取次営業orz

取次の営業とは何か

Fight The Power

2015-12-31 | Weblog
私はある大手(?)書店との確執を抱えています。
その書店のある人物は、所謂うるさ型として広く畏れられており、それが故に破格の待遇を受けておられました。しかしながら認識の甘かった私は、その方に対して通常の書店の方と同じ応対をしてしまい、怒りを買ってしまったのです。
この件では上司をはじめ多くの方に迷惑を掛けてしまいました。先方には私なりにきちんと謝罪したつもりですが、それ以来、事あるごとに難癖をつけられては、社内権力を利用した締め付けを受けてきました。


売上規模に応じて、正味・報償条件に差があったり、また物流のサービスレベルが違うのは当然だと思います。
しかしながら、書店に応対する姿勢はどこでも同じであるべきだと思っています。売上が小さい書店であるからと云ってぞんざいな態度を取って良い筈がなく、売上が大きいからと云って過剰に接待する必要もありません。
ましてや、帳合切替をちらつかせて恫喝行為を繰り返し、アンフェアな要求をされる方に媚諂うことは、やはり道理に反するのではないかと思うわけDEATH。

営業という仕事は、気を抜くと、うるさい書店の対応ばかりに注力してしまい、やさしい(?)書店ほど蔑ろにしてしまっていると云ったことになりがちです。私にもこのような性根があり、何度も自己嫌悪に陥りました。

「怒られるのが嫌だから」という動機で営業行動を続けていくことは、書店のモンスター化を助長することに繋がります。また長期的にはより仕事を苦しいものにしていくのではないかと思います。

また、書店と本当の信頼関係を築くには、フェアな姿勢を保ち続けることが大事なのだと思っています。そこから信頼を築くことができた書店員とは、双方本音で話合い、泣き笑いを共にできるような素晴らしい関係になれるものです。

まぁ、色々あるんですけど、好嫌、快苦ではなく、公明正大な営業活動を行いたいと、基本的には思っています。


今回は綺麗事ばかり書いてしまったので最後に汚い言葉を吐いて、バランスを取りましょう。

ウンコチンチンオシッコ

更新休止のお知らせ

2011-03-14 | Weblog
東北地方太平洋沖地震により被災された皆様、書店様には謹んでお見舞い申し上げます。
皆様の一日も早い安全、安心の確保と復旧を心より祈念申し上げます。

尚、状況を鑑みまして当ブログの更新は当面の間、休止させていただきます。


微力ながら全力を傾注し、復興支援に尽力する所存でございます。

実験店

2011-02-23 | Weblog
当社(取次)が進めようとしている施策が本当に書店の利益に繋がるか、事前に試行できる場が必要だと思っています。
すなわち「実験店」です。

当社は書店も経営しておりますので、実験店を作ろうと思えばできるはずです。
・・・・・・こういう書き方は、つまり現状それらの店舗が実験店として機能していないことを皮肉っているわけDEATH(ヤな性格ネ!)

「実験店」の条件とは何でしょうか?
それは採算性を問われないことです。それを見極めることを目的とする店舗なのですから、むしろ実験店は不採算、非効率な施策をどんどん導入して課題の抽出を行うべきです。
結果、実験店が経営不振に陥ったとして、それを非難する人がいたなら、残念ながらその方は痴呆です。

実験店の運営者に対して、
「様々な実験を行い、年間10例以上の成功事例を提出しろ」
と指示する人がいたとすると、この方もやはり痴呆です。
実験店の性質を理解しているなら、指示命令はこのようにならなくてはいけません。
「様々な実験を行い、年間100例以上の失敗事例を提出しろ」

前者の指示は"雲を掴むような話"で、実質目標として機能しません。
後者の指示は、最低100回実験を行うという目標として機能します。また、失敗事例の報告を是とする態度は、情報の隠匿を回避する上で重要です。

失敗事例創出の為に実験行為を繰り返すというのは、背徳的な感じがしますが、取引書店に先んじて失敗しておくというのは、書店の利益に繋がることではないでしょうか。

最後に、私が実験してほしいと思う事柄を徒然なるままに書いてみましょう。


・コンビニみたいに外国人のバイト雇ったらどうなるの?

・完全に取次の配本に任せたらどうなるの?

・取次の推奨するセット商品を全部入れたらどうなるの?

・全部書店の希望数で配本したらどうなるの?

・ホントの流通条件(新刊委託期限105日、注文品買切返品不可、等)を適応したらどうなるの?

・POSデータの提供を止めたらどの位配本精度が落ちるの?

・補充発注を全てシステムに任せたらどうなるの?

・買切品を一切扱わないとどうなるの?

・店員がみんな可愛かったらどうなるの?(逆にみんなブ○だったらどうなるの?)

・破損品の記録を全て残したらどうなるの?

等々。


書店員の皆さんが、日頃「やってみたいけど、ウチの店じゃちょっと・・・」と思うようなことを募集して、実験してフィードバックする、みないなことができると面白いDEATHネ。

納期という概念

2011-02-13 | Weblog
「注文品が遅い!」というクレームは浴びる程受けてきましたし、私も「遅い」と思うところがあるわけですが、実は「遅く」はありません。

そもそも、納期を設定していないからです。

極端な話、注文した日から1年を経過して商品が到着したとしても、納期を定めていないわけDEATHから、「遅い」ということはないわけです。
しかし、これではビジネスになりません。納期は明確であるべきであり、且つ早いに越したことはないのです。

また、同じ理由で、いくら頑張っても「早く」ないのです。結果、自分で出荷、または配達するといった、取次営業の物流スタッフ化、運送会社化が常態化してゆきます。

では何故、出版流通は21世紀に至っても納期を定めることができないのでしょうか?理由を考えてみましょう。

理由1.出版から取次への納期がバラバラ
「中2日で取次搬入」「1週間程度で取次搬入」「10日以内に取次搬入」「集荷便のある曜日が取次搬入日」「地方支店への搬入」等々・・・。
これでは、書店着日を定めることができません。

理由2.版元ごと、商品ごとに仕分けサイクルがバラバラ
詳しく書けませんが、同じ日に取次に搬入になった商品でも、版元ごとに仕分けのスケジュールが異なる事があります。搬入形態によっても、スピードに差が出ます。

理由3.書店ごとに出荷サイクルがバラバラ
同じ日に取次に搬入した同じ商品でも、書店への着日はバラバラです。結論だけ言えば、大型書店ほど早く商品が届く仕組みになっています。
以前、「売上規模に応じて物流のサービスレベルに差があるのは当然だ」というような意味のことを書きましたが、現行のやり方はよくありませんね。
販売規模に応じた差別は、荷造運賃を以ってなされるべきです。売上が大きい書店は配送料が安くなり、売上が小さい書店はそれが高くなるといった具合DEATH。
翻って、物流スピードに格差を付ける方法は、チャンスロスを発生させることになり、取次にとっても結果的にマイナスです。これは致命的な間違いでしょう。

さて、それでは一体どうしたらよいでしょうか。

私はこのように考えています。
「注文品の納期は、取次搬入日からn日以内」

"n日"は"常識"の範囲内の数字が入ります。("5営業日"くらいでしょうか)
問題は"取次搬入日"DEATH。
これを統一することは夢物語で、現実性がありません。取次が頑張って何とかなる問題でもありませんし。
取次がやるべきことは、版元からいつ商品が搬入になったのかを明白にすることです。
これを実現するには、設備投資もシステム投資も必要になるでしょうが、やるべきだし、やらなければいけないと思います。
これができないがために、営業もそうですが、むしろ物流スタッフが不当に苦しんでいるのではないか、という感じがしています。("感じ"です)


はてさて、いかがでしょうか?

書店「そんなもんで許すわけねーだろ!」

キビシー!!(財津風に)

ジーコのスタンス

2011-01-31 | Weblog
取次営業の仕事が事故処理であることは再三書いてきました。
※過去記事 取次営業の仕事 物流事故処理

今回は、事故に対する姿勢という視点からこれを考えてみようと思います。

まず最悪なのは、
「事故があるにも拘らず、事故が無い様に振る舞う」
これは、実際には事故が起きていて取次営業が懸命に処理しているのですが、全体(会社)はその状況を把握しておらず、社としては事故が無いかのように振舞っているという状態DEATH。
この場合、取次営業は不幸です。
社として事故は無いわけですから、物流は改善に向かいませんし、事故処理という仕事も同時に存在しないことになります。つまり"営業は仕事してない"ということになるわけDEATH。
「声を上げない営業が悪い!」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかしながら、取次の基幹業務は物流であるわけで、物流スタッフに嫌われたら取次営業は生きていけません。
バラモンの場合とはちょっとニュアンスが違いますが、泣き寝入りしているわけDEATH。また、逆に助けてもらうこともあるので、弾劾する様なことはなかなかできないということもあります。

次によくないのが、
「事故なきよう努力する」
事故を起こさないように気を付けよう。物流を整備して事故率をゼロを目指そう、という考え方です。
当社でも多く方がこのような考え方を持っており、一見正しい様に見えますが、これは全く片手落ちなんです。

正解を発表いたしますと、
「事故の発生を想定し、その対応方法を予め確立しておく」となります。
事故の発生を想定していないが故に、取次営業がこのような事になっているわけDEATHから、予めそれを想定し対応を決めておけばよいのです。

例えば・・・。

■汚破損事故が発生した場合
・新刊配本商品は、前提として、全ての商品について汚破損事故発生することを想定し、事故対応在庫を準備する(残す)。
・対応部署を○○とする。連絡を受けた○○は以下の行動を実施する。またその権限を持つ。("権限"コレ大事)
・新刊商品の場合は、事故対応在庫から即刻出荷を行う。状況に応じて、宅急便、バイク便等を使用することも厭わない。
・注文商品の場合は、まず物流センター他関連会社全ての在庫を当たり、在庫があれば即時出荷を行う。状況に応じて、宅急便、バイク便等を使用することも厭わない。
・在庫が無い場合は、版元交渉を行い即刻臨時集荷を実施する。また、直送に応じてもらえる場合は運賃を負担する。
・版元在庫も無い場合は、小売店より購入し即刻出荷する。購入費用は取次会社の負担とする。(自帳合店舗にて引き揚げに応じてもらえた場合はこの限りではない)
・それでも尚、商品の確保ができない場合には、小売店の損害を補償する。

■未着事故が発生した場合
あんにゃもんにゃ・・・

こんな感じです。この例が正しいかどうかは別の問題で、事前にルールを決めておくということが大事だということです。

また、このようなガイドラインを策定してしまいますと、事故処理にかかる経費が目に見えてわかる形になってしまいますので、会社として事故防止の方向にシフトしてゆくと考えられます。(事故防止のために何をすればよいのかという話はまた別の機会に)

「当社は事故を起こしません」と言う取次A社
「当社は事故を起こさないよう最善の努力をしております」と言う取次B社
「当社は事故を起こしてしまった場合にはこのように対応します」と言う取次C社

もし私が小売店だったら、取次C社と取引したいものです。

そんな取次ないですけどね(多分)

取次に就職をお考えの方へ

2011-01-21 | Weblog
平成24年度の採用試験が始まります。
学生さんの中には当ブログをご覧いただいて尚、取次へ就職を希望される方もいらっしゃるようです。

しかしながら、取次会社というのはなんとも特殊で、「志望動機等をどのように答えればよいかわからない」といったことでお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は私なりに、もっともらしい(と思う)取次への志望動機、また面接の際の想定問答を書いてみたい思います。
参考になるかわかりませんが。


※おことわり
私は営業職で、人事の考えている採用基準については全く知りません。以下に記載することは全て私の無責任な恣意的見解であります事をご承知おき下さい。


■もっともらしい(と思う)志望動機

私は本や書店が好きで、出版関係の仕事を探していく中で取次の存在を知りました。取次会社(御社)は卸としての機能ばかりでなく、書店コンサルティング、ネット事業、商品開発など、出版業界全体を盛り上げていくような役割を担っていることを知り、とてもやりがいのある仕事であると大変魅力を感じております。


■もっともらしい(と思う)面接受け答え

Q:取次で何がしたいのですか
A:取次(御社)の保有する優れた流通網を活かせる仕事がしたいです。書店で売れる商品を他業界から発掘し、出版流通に乗せるといったことに取り組んでみたいDEATH。

Q:電子書籍についてどう思いますか
A:利便性が高まるにつれシェアを伸ばしていくと思います。一方で、書店では今、付録(バッグ)付の雑誌や、調理器具(シリコン)付の商品等が販売されていて多数ヒットしています。これらを電子化することはできません。電子書籍が普及しても、客層を選ばない書店は、様々な商品展開の可能性を持つ魅力的な販路であることに変わりはないと思います。


(これらはあくまで就活用の文言であり、私の考えというわけではありません。)


就職活動をされている皆様、お身体を大事にしてがんばってください。
そしてもし、共に働くことになった時は・・・・・・

いじめないで下さい。

意外と気持ち良かったカゲロウ

2011-01-11 | Weblog
書 名 KAGEROU
出版社 ポプラ社
著 者 齋藤智裕
税込価格 1,470円(本体1,400円+税)
発行年月 2010年12月
判型 B6
ISBN 9784591122457

『12月15日、ポプラ社小説大賞を受賞した齋藤智裕(水嶋)氏の『KAGEROU』を歩安入帳の責任販売で発売する。同社から取次会社の出し正味は65%で、取次会社から書店には74%で出荷する。返品は書店から取次会社へは64%、取次会社からポプラ社に55%の歩安入帳となる。完全受注制の満数出荷。事前受注の締切日は11月25日。書店は返品率28%以下で利益となる。ポプラ社で責任販売を導入するのは今回が初めてである。』(Shinbunka ONLINE 2010/11/15より ※"返品率28%以下で利益"は、"消化率28%以上"の誤りと思われる)

責任販売制に関しては批判的なことばかり書いてきてしまいましたが(※過去記事:責任(計画)販売制の動機を巡って)、今回のカゲロウに関しては違いました。

以前、計画販売制の記事で書いたように、部安入帳型の責任販売は、そもそもノーリスクの委託制度下においては、必然的にリスクの方が大きくなるという性質を持っています。
では、どこに書店のメリットがあるのかと言えば、それはリターンが増える(出荷正味が低い)ことよりも、"完全受注制の満数出荷"というところにあると思います。(機能していればの話です)

これまでの部安入帳方式は出荷正味65、入帳正味30前後が一般的で、5割程度消化しなくては利益が出せない上に、商品力も不明で、いくつ仕入れればよいかわからない。「結局、仕入れない方が無難である」という印象を持っていました。

しかしながら、カゲロウ条件の場合は3割消化できれば利益がでます。また、話題性から考えて、もしこれが委託配本であれば、注文が殺到し、「配本が少ない!」等の書店クレームが発生した商品だったと思います。

結果は、周知の通りです。
消極作戦が仇となり、臍を噛んだ書店もあったことでしょう。また、初速の勢いに興奮して追加注文を出しすぎた結果、今ではハラハラしている書店もあることでしょう。

でも、フェアですよね。バラモンに対しても全く不満はありません。

小説の内容や、大賞受賞に纏わるゴシップばかりが取り沙汰されておりますが、少なくとも流通条件としては優れたものであったと、私は思います。

Shigoto Hajime

2011-01-01 | Weblog
シンネンアケマシテオメデトウゴザイマス。

今回は、海外の読者の皆様に、日本企業の「仕事始め」の風習をご紹介したいと思います。

1年の最初の営業日のことを「仕事始め」と言います。
仕事始め(シゴトハジメ)には、「仕事始め式」という儀式が執り行われます。

朝、式会場に全社員が集まります。
理由や意味は不明ですが、この日、女性は会社に所属する人が着るように定められている服装でなくてもよいことになっており、中には日本の民族衣装を身に着けている方もいます。

儀式では、「社歌」というものを歌います。
社歌(シャカ)は、その会社の設立の精神をあらわし、行事などで歌う歌のことです。
しかしながら、歌詞がわからないので、伴奏が流れても歌うことができません。理由や意味は不明ですが、歌詞を知る方法もありません。
歌うことはできなくても、我々は"空気を読む"民族なので、歌っているかのようなパフォーマンスを行います。
口角を適当に動かしながら、伴奏のメロディに合わせて、アーとか、ウーとかいった音声を発します。
低い唸り声が会場を包みます。それは「地獄」の表現のようでもあります。
地獄(ジゴク)は仏教の概念で、六道の最下位に位置しています。閻魔が主宰し、死者の生前の罪を審判して、それに応じた責め苦を与える場所です。

次に、社長による、年頭の挨拶があります。
内容は、「市場の縮小に歯止めがかからない。今年も厳しい見通しだ。返本率を下げろ。仕事の仕方を見直せ。気合だ。」といったことが中心で、毎年変わることがありません。挨拶語は一定の型をもった言葉で、変えることができないのです。代表的な挨拶語には「おはようごさいます」等があります。

そして万歳三唱です。
万歳三唱(バンザイサンショウ)は、「バンザイ」の語を発しつつ、両腕を上方に向けて伸ばす動作を続けて3回行います。
「万歳」には「めでたいこと」「嬉しいこと」という意味や、「打開の方法がないこと」「困って、なるがまままかせること」「降参」という意味があります。
北朝鮮メディアによる金正日関連の報道でよく耳にする「キムジョンイルマンセー!(金正日万歳)という掛け声ですが、元来、朝鮮人に万歳を唱える習慣は無く、これは日本統治下における「万歳」の唱和に習ってのものなのだそうです。

式はこれで終了します。

この日の昼食は特別で、「赤飯」というものを食べます。
赤飯(セキハン)は、もち米に小豆またはささげを混ぜて蒸し上げたご飯のことで、祭りや誕生祝いなどの吉事、また女児の初潮を祝して振舞われます。
プラスチックの容器にこの赤飯を入れ、胡麻と塩をかけて食べます。胡麻(ゴマ)を乗せるのは、白いご飯を赤くしたことを神様にゴマかすためであると言われています。

これらの儀礼を通過することによって初めて、私たちは仕事をスタートさせることができるのです。


ソレデハ、コトシモヨロシクオネガイイタシマス。

POP考

2010-12-21 | Weblog
「本読んでないから」とか、「面白い(おすすめしたい)本がないから」という理由でPOPを書かない書店員に疑問を感じます。(取次がエラそうに語るな!ハイごもっとも!)

私は昔、スーパーでアルバイトをしていましたが、店長の指示でPOPを書いていました。安い商品は価格を大きく書いて値段を強調します。新製品には新発売と書きました。類似商品でもプライベートブランドの方が利益が大きいため、PB商品だけにPOPを付けて、顧客を誘導をするようにしていました。(自主的にやっていたわけではありません)

「スーパーと一緒にするな!」

新潮文庫「ゴールデンスランバー」が売れています。何故でしょうか?

「面白そうだからだよ!」

勿論そうなんDEATHけど、それだけが理由であれば、ハードカバーを買えばいいのです。
私は、「お得感」が理由なのではないかと思います。文庫版(税込900円)はハードカバー(1,680円)に比べ、780円安いわけです。「面白そうだし、文庫になって安くなったから買おう」という動機での購買行動は十分に考えられます。
そしてこれは、ハードカバーという比較対象が存在することによって、安い(からお得)ということができるわけDEATH。
今年の10月28日に放送されたTV番組『カンブリア宮殿』では、宝島社のInRed(雑誌コード01763)を880円から650円に値下げしたことで、部数が3倍に伸びたという事例を紹介していました。

しかしながら、「安い」とか「○○円お得」という類のPOPを書店で見かけることはほとんどありません。

"書店員がおすすめしたい本"というニュアンスのPOPを、無理やりスーパーに置き換えるとこのようになります。
「自分でその製品を使用してみて、すごく使いやすくて便利だったからPOPを書いた」
「その商品を食べてみたら、今までにないくらいおいしかったので、その感動をPOPに表現した」

とてもよいことだと思います。
しかし、POP(販売時点広告)はそれだけではありません。

価格をアピールできる商品もあるでしょう。実用書の様に類似商品がある場合には「一番詳しい」「一番やさしい」等の特性や優位性をアピールできるでしょう。あえてダメな商品と並列するという販売手法もあっていいんじゃないかと思います。

そして、そういったセールスポイントを抽出するのは、書店の仕事であり、版元の仕事であり、取次の仕事だと思っています。取次は、該当商品を他社と比較し優位性を抽出する機能を有しています。

でも、そんなことだれもやりません。



★☆☆★☆★☆★☆★☆
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つまんなくてうつになる
取次営業orz」ブログ
★☆★大不評更新中!!

ポジティブシンキングでいこう!

2010-12-14 | Weblog
取次営業の利点について考えてまいりましょう。

貧困を引き受ける取次営業ですが、悲観することは御座いません。
物が買えない、余暇にお金を使うことができない、ということは決して悪いことではないのです。
月読寺住職の小池龍之介氏は著書「考えない練習(小学館)」の中で、このように説明されております。以下に要約いたします。
"ほしいものを手に入れても、「それを手に入れていない状態に戻ったらどうしよう」という苦が生じる。その繰り返しによって欲の業が積まれていく。欲の業は他の欲望にも転化してゆき、人に対しても、自分の欲を押しつけたいという「」の欲とスライドしてゆく。だから、無自覚的にものを増やしていくと、必然的に人格も次第に悪化していく。"

また、小林よしのり氏は著作「修身論(マガジンハウス)」の中で、浅羽通明氏のこのようなお言葉を紹介されております。
「人間は生産を通じてしか附合へない。消費は人を孤独に陥れる」
「生産において人間は、何らかのかたちで部品となり、また多かれ少なかれ損得計算で動かざるを得なくなって、必要性が主、感情は従となります。しかし消費は一人でだってできる。好きな人と映画を観たいとか、気の合う友人たちと旅行したいという場合も、あくまで感情が主で全てです。そこには人間が否応もなく「附合わされ」結びつけられる義理はないのです。」

マザーテレサの遺品は、サリー2枚だけだったといいます。


釈尊は、苦行の末、悟りを得ることができず、最下層の身分の女性であるスジャータに乳粥の施しを受けたことをきっかけにして、悟りを得たといわれています。
雇い主に鞭を打たれる覚悟で、釈尊を供養したスジャータの慈悲心は、時代を超えて私達の胸を打ちます。自己を犠牲にして他者を救う姿は、まさに菩薩と申せましょう。 

社内カーストに於ける最低身分である取次営業こそは、菩薩になる可能性を秘めた存在であると申せましょう。「それでも、赦し、信じ、愛することができるか」を試されているのです。
業を背負ってまで、私達にこのような場を与えてくださるスタッフの皆々様方には、感謝の言葉も御座いません。


作業漬けになることもまた意味があります。
禅の修業では、何も考えないで無心に作務に集中することを重視します。これは「動の瞑想」であります。作業に忘我で取り組み続けることによって、まったく仕事とは関係のない人生の意味を感じられるようになるかもしれません。


取次営業は修身であります。
取次営業は菩薩行であります。

一切衆生悉有仏性
ナ~ム~

新刊配本考

2010-12-06 | Weblog
「責任販売やインペナ施策を実施した銘柄や店舗は、そうでない銘柄や店舗に比べて返本率が低い」

から、責任販売やインぺナ施策を取次営業が書店にきちんと説明して、もっとやらせろ!
という流れになってきました。
別に間違ってはいないですね。数字的にも正しいDEATH。

ただ、何故"責任販売やインペナ施策を実施した銘柄や店舗は、そうでない銘柄や店舗に比べて返本率が低い"のか?
ということに関して、私はスタッフとは異なる見解を持っています。

スタッフ的な見解はこのようなことだと思います。
"書店がインぺナ条件を理解し、利益を最大化できるよう適正な数を考えて発注を行った結果、返本率が下がった。"

翻って、私の見解は以下のようになります。

■取次営業による送り込みが行われている場合
理由1.単に、商品の力と需要予測の精度が高まったから。
理由2.取次営業の意思が作用した結果。

■書店による発注が行われている場合
理由3.インセンティブには特に関心がなく、単に事前に情報提供があったことで、入荷するかしないかが不明であることに起因する過剰発注をする必要がなくなり、ほしい数を注文できたから。
理由4.ペナルティによるリスクを抑えるため、発注も抑える結果になったから。

スタッフ見解が正しい場合は当然、冒頭に書いたとおり"責任販売やインぺナ施策を取次営業が書店にきちんと説明して、もっとやらせろ!"という解で正しいわけです。

しかしながら、もし私の見解が正しい場合には、全く違った解が導き出されることになります。順に見ていきましょう。

■理由1.単に、商品の力と需要予測の精度が高まったから。
■解1.わずかな売上占有の責任販売だけではなく、そのやり方を新刊配本でもやればよいです。新刊のシェアの方が圧倒的に大きいわけDEATHから。ランク、パターン配本ではダメだということです。

■理由2.取次営業の意思が作用した結果。
■解2.取次営業が新刊配本すればよいです。具体的な方法としては、バラモンが営業に事前に商品情報を提供し、営業がバラモンに配本数を返すという形になります。

■理由3.インセンティブには特に関心がなく、単に事前に情報提供があったことで、入荷するかしないかが不明であることに起因する過剰発注をする必要がなくなり、ほしい数を注文できたから。
■解3.単に事前に書店に情報提供して、書店が新刊配本すればよいです。

■理由4.ペナルティによるリスクを抑えるため、発注も抑える結果になったこと。
■解4.全て買切にしてしまえばよいです。


さらに、何故導き出された解1~4のとおりにできないのか、についても考えてみます。

■解1.わずかな売上占有の責任販売だけではなく、そのやり方を新刊配本でもやればよいです。新刊のシェアの方が圧倒的に大きいわけDEATHから。ランク、パターン配本ではダメだということです。
■できない理由1.版元指定、版元ランクは変えられません。それ以外の銘柄やフリー分のランク、パターン配本をやめて、インぺナ式の需要予測をすることはできますが、それはバラモンの負担になってしまいます。

■解2.取次営業が新刊配本すればよいです。具体的な方法としては、バラモンが営業に事前に商品情報を提供し、営業がバラモンに配本数を返すという形になります。
■できない理由2.バラモンの負担になってしまいます。また、バラモンの配本主導権が脅かされてしまうことになります。

■解3.単に事前に書店に情報提供して、書店が新刊配本すればよいです。
■できない理由3.ワンピース的な商品は書店需要が供給を上回ってしまい、仕組みとして機能しません。しかし、そういったモンスター商品は全体の数パーセントに過ぎませんので、それらの銘柄を除外するか、売上規模に応じて配本上限を設定する形ではどうでしょうか。やはり、できません。バラモンの負担になってしまいます。また、バラモンの配本主導権が脅かされてしまうことになります。

■解4.全て買切にしてしまえばよいです。
■できない理由4.返本率は大幅に下がりますが、販売機会が失われ、結果的に売上に甚大な影響を及ぼすことになってしまいます。


わーわーゆうとりますが、そもそもこれらの解が検討されることも無ければ、話題にのぼることもありません。

私が間違っているのでしょう。

チ~ン・・・。

食べた牛は死んでいる

2010-11-17 | Weblog
焼肉が好きです。
たまに食べに行きますが、ここで「食べた牛は死んでいる」ということを意識しますと、そうでない場合に比べ、会計は安くなります。

私は、、解体される牛がかわいそうで、肉を食べるのを我慢したのではありません。
「食べた牛は死んでいる」という事実の意識が、自然と食欲を抑制し、実際に食べる量が減ったのです。(そもそも、少し気分が悪くなります)

もし、多くの方が「食べた牛(豚・鶏)は死んでいる」という事実を意識すれば、総体として肉の消費は減少すると考えられます。

肉の消費(需要)が減少すれば、家畜の数も減少することになります。牛は、自分の体重の10倍以上の穀物を食べるそうですので、結果として、それら家畜が消費していた飼料(穀物)が大量に余ります。余った穀物を途上国にまわせば、10億人といわれている飢餓人口を減らすことができるでしょう。(バイオエタノールの生成にまわしてしまった場合は、飢餓人口は減りません)
そして、飢餓人口が減ることは、良いことですね。

強引に結論付けますが、「事実を事実として認識(意識)するだけで、物事は(勝手に)良い方向に進んでいく」と、私は考えているのです。

取次営業の現場で起こっている事実、物流現場の事実、仕入の事実、システムの事実など、相互に誤解が生じている事実の認識というものが、無数にあるのではないかと、私は思っています。

悲惨な、理不尽な、事実を目の前にすると、それに目を瞑りたくなってしまいます。「だってどうしようもないじゃない。アタシのせい?そうじゃないでしょ!」という気持ちになるからDEATH。

でも、どうにもできなくていいと思うんです。事実を事実として認識し、それが広く共有されることによって、それらは自然と改善されていくのではないでしょうか。

「ベジタリアンになれ!」なんて言いません。
「肉を食うのを我慢しろ!」なんて言いません。

私は、「食べた牛は死んでいる」と言っているだけです。

食べた牛は死んでいます。

手帳の思い出

2010-11-10 | Weblog
手帳の季節DEATHねえ。
どこの書店に行っても定番の手帳コーナーがあって、活況を呈しています。(呈してないか)
今回は、手帳を見ると思い出す、心温まるエピソードをご紹介したいと思います。


あれは寒い日の事でした。私は、手帳を主力商品としている版元の友達とお酒を飲んでいたのです。

1月始まりの手帳は、年が明けてしまえば売上が落ちていきますから、返品が発生します。しかしながら、手帳の返品については、専用の返品宛名、及び返品受入期間(いつからいつまで)があって、取次営業は担当全軒に対して、この専用宛名の配布と受入期間の告知をしなくてはなりません。

私は愚痴をこぼしました。

「なんで手帳の返品受入期間ってこんなにタイトなの?書店にアナウンスするの大変なんだけど」(`D´#)

手帳版元の友達は言いました。

「はあ?バカじゃないの?それは取次が勝手に決めてることでしょ。俺たちは、取次の言うことなんて聞かなくていいから、できるだけ長く店頭に置いてくれってお願いして回ってるんだよ」凸(゜皿゜メ) ウラァァアア!!

「・・・・・・」(。□。;)逆さガビーン!!


これは恥ずかしいDEATH。恥ずかシッコですよ。ジョボジョボ


さて、ここでクエスチョンです。
返品受入期間(特に"いつから"という事柄に関して)を、取次が決めてもいいのでしょうか?

フシギ、ハッケン!

Coffee Break 2

2010-11-03 | Weblog
「のぼうの城」パロッちゃお!ヾ(〃^∇^)ノ


 丹波は、長親を納戸に叩き込んだ。
 板敷きの床をするすると滑っていく長親に、丹波が足を踏み鳴らして続いた。和泉や靱負をはじめ、追ってきた家臣どもも狭い納戸に押し寄せた。廊下にあふれた家臣どもは、伸び上がって中のようすを見ようとやっきになっている。
「乱心したか」
 丹波は満杯の家臣どもの中で、長親を怒鳴り上げた。
 長親はふて腐れたように黙っている。
「何とか申せ」
「いやになった」
「なにがじゃ」
「降るのがだよ」
 長親は、そっぽを向きながらいった。
「今になって何を申す。さんざに申し聞かせたではないか。"バラモン"には敵わぬ。それゆえ降るとおのれも承知したではないか」
「だからいやになったんだ」
 長親は珍しく声を上げていう。だが、それはまるで子供がだだをこねているような調子であった。
「餓鬼みてえになんだ」
 丹波はまた怒鳴った。
 長親は、ぐい、と丹波に顔を向けると、唾を飛ばしながら叫び返した。
「"既に商品は取次で買取った。受注ノルマの進捗は経営会議上で報告するなどと"、さんざに脅しをかけた挙句、"必達目標"などと申す。そのくせ"自部署の責任で商品を引取る"に決まっておるとたかを括ってる。そんな者に降るのはいやじゃ」
 まったく、だだをこねていた。
 丹波は、こんな顔の長親をみたことがない。小さく驚きはしたが、いまは長親を説き伏せねばならない。
「我慢せよ。今降れば、"新刊配本"も"客注"も安堵される。長親、我慢するのだ」
 一語一語に力を込めていった。
「いやなものはいやなのだ」
 長親は大喝して丹波の言葉をさえぎった。さらに、狭い納戸で息をつめる侍どもをぐるりと見回すと、再び吠えた。
「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者を鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」
 強き者が強きを呼んで果てしなく強さを増していく一方で、弱き者は際限なく虐げられ、踏みつけにされ、一片の誇りを持つことさえも許されない。小才のきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、人がましい顔で幅をきかす。ならば無能で、人が好く、愚直なだけが取り柄の者は、踏み台となったまま死ねというのか。
「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」
 長親は決然といい放った。その瞬間、成田家臣団は雷に打たれたがごとく一斉に武者面をあげ、戦士の目をぎらりと輝かせた。



※小学館文庫『のぼうの城 上』(ISBN9784094085518)P183~185より
※「"○○○"」の部分を除いて、原文ママ

版元廃業

2010-10-27 | Weblog
先頃、版元の理論社が東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。
事業は継続するそうですが、書店在庫は廃業版元と同じ扱いとなります。

版元廃業時の書店在庫の扱いとはつまり――。

・普通委託(新刊・重版)/返品期限105日
・長期委託/返品期限4ヶ月 6ヶ月 など
・常備寄託/返品期限1年

以外の在庫品は全て返品不可、ということです。
返品期限の過ぎた委託・常備品。または延勘品、買切品、注文品がこれに該当します。
版元廃業はもはや珍しいことでもなくなりましたので、書店員の方々もよくご存知かと思います。

しかしながら、版元廃業時には決まって次のようなクレームがあるものです。

「廃業情報が出る前に返品した本が逆送になった」(`Д´) ムキー!
「勝手に送られてきた商品を返品したら逆送になった」(`Д´) ムキー!

まず、確認しておかなければならないは、「フリー返品」という条件についてDEATH。
出版物の販売条件については一度書きました。
※過去記事コチラ

「フリー返品」という条件は存在しません。
では、補充注文で仕入れた「ワンピース59巻」を返品したら逆送になるかといったらなりませんよね。何故か。
版元が返品を受け入れているからです。それだけです。

ですから、「廃業情報が出る前に返品した本が逆送になった」というクレームには全く正当性がありません。廃業如何に関係なく、版元が返品を受け入れれば逆送はありませんし、受け入れなければ逆送DEATH。「版元に返品を受け入れる意思があるにも関わらず逆送なった」というクレームには正当性があります。

次に、「勝手に送られてきた商品を返品したら逆送になった」というクレームですが、もし新刊委託のことをさしているのであれば、これもまたお話になりません。
しかし、「送りこみ」に関しては、書店の言い分が100%正しいということになります。
※「送りこみ」に関する過去記事はこちら

これは営業としてはまいります。
半ばバラモンに強要される形でセット商品等を「送り込む」わけですが、会社としては「送り込み」という行為は存在しておらず、責任は全て営業にあります。
こうなった場合は、"個人的に処理"するしかありません。

いずれにせよ、新刊、長期、常備以外の条件で仕入れた商品は、いつ返品できなくなってもおかしくないということです。

意外とリスキーだと思いませんか?