。取次の中には(スタッフでも営業でも)ここを勘違いしている人が多くいるように思います。

全国POSデータを根拠に、各書店ごとの送品、返品データ(POSデータを取次に配信している書店の場合はそれも)を集計し、理論上の「欠本」を抽出することができます。この「欠本」が多い書店を担当している取次営業は、会社から"改善"を迫られます。「欠本を無くせ」。つまり、全国POSデータと同じ品揃えになっていることが、売上効率の最大化であるという考え方なのです。

全国POSデータというのは、最新でも"昨日まで売れていた本の平均値"を示す指標にすぎません。それを発注し、入荷した段階で、そのお店で売れるかどうかは未知数です。また、その時点で最新の全国POSデータは変動しているでしょうから、イタチごっこなんDEATHよね。

ι(`ロ´)ノ「じゃあ、どうすりゃいいんだ!」

ひとつ事例があります。

私の担当書店で、この物語と同じように近隣に競合店(中規模店でしたけどね)がオープンしたケースがありました。この競合店はコミックの販売を得意としており、担当書店のコミックの売上は前年比で80%程度まで落ち込んでしまいました。売上はジリ貧。返本率もじわじわと上がり始めていました。

通常であれば私も、取次営業にできることとして、POSデータによる品揃えの改善(?)提案をするところですが、この時は、そうしませんでした。
この書店のコミック担当はとても熱心な人で、商品知識も豊富でした。てゆうか無知な私には、この担当者の話はチンプンカンプンで、スゲー人なだぁということぐらいしかわかりませんでした。とてもじゃありませんがPOSデータの提案などする気になれませんでしたし、したとしても「傷だらけの店長」と同じリアクションになっていたのではないでしょうか。
そこで私は、こういう提案をしました。
「これから3ヶ月間、返本率がどんなに上がっても、新刊希望数を極力満数で配本します。ですから、○○さんのやりたいように品揃えしてください。」

返品が増えれば、コミックの配本は減ります。また新刊希望数も無視されます。配本が減れば売上は減ります。書店は配本減を恐れて在庫を抱えるようになり、仕入れにも消極的になります。絵に描いたような悪循環の構図です。何もしなけば、このスパイラルに確実に嵌ります。
私は、社内のコミックの仕入・配本担当者に交渉(土下座)し、3ヶ月という条件で新刊の満数配本を約束してもらいました。
あとは、すべて書店の担当者に任せました。私は品揃えに関して一切口を挟みませんでした。情報提供すらしませんでした(これはタダの怠慢)。
これは賭けです。3ヶ月後、売上が改善していなければ、配本はバッサリ落とされるでしょう。もうコミックの仕入・配本担当は私の話を聞いてはくれないでしょう。上司からはPOSデータ欠本改善を提案しなかった責任を追及されるでしょう。

しかし、売上は改善しました。前年比105%。返本率は急激に上昇しましたが、品揃えの見直しが終わった後は元に戻りました。私は社内営業をしただけで、書店には何もしていないので特に褒められることもありませんでしたが、とてもうれしかったです。

私は書店員の力を信じています!
皆さん!今こそ職人性を発揮し、POSデータなんか足元にも及ばない御店の棚を作る時DEATH!

えっ・・・・・・・いや、ラクしたいワケじゃなくて・・・。
ギゼンシャって、・・・そ、そんな言い方ないじゃないDEATHか・・・。
・・・だ、だから、・・・だれのセイとかいう話じゃないし・・・・・・・。

/(。□。;/) 死~ん・・・。

―END―

PARCO出版『傷だらけの店長』を読んで2 競合店対策

2010-09-10 | 読書感想文
この本の山場はなんといっても競合店出店に関する部分だと思います。

ある日、取次のお偉方(?)がやって来て、近所に数ヶ月後に出店する予定の書店と取引することになったことを告げます。店長はそれからの数ヶ月、「敵」を迎え撃つための対抗策に追われます。そして、ついに駅前に大きな書店がオープンし、・・・土俵際。

競合店の出店は書店にとって大きな脅威です(取次の言うことじゃねーだろ!ハイごもっとも)。特に個人経営の書店にとっては、生活や人生設計を揺るがしかねない大問題DEATH。(ちなみに「傷だらけの店長」はチェーン店の物語です)

さて、では競合店出店を前に「傷だらけの店長」がとった、「敵」を迎え撃つための対抗策とは一体どんなものだったのでしょうか?

『まず、もっとも効果的と思えたのは、先方がオープンする前に、当店独自のポイントサービスを導入し、顧客の取り込みをしてしまうことだ。』97頁より

『また、店の改装工事も検討された。(中略)せめて店の「美しさ」だけでも先方にひけをとらない状態にする。それは客離れを防ぐ柱のひとつになってくれるだろう・・・・・・。』97~98頁より

しかし、ポイントサービスも改装も資金面で難しく、会社(本部)から許可が下りません。そこで店長は「金をかけない対抗策」を考えることになります。

『(中略)自分たちの手で店をきれいにしようと「蓄積して落としきれなくなっている汚れ」を落とす努力をする。(中略)同時に蛍光灯を入れ替え、スポットライトをいくつか取り付けることで店内の明るさがやや増し、以前よりも店がきれいになった。』99頁より

『そして、店頭商品の見直しも検討する。(中略)やるべきは、競合店対策以前に、私の店の欠点として改める箇所をまず検討することである。その上で、得られる情報と予想を加味し、この地域で長期にわたって営業してきた経験を生かした、データだけでは読み取れない「売行き」を商品構成に組み込むことだろう。私は日頃からやっていた不採算分野の見直しを、いつもより徹底的に実行した。』99~100頁より

『同時に、その競合店を出す大手ナショナルチェーンを、可能な限り全て見て回った。そしてノートに各店ごとの商品構成の特徴や、感想を記入した。(中略)また、その近くにある小さな書店が、どんな品揃えをしているかもチェックした。』100頁より

『客へのアピール度を高めるため、POPの数も増やすことにした。』100頁より

『商品の面だけでなく、顧客確保の方策も考えなければならない。そこで、サービス面の見直しをした。
・これまで町内だけに限っていた配達範囲を拡大する。
・チラシを作成して近隣や会社やショップなどへ配り、取引先を増やす。
・店頭からの無料宅配を客から受け付ける際の、購入金額の下限を引き下げる。』101頁より

そして、競合店オープン当日を迎えるのです。売上はどうなったのでしょうか。そのとき傷だらけの店長は―。それは読んでのお楽しみ~。

(ノд・。) グスン

PARCO出版『傷だらけの店長』を読んで1 グッときたところ

2010-09-05 | 読書感想文
書 名:傷だらけの店長
副書名:それでもやらねばならない
出版社:パルコ出版
著 者:伊達雅彦
税込価格:1,365円(本体1,300円+税)
発行年月:2010年8月
判型:B6
ISBN:9784891948245
内容情報:出版業界専門紙「新文化」の異端連載が待望の書籍化。最後まで抗い続けた書店店長のどうしようもなくリアルなメッセージ。

とても面白かったです。
取次営業の私に書店の労苦について語る資格はありませんが、深く感じ入るものがありました。この本は、書店員はもちろん、取次の人間や出版社にも広く読まれてほしいと思います。
今回から3回に分けて、取次営業から見た(と言ってもあくまで個人的見解ですけど)『傷だらけの店長』ということで、この本の感想や、思うことを書いていきたいと思います。
今回は、"グッときたところ"を中心に抜粋いたします。


『楽しいことなど何もありはしない。日々送られてくる荷物の山、増えていく一方の負担。すべてを完全にこなし、質の高い仕事をしようとすれば、到底正規の時間内では終わらない。それでも残業代はカットされ、力技の連発で無理を重ねてやり遂げた先に待っているのは、会社からのリストラの脅しと減給宣言。そして各方面から寄せられる「本屋は努力が足りない」という"建設的"意見。』17頁より

『朝から晩まで店にいれば、怒るネタには事欠かない。朝出勤すればすぐに理不尽なほど組みにくい付録雑誌との格闘、いつまで経っても来ないし問い合わせれば行方不明の客注品、次々に来訪する出版社営業の対応で進まない陳列作業、意味不明の客の問合せやクレーム、ときおり電話を寄越し、宣言のごとく一方的な指示を発してくる本部、寝坊して遅刻する従業員、計算が合わないレジ・・・・・・出勤から退勤まで、そのつど噴出しようとうねるマグマのような灼熱物を、いつも身の内に感じている。』21~22頁より

『会社から指定された大手出版社の企画商品を、決められた期日までに売り捌かなければならない。一冊売るごとに報奨金が支払われるが、その金額はわずかで、私にはあまり魅力的なものとは思えない。(中略)売れと言っておきながら、こちらが希望するだけの数のパンフレットやチラシを、なぜか出版社はなかなか提供してくれない。』23~24頁より

→過去記事:取次営業の仕事 企画販促

『その本の注文を客から受けてすでに二週間が過ぎている。出版社は電話での受注後即搬入したと言い、取次はどこにもその客注品は見つからないと言う。行方不明なのか、単に遅いだけで待っていればいずれ届くのか、それすら不明だ。(中略)客注品が一週間以内に届けば「早い」と思い、一〇日で普通、二週間だと「少しかかったね」という、書店員の、いや出版業界人の感覚は、世間と完全にズレている。』28~29頁より

→過去記事:取次営業の仕事 物流事故3

『「あの、店長。一件、困ったことが・・・・・・」(中略)「今日入荷した本が、箱入りの豪華本なんですが、その箱が破損してまして。版元に、箱の取り換え依頼の電話をしたんですが、『うちはちゃんとしたきれいな商品を発送している、壊れたのは取次のせいだ、取次に文句を言え』と言い返されてしまいまして・・・・・・。どうしたらいいでしょう?」「どういう対応だ、それは。どこの版元?」』183~184頁より

→あるんDEATHよねぇ、こういう版元。彼らは「書店が取次に文句を言う」ことで、箱破損という喫緊の問題がどのように解消すると考えているのでしょうか。

『返品すべきもの?そんな本など一冊もありはしない。どれも、私がじっくり選んで仕入れた本だ。「なくていい」ものなど、一冊たりともこの棚にはささっていない。(中略)これまで返品など日々、数えきれないほどしてきた。そのたびに一冊一冊の本にすまないと思ってきた。心の中で「ごめんな、ごめんな」とつぶやいてきた。返品することが好きな書店員などいるのだろうか?』220頁より

→こういう書店員がいるということを、私も知っています。

『ネットで新刊の情報を見ればたちまち欲しくなって、でもネット書店の配達など待ちきれず、本屋に走る。走れば予定外の本も目に入り、欲しくなる』239頁より

→リアル書店には、リアル書店の良さがあります。


グッときましたか?

御用聞き

2010-09-01 | 取次営業の仕事
「御用聞き営業してんじゃねぇ」とよく言われるんです。

"御用聞き営業"とは、書店に行って「何かありますか?」と書店の要望、注文を聞いて帰ってくる、という営業スタイルのことDEATH。

会社はそれをするなと言っているわけですが、私に言わせれば「それ以外に何があるんだ」という感じです。
そして、御用聞きでない営業の具体的なスタイルが示されたことはありません。(私の記憶では)

ただ、ニュアンスとしては書店の要望を聞くばかりではなく、取次側からの提案、指導によって売場の活性化を図り、返本減少、売上増を達成する、というようなことなんだと思います。(この書店"指導"という言葉は取次では普通に使われています)
では、一体何を提案し、何を指導すればよいのでしょうか?

■指導とは

"指導"と言うくらいですから、「できて然るべきことができていない」とか「全ての書店に共通している業務・任務を怠っている」といった事柄の是正を図るということなのでしょう。

では、その事柄とは一体何なのでしょうか。
そもそも、書店がやるべきこと、できなくてはいけないことを取次営業は知っているのでしょうか?
ハイ、尻ません。
取次営業は書店で働いているわけではないので当然です。では、書店業務マニュアルのようなものが存在するのでしょうか。無いとは言いませんが、書店を指導できるようなものでありませんね。あくまで取次が発信する出版流通の基礎情報という位置付けの資料だと思います。

ですから、"書店指導"は俄然感覚的になってゆきます。
店が汚い、服装がだらしない、照明が暗い、陳列が乱れている等、
ヨッポドの書店でない限り、クリアできているような項目しか思い浮かびません。

そして、仮にそれをクリアできないメチャクチャな書店があったとして、それを指導することは可能なのでしょうか。取次は書店を指導する立場にあるのか、という話DEATH。

直営店でもなければ、本部⇔FCの関係でもありません。取次営業はスーパーバイザーには成り得ないのです。
我々にできるのは「汚ねぇ」と言うことだけです。先方が気分を害す恐れがある場合はそれもできないでしょう。書店は取次の顧客だからです。
要は、取次は書店を"指導"できないということです。

■提案とは

これはまだ余地がありますね。こうすればもっと売上が上がるだろうという事柄を書店に"提案"するわけです。

【提案すること1:商品】
「この商品売れますから注文してださい。」ということです。正しいですね。しかし実際には、取次が売りたいモノと書店が売りたいモノと実際に売れるモノがチグハグになっています。
売れるモノなんてわかりませんよね。作り手でもなければ、売り手でもない取次には特にわからないと思うんですけど・・・。

【提案すること2:数字】
送品と返品のバランス、POS前年比などの数字から、ジャンルごとの課題を発見し改善提案する。う~ん抽象的DEATHね。
これは提案の話ですから、「送品コントロール」とは別です。
※過去記事:送品コントロール

例えば返品が多い場合、書店に何を"提案"すればよいのでしょうか。せいぜい「POPを書きましょう」とか「目立つところに置きましょう」とかいう程度ぢゃないんですか。これも感覚的な話です。注文の仕方がどうとか、ストッカーの中身とかまで踏み込んでしまうと、大きなお世話という感じになってしまいます。

POSはどうでしょうか。
まず前提としてPOSデータを取次に送っていない書店には何も提案できません。
POSに関しては様々な分析手法があると思いますが、結局は前年比だと思います。昨年に比べて実用書の売行きが悪い、夏の文庫の売上がよい、課題図書の売上が悪いなど、書店に実績を提示することができます。
でも、だからどうしたというのでしょうか。
たとえば年賀状関連MOOKの売行きが悪いとして、さて何を"提案"しましょう。
また結局、POPを付けろとか目立つところに置けとかいう話になってしまうのです。

こんなものなんDEATHよね。配本が自由にならないのですから。重厚な分析ができても、薄弱な提案しかできないんですヨ。

御用聞きの方が、マシじゃないですか?