取次営業orz

取次の営業とは何か

「架空注文」

2011-03-05 | 取次営業の仕事
まずはこちらのブログ記事をご覧いただきましょう。

2月24日(木)- 帰ってきた炎の営業日誌
http://www.webdoku.jp/column/sugie/2011/03/01/184422.html


ハイ。いかがでしたでしょうか?

書店「ふざけんな取次営業!」「馬鹿!」「シネ!」(#`皿)(#`皿´)/ ムカァー!!

これは、かつて取り上げた「送り込み」の亜種です。

しかし、私はこのブログ記事に登場する取次営業は、それなりのスキルがあって、しかも優しい人柄なのではないかと思いました。(何言ってんの?って感じかもしれません)

その理由を述べる前に、まずは何故このようなことが起こるのか、その構造についてご説明いたしましょう(私見DEATHヨ)。

取次はPOSデータ至上主義です。これは以前書きました。
※過去記事‐PARCO出版『傷だらけの店長』を読んで3 POSデータについて

全国POSベスト上位銘柄で書店に在庫のない商品は、"欠本"とされ、それを"補充"することが取次営業の仕事(責任)であるということになっています。
ここにノルマ(目標金額)が課されます。

"POSベスト上位銘柄の欠本補充"という文言は、なんとも甘美でいかにも正しいことのように聞こえますが、現状は全くデタラメDEATH。

まず、POSベスト"上位"とは何位のことなのでしょうか? 
ハイ、お店の規模などによってマチマチですよね。でも、誰かが"何位"なのかを決めてそれを根拠にノルマを設定しています。
では、仮に適正(?)な品揃えのPOSベスト順位を各店ごとに設定できたとして、欠本はどのように把握するのでしょうか?それがわからなければノルマを課すことはできません。
ハイ、そんなものはわかりませんので、テキトーに目標金額を算出しています。

これは何を意味するかというと、ノルマ設定が幾らでも操作できるということなんです。

各書店ごとに適正な品揃えのPOSベスト順位なんて検証不能ですから、この順位をドンドン下げていけば、当然"欠本率"は上がることになり、営業の目標金額が増大していきます。

市場がシュリンクしていく中では、この「操作可能な」営業ノルマは無尽蔵に増え続けることになります。

では、取次営業の"欠本補充"とはどのような方法によって行われるのでしょうか。

欠本は、店頭在庫とPOSベストのマッチングによってしか抽出できません。つまり方法としては、「在庫データを取得する」または「POSベスト銘柄リストを書店に持参し欠本チェックを行う」の2つしかありません。

既に在庫データを取次に提供してる書店であれば話は早いですが、そうでない書店の方が多いでしょう。
てことはつまり、取次営業が在庫データの取得を行わなくてはなりませんね。スキャナーなどの機器を使用したとして、例えば100坪、在庫金額8,000万円の店頭在庫を全てデータとして読み取るのにどれだけの時間がかかるでしょうか?
・・・・・・1週間かけてもできる自信がありません。その期間にも在庫は変動していきます。
POSベスト銘柄を紙に出力し、欠本チェックを行う方法はどうか?これもまた途方もなく時間がかかるでしょう。
また、その間の事故処理と物流補助は一体誰がやるのでしょうか?(取次営業の仕事は事故処理と物流補助です)

つまり、まず前提として"時間的"に達成不能なノルマなんDEATH。
(書店の合意を得るという発想は、最初から最後まで欠落しています)

その結果、取次営業は冒頭のブログ記事のような行動に出てしまうわけDEATH。

書店「じゃあなんでこの取次営業は優しい人柄だとかぬかしてんだ!このバカ!てゆうかバカ!」


大半の取次営業はわかっています。

書店はそんなこと望んでいないってこと。
てゆうか迷惑だってこと。
てゆうか即返品だってこと。

でも、"取次"営業だから、やるんです。

やって結果(あくまで送品)を出すのが"できる営業"。
やらないのは"ダメ営業"です。

"できる営業"は躊躇しません。
"ダメ営業"は排除されます。

この葛藤から、もう一つの選択肢が立ち上がるのです。

"やってるけど、結果(あくまで送品)を出せない営業"

「欠本補充ノルマ達成に向け、ガンガン(勝手に)発注するも、"たまたま"版元が品切していたため、送品することができず、結果的に目標未達成となってしまった」

このストーリーであれば、"ダメ営業"は免れることができます。

件の取次営業は、書店の負担をなるべく軽くするために、あえて品切情報を確認した上で、発注を行ったのかもしれません。それは"それなりのスキル"だと私は思います。


貴店に大量の品切短冊が届いたなら、それは取次営業の優しさの証なのかもしれません。(゜ーÅ) ホロリ

書店「やっぱりバカだ・・・」



■蛇足
スタッフにも"わかっている"人はいます。
「本当はわかっているのか、本当にわかってないのか」そこが問題DEATH。

パート切り

2010-11-20 | 取次営業の仕事
パートさんを対象にしたリストラ(首切り)が行われています。
ベテランの方々も多く退職されました。

会社にしてみれば、経営が厳しい中、社員の首を切って非正規雇用を増やすのではなく、パートタイマーを切って正社員の雇用を守ろうとしているわけですから、我々は文句を言えません。部署内にも、釈然としないながらも、「しょうがないよね」的な空気が流れています。

では、このリストラによって取次営業の現場では何が起きているのでしょうか。

営業部署においてパートさんは、重要な存在です。
電話応対や、受発注業務、出荷作業などで、大きな戦力になってくれます。

「これからは、パートさんのやってくれた仕事も全部自分達でやらないといけないので、ますます"本来の営業活動"をする時間がなくなっちゃうよ~。(ノ◇≦。) ビェーン!!」

・・・・・・というのは、どこの斜陽企業にでもある愚痴なんDEATHよね。そもそも取次営業の仕事は、物流補助と事故処理だけですから"本来の営業活動"なんてものはありません。
※過去記事:敢えて書く 営業不要論

私がヤバさを感じているのは、次のようなことなんです。

今回のパート切りは、営業部門はもちろん、スタッフ部門も対象になっております。スタッフ部門では何が起きているかというと、「パートがやっていた仕事を社員で分担する」だけでなく、「パートがやっていた仕事は営業にやらせよう」という動きがあるのです。

最も身分の低いシュードラであるところの取次営業は、
「今まではこの仕事、ウチでやってたけど、もう余裕ないから営業がやってよ。てゆうか別にやるやらないは勝手だけどね。困るのはオタクだから。」
と、スタッフに言われてしまえば、ぐうの音も出ません。

そうして今、徐々に他部署のパートが担っていた業務(作業)が営業へと集まって来ています。
これはヤバいです。特に新人がこの環境に晒された場合、作業漬けにされ、社員としての機能を培うことができなくなってしまう可能性があります。
また、取次営業をパート化することで、会社の営業リストラに正等な理由を与えることにもなります。
私が"営業不要"と言うのは、現状の営業の"役割"を指しているわけですが、パート化した営業は、もはや"人員"として不要DEATH。


パートの仕事で、正社員の給料が貰える取次営業というのも、一面では魅力的かもしれませんね。

アリガタヤ~ <(_ _*)>

御用聞き

2010-09-01 | 取次営業の仕事
「御用聞き営業してんじゃねぇ」とよく言われるんです。

"御用聞き営業"とは、書店に行って「何かありますか?」と書店の要望、注文を聞いて帰ってくる、という営業スタイルのことDEATH。

会社はそれをするなと言っているわけですが、私に言わせれば「それ以外に何があるんだ」という感じです。
そして、御用聞きでない営業の具体的なスタイルが示されたことはありません。(私の記憶では)

ただ、ニュアンスとしては書店の要望を聞くばかりではなく、取次側からの提案、指導によって売場の活性化を図り、返本減少、売上増を達成する、というようなことなんだと思います。(この書店"指導"という言葉は取次では普通に使われています)
では、一体何を提案し、何を指導すればよいのでしょうか?

■指導とは

"指導"と言うくらいですから、「できて然るべきことができていない」とか「全ての書店に共通している業務・任務を怠っている」といった事柄の是正を図るということなのでしょう。

では、その事柄とは一体何なのでしょうか。
そもそも、書店がやるべきこと、できなくてはいけないことを取次営業は知っているのでしょうか?
ハイ、尻ません。
取次営業は書店で働いているわけではないので当然です。では、書店業務マニュアルのようなものが存在するのでしょうか。無いとは言いませんが、書店を指導できるようなものでありませんね。あくまで取次が発信する出版流通の基礎情報という位置付けの資料だと思います。

ですから、"書店指導"は俄然感覚的になってゆきます。
店が汚い、服装がだらしない、照明が暗い、陳列が乱れている等、
ヨッポドの書店でない限り、クリアできているような項目しか思い浮かびません。

そして、仮にそれをクリアできないメチャクチャな書店があったとして、それを指導することは可能なのでしょうか。取次は書店を指導する立場にあるのか、という話DEATH。

直営店でもなければ、本部⇔FCの関係でもありません。取次営業はスーパーバイザーには成り得ないのです。
我々にできるのは「汚ねぇ」と言うことだけです。先方が気分を害す恐れがある場合はそれもできないでしょう。書店は取次の顧客だからです。
要は、取次は書店を"指導"できないということです。

■提案とは

これはまだ余地がありますね。こうすればもっと売上が上がるだろうという事柄を書店に"提案"するわけです。

【提案すること1:商品】
「この商品売れますから注文してださい。」ということです。正しいですね。しかし実際には、取次が売りたいモノと書店が売りたいモノと実際に売れるモノがチグハグになっています。
売れるモノなんてわかりませんよね。作り手でもなければ、売り手でもない取次には特にわからないと思うんですけど・・・。

【提案すること2:数字】
送品と返品のバランス、POS前年比などの数字から、ジャンルごとの課題を発見し改善提案する。う~ん抽象的DEATHね。
これは提案の話ですから、「送品コントロール」とは別です。
※過去記事:送品コントロール

例えば返品が多い場合、書店に何を"提案"すればよいのでしょうか。せいぜい「POPを書きましょう」とか「目立つところに置きましょう」とかいう程度ぢゃないんですか。これも感覚的な話です。注文の仕方がどうとか、ストッカーの中身とかまで踏み込んでしまうと、大きなお世話という感じになってしまいます。

POSはどうでしょうか。
まず前提としてPOSデータを取次に送っていない書店には何も提案できません。
POSに関しては様々な分析手法があると思いますが、結局は前年比だと思います。昨年に比べて実用書の売行きが悪い、夏の文庫の売上がよい、課題図書の売上が悪いなど、書店に実績を提示することができます。
でも、だからどうしたというのでしょうか。
たとえば年賀状関連MOOKの売行きが悪いとして、さて何を"提案"しましょう。
また結局、POPを付けろとか目立つところに置けとかいう話になってしまうのです。

こんなものなんDEATHよね。配本が自由にならないのですから。重厚な分析ができても、薄弱な提案しかできないんですヨ。

御用聞きの方が、マシじゃないですか?

書籍新刊の予約はできるのか

2010-07-10 | 取次営業の仕事
書店「○○の客注入ったから付けて」
書店「版元に電話したら取次に言えって言われたから配本付けといて」

普通のことですよね。

新刊予約を受けた取次営業は、短冊を作って(未だに)、新刊配本担当者、乃至仕入系スタッフにお願いに行くわけです。

あいよ!って感じで何事もなく予約が完了する場合もありますが、そうでない場合が多いですね。

「仕入れ部数がわからないので、付けられるかわかりません」
「フリー分がいくつあるかわからないので付けられるかわかりません」
「とりあえず預かります」
「付けられないかもしれないから、短冊は預かれません」(これは"付けられるかもしれないけど預かりません"ということ)
「おぼえてらんねぇよ」
「あなただけを特別扱いするわけにはいかないんDEATHよねぇ」
「まだ誰が担当するか決まってません」
「あとで部数調べ回すと思うんでとりあえず自分で持っといてください」

まぁ、仕入系スタッフに言わせれば、
"なんでも客注っていえば配本付くと思ってんじゃないわよ。そもそもホントに客注なのかしら。版元に言ってよ。そんないちいち客注なんか受けてたら仕事終わんないわ。見落としたり忘れたりしたら、アタシのせいになっちゃうじゃない。どこの書店に送ろうがこっちは返品が少なければそれでいいのよ。めんどくさいわね。"
てな感じなんじゃないですか。

ムカつく気持ちを抑えつつ、冷静に考えてみれば、このスタッフの行動は間違ってはいないのかもしれないのです。

新刊委託制度については前回書きました。
『出版社や取次販売会社は、書店に対し出版物を配本し、書店は配本された出版物を販売し、売れ残った商品については一定期間内の返品が認められる制度。』
DEATH。

つまり出版物を配本する権限は「出版社や取次販売会社」に有り、書店には無いということです。だからこそ「売れ残った商品については一定期間内の返品が認められる」のです。

書店「バカヤロウ!カバチタレてんじゃねぇ!客注なんだぞ!返品しねぇんだよ!付けろやゴルァ!!」

そのとおりです。客注対応は書店の生命線です。1冊の本が、顧客のライフタイムバリューを決定付けることもあるでしょう。

そこでお願いDEATH。

書店は新刊の客注を受けたら、まず出版社に連絡しましょう。大事なお客様の注文なのですから取次営業に丸投げしちゃダメですヨ。

出版社は新刊の事前予約を受けてください。受けられない場合でも「取次に任せている」というような無責任なことは言わないでください。

仕入系スタッフは「事前予約は受けられない」と宣言してください。受けられるのでれあれば、締切日や提出先、提出方法を明確にし、営業と書店に開示してください。あなた方の高慢で曖昧な対応は、結果的に書店の客離れを推進していることに気づいてください。
「なんだ注文できないのか。じゃネットで買おっと」と読者に思っていただいた方が、書店へのダメージは少ないはずです。


それにしても、取次営業はあらゆるところに頭を下げて、こういったケースの対応に奔走していますよね。書店への営業活動以上に、社内営業に骨が折れます。

取次営業の社内カースト制度におけるヴァルナはシュードラですからね。
えっ?不可触だって!?

次回は社内カースト制についてです。

思考の限界!委託販売制度

2010-07-07 | 取次営業の仕事
【委託販売制度】
出版社や取次販売会社は、書店に対し出版物を配本し、書店は配本された出版物を販売し、売れ残った商品については一定期間内の返品が認められる制度。

■買切扱い
返品できない条件で売買されることで、たとえ売れ残ったとしても、返品することはできない。

《書籍の流通条件》
・普通委託(新刊・重版)/返品期限105日
・長期委託/4ヶ月 6ヶ月 など
・常備寄託/1年
・注文品/返品不可
・買切品/返品不可
・延勘品/返品不可

※取次の発行する手帳よりざっくりと抜粋


大変です書店様!御社の在庫、ほとんど返品できませんよ!ガンバってください!
・・・・・・んなわきゃない、ですよね。

以下は取次営業の私の感覚の流通条件です。

【委託販売制度】
出版社や取次販売会社は、書店に対し出版物を配本し、書店は配本された出版物を販売するか否か自由に選択できる制度。返品は自由だが仕入の自由はない。

■買切扱い
委託条件と違い、出版社に対し即、支払いが行われる条件。返品できるか否かは不明。

《書籍の流通条件》

・普通委託(新刊・重版)/永久に返品できる。但し、廃業版元と草思社は返品期限105日

・長期委託/永久に返品できる。但し、廃業版元は返品期限4~6ヶ月等

・常備寄託/1年

・注文品/大半の商品が永久に返品できる。但し、廃業版元と買切版元と一部企画ものなどは返品できない。どこが買切版元で何が"一部企画もの"に該当するのかは、経験からボンヤリとしかわからない。
※しかしながら"逆送"は取次の物流センターで判断されており、そこには逆送商品のマスタが単品レベルのデータとして存在していなくてはならない。てゆうか存在している。

・延勘品/永久に返品できる。但し、廃業版元と買切版元は返品不可。返品できる商品でも、例えは3延べを、3ヶ月以内に返品すると逆送になるケースがある。同じ延勘でも何が逆送対象になるかは、経験からボンヤリとしかわからない。


簡単に言ってしまうと、
出版社に返品を受ける意思があって、取次物流センターの商品マスタが「返品可」になっていれば返品でき、そうでない場合、マスタが「返品不可」になっていれば返品できない(逆送される)のです。

書店「じゃあ、その商品マスタ、公開してちょーだい」
取次「ダメー!それを公開したらテキストの流通条件を守っていないことを認めることになるもん!取次営業にも公開しないもんねー」

だから私も、何が返品できて、何が逆送になるのか、尻ません。
書店に「これ返品できますか?」と聞かれます。いつも勘で答えていますが、本当は・・・。
尻ません。

取次営業の仕事 企画販促

2010-07-05 | 取次営業の仕事
企画商品の販促は、取次会社が営業に求める機能の一つですね。「注文取ってこい!」ということです。
しかしながらその機能は十分に働いておらず、送り込みが横行しているわけです。
そしてついに、計画販売制の導入により送り込みが阻止されようとしています。
ここまでが前回の内容です。
では、販促(受注促進)の現場とはどのようなものか、お話しましょう。

まずは営業経験のない取次スタッフがイメージする営業の販促を書いてみましょう。

1.営業はまず、企画の内容、条件、受注目標数について理解を深める。
2.受注目標を達成するために、担当書店への販促計画を立てる。(スタッフが作成した実績データなどを参考にどこの店舗で何冊売れるかシミュレーションする)
3.電話、臨店による受注促進を開始する。
4.スタッフが用意してくれたチラシ・ポスターなどをお店に設置してもらい事前予約活動を行う。
5.受注状況を定期的にスタッフに報告し、受注進捗を管理する。
6.予約分+店頭分で受注を確定させる。条件について十分に説明し、書店に利益を還元するための企画であることを理解させ、目標数以上の受注を獲得できるよう最善を尽くす。
7.商品が発売になった後も、展開方法や売行状況を確認しながら、補充・追加注文獲得など、アフターフォローを行う。

こんな感じでしょうか。
では実際は―。

1.営業はまず、企画の内容、条件、目標数について理解を深めようと努力しますがわからないことだらけです。
例えば―。
・"3ヶ月延勘"とだけ書いてあり、返品できるのかできないのかが不明。
返品できる商品とできない商品では受注数が大幅に変化します。
・受注締切日が不明。
論外DEATH。
・読者向けの注文書しかなく、販売条件が明記された書店向け注文書がない。
自分で作れってか。
・受注目標数の根拠が不明。版元作り部数に依拠している。
根拠不明の目標を追いかけられる理不尽さ。
・プロモーション計画が不明。
宣伝するの?しない?どうなの?

返品できるのかできないのか不明で、受注締切がいつなのかもわからず、プロモーション計画も不明で、書店向けの注文書もない商品を、根拠不明の目標冊数、受注してこいと。

2."必達"目標が割り当てられる。
営業の目、あるいはデータから判断できる適正受注数(まぁこれはこれでアテになりませんが・・・。)は関係なく、必ず達成しなくてはならない必達目標というモノが課せられます。

3.電話、臨店による受注促進を開始する。
「申し訳ありません。この数やらなくちゃいけないんです。なんとか協力してもらえないですか。お願いします!すみません!さーせん!見本?んなもんありません!」

4.不透明な販促物の流れに翻弄される。
・書店に直接送付されていて、営業は何がどこに送られたのか不明なパターン。
・チラシ・ポスターが営業に渡されて書店に送付しろというパターン。チラシは送れますけど、ポスターってどうやって送ればいいんですか。
・チラシが不足しているパターン。1軒に3枚しか送れなかったんですけど、読者に告知徹底できますかね。

5.受注進捗を改竄する。
ゼロなんですけど・・・。ゼロじゃダメなんですよね。報告毎に進捗率が伸びて、最終的に達成率100%になんなきゃダメなんですよね。じゃあ今週は3冊注文上がりました。来週は5冊注文上がって8冊になりました。と報告しましょう。

6.販売条件を崩して目標受注を確定させる。
「なんとかお願いしますよぉ。30冊やってくださいよぉ!売れなったら引き上げますからぁ。なんとかしますからぁ。俺2冊買いますからぁ。」

7.ショタレの処理に途方に暮れる。
売れなかったなぁ。引き上げちゃったなぁ。どうしよっかなぁ。

こんな感じじゃないっすか。
ですから、計画販売制のような送り込みできない企画が増えてまいりますと、取次営業は機能不全に陥るわけです。

あれ?もともと機能不全だったけか。

計画販売制

2010-07-03 | 取次営業の仕事
計画販売制は、所謂部安入帳型の責任販売制のことで、小学館がこのように呼称してますね。

通常の委託商品を正味77で返品フリーと仮定します。
計画販売制では、この通常の委託条件とは別に、
正味65で返品入帳正味30というような条件を提示して書店に選択させています。

例えば、本体価格1,000円の商品の場合―。

■委託条件 
・仕入値 770円
・販売利益 230円
・返品した場合の入帳金額 770円
・返品損益 0円
→リスク0% リターン23%

■計画販売制
・仕入値 650円
・販売利益 350円
・返品した場合の入帳金額 300円
・返品損益 350円
→リスク35%(委託に比べて+35%) リターン35%(委託に比べて+12%)

こういった条件になります。どっちがいいか選びなさいというわけです。
「リスクが+35%でリターンが+12%なら、ノーリスクの委託の方がいいんじゃない」と思われるかもしれません。
しかし、委託は"調整が入る"のです。計画販売制で○冊、委託条件で○冊というふうにしてリスクを軽減することはできません。委託は何冊入ってくるかわからないんですから。"計画販売"しようがありませんね。
選択肢が与えられているようで、そうではないのです。

これは明らかに書店にリスクを負わせようという意図が感じられますね。でも、「くらべる」が大ヒットして、よかったですね。書店も喜んでますヨ。
あと、取次への条件ってどうなってるんですかね?やっぱり計画販売を仕入れた方が儲かるんですか。

まぁ、何にせよこれはさすがに送り込みできませんね。送り込んだ結果、返品になれば書店に不利益が発生しますから。犯罪性のある行為と言わざるを得ません。

ですから取次営業は一生懸命書店に案内し受注促進しています。出版社様、社内スタッフ様に言わせれば、「やっと、まともに仕事するようになったか」といったところでしょうか。

でも、今はまだいいですけど、今後この手の企画がメインストリームになってしまうと、取次営業は機能不全に陥りますよ。

何故かって?
また次回。

送り込み

2010-06-30 | 取次営業の仕事
書店「こんなセットたのんでねぇ!送り込みだ!引き上げろ!事故処理しろ!」
よくある話DEATHね。

まずは「送り込み」の定義について考えてみましょう。これは2つあると思います。

・定義1:新刊委託条件ではない商品を、書店の意思を確認せずに送品すること。
・定義2:書店の望まない商品を送品すること。

定義1は正しいように見えますが、これでは重版配本できませんね。
定義2は間違っているように見えますが、実際にクレームを付ける書店はこちらの定義を採用しているんじゃないでしょうか。「ワンピースが送り込まれた」とか「1Q84が送り込まれた」とかあまり聞きませんね。

なのでここでは「書店の意思を確認せずに、新刊委託、または重版配本でない商品を送品すること」と定義しましょう。

―何故送り込みがあるのか?―

送り込みは営業の責任において行われています。
会社としては「送り込み」という行為は存在しないのです。

基本的に送り込みになるような商品は、ちゃんと注文書があって受注を吸い上げる形になっています。いるはずです。ですから、受注が集まれば送り込みは発生しないのです。

受注が集まらないのです。
もっと言ってしまえば集める気もありません。ピュアな営業なら、注文書の束をセレクターよろしく書店に持ち込んで受注促進をかけるでしょう。そして、受注獲得の難しさ、時間的制約の厳しさを思い知ることでしょう。
つまり、売れそうにないセットや企画が、タイトな締め切りで大量にあるということです。しかもそれにノルマが課されているということです。

我々取次営業は、仕入系スタッフに言われるがままに目標数を押し頂き、送品店を申告します。あくまでも"受注店"という形で。クレーム・トラブル等があっても、それは「受注店である」と嘘の申告をした営業に全責任があるのです。

書店「そんなの断ればいいだろ!自分の営業成績上げたいだけだろ!」

少なくとも私は、送り込みで営業成績を上げようと思ったことはありませんし、担当書店との関係が悪くなるだけで結果的にはマイナスだと思っています。しかし・・・。
"スタッフ>営業"というヒエラルキーが厳然として存在し、我々はそれに抗うことができないのです。(このあたり話は別の機会に書きます)

書店「そんなの全部取次の都合だろ!書店に押し付けるんじゃねぇ!」
おっしゃる通りです。でも、どうですかね?

実際、取次都合としか言えないセットは多いと思います(大半です)。仕入系のスタッフが送品前年比という数字で動いていて「去年○千万円セットを送品してるから今年もやらなきゃ」的な。
または部戻しが発生しているケースもありますね。よく知りませんけど。とりあえず仕入れれば出版社からお金が貰えるという。

でもですよ。実際すべての企画に目を通して、発注するかしないか判断できます?締切守れます?
取次「注文書は全てWeb公開するので、いるものは発注してください。見逃し、発注忘れ等、救済しません」的なことになったらどうします?(厳しいようで正しい。それでよいという志の高い書店員もいらっしゃることでしょう)

それと、出版社の営業はどう動いているんですかね?「この書店は自社の営業で促進して、あの書店は取次営業に促進させよう」みたい線引きはどこでされるんでしょうか?特に高額本や豪華本は、御社の足で説明して1冊1冊受注すべきなんじゃないですか。人がいなくて?周りきれないの?めんどくさいんでしょ?

ともかく、送り込みはまだまだなくなりそうにありませんね。

個人的には送り込みはある程度やむを得ないと思っています。出版社との関係もありますからね。いざヒット作、良好書が生まれた時に、こういうことで確保できる部数が変動することもあるんじゃないですか。
抱き合わせ商法に近い考え方ですけど・・・。

書店は不要なセットが送られてきたら、即返品すべきだと思います。文句言いながらも並べたり、あるいは引き上げ事故処理させたりするのは、結果的に"返品がない"という判定になり、更なる送り込みの助長に繋がりかねません。
ノイジーマイノリティーは、サイレントマジョリティーには敵わないのです。(ノイジーマジョリティーならどうか?恐くて会社に行けません)

でも、返品しても逆送になる商品もありますよね。延勘だから3ヶ月は返品できないとか。これについては、弁解の余地がありません。ごめんなさい。

実際、こうした条件によって送り込みにくい、またはできない企画が増えつつあります。最近の流行は「計画販売制」ですね。
次回はこれがテーマです。

管理職は予想屋さん

2010-06-29 | 取次営業の仕事
管理職の仕事は予算管理です。
売上目標の策定と進捗の管理です。マネジメントですね。もしドラですね。

しかしながら送品も返品も予測不能です。

来月、何と何が出るから、これくらい送品金額になって、そろそろ何と何がこれくらい返品で帰ってきて、入帳〆日が○日だからポクポクポクチーン!○億円だ!
・・・とはなりえません。

来月、どんな本が出るかなんてわからないけど去年これくらいの送品金額だったから今年もこれくらいはいくんじゃないか?
いや、去年は「1Q84」があったんだ。少し減らしとくか・・・。
返品はどうだ?。去年は○億か。入帳〆は多分○日だから、このペースでいくと今月は○億で来月に○億繰り越されるぞ。ということは来月は○億くらいいくな。いや、これじゃ返本率50%を超えてしまう。これはマズい。とりあえず返本率は39%にしとこう。てことは返品を○億減らさないといけないじゃないか。おし、営業に指示しとこう。
管理職「おい!来月は徹底的に返本削減しろよ!」

アジャジャーにしてパーでございます。

返品コントロール(?)

2010-06-28 | 取次営業の仕事
返品は少ない方がいいです。「返本率を下げろ!」と。

返品は送品以上にコントロール不能です。
書店「そんなことないだろう。操作してるじゃないか!」
入帳〆日のコトですかね。

これまたスゴイ話ですが、当社は○日までに返品を出せば当月の入帳になるというようなことは約束しておりません。6月10日に返品したものが翌7月の入帳に繰り越されても、書店は文句言えません。(これはさすがにないと思いますが)

社内的には何日までか把握しているだろうとお思いかもしれませんね。一応基準はあるのですが公式に会社が発表しているものではなく、その基準が毎月守られているわけでもありません。正確な日付は末端の取次営業にはわからないのです。それどころか管理職の人間さえわかっていないように思えます。

返品入帳金額を日次でチェックできるシステムがありますが、あくまで物流センターでの作業ベースのデータなので、それがいつ書店から出された返品なのか、またいつ物流センターに到着したものなのかもわかりません。そしてデータは突然更新が止まり、その日が入帳〆であったとわかるのです。書店もたまんないDEATHね。返品に関しては、コントロールもできず、進捗を把握することすら困難であるということです。

でも最近は、"返本率○%以下の基準を満たせば優先配本"的な企画も増えてますよね。
これはいいんじゃないですか。"優先"って言葉の曖昧さを除けばね。

「返本率を下げろ!」
一見当たり前の命令に聞こえますが、取次はメーカーではないのです。
たとえ半分以上返品になろうと、版元に返せるわけです。「売上」の最大化は「返品」の最小化とイコールではありません。
しかしながら、取次は版元、書店ともに望まないような仕入、送品の削減まで行って返本率を下げようとします。
考えられることは、送品、返品に掛かるコスト(資材費・輸送費・人件費)を削減したいということだと思います。
だったらそのコスト、いくら掛かってるのか営業にも教えてください。

送品コントロール

2010-06-26 | 取次営業の仕事
売上を上げるにはつまり、売れそうな商品をたくさん送品して、一方で返品が少なければ良いわけです。
しかしながら、送返品がコントロール不能であることは前回説明しました。
それでも取次は、それをコントロールしようと様々な手段を編み出していきます。
取次営業の場合。

■送品コントロール1 ランク修正

書籍の配本は、ランクに基づくパターン配本が主流ですね。要はランクが高いほど、本がたくさん送品になるわけです。ランクは出版社やジャンルごとに分かれています。これを修正してしまうわけです。
児童書が売れないのであれば、児童書版元のランクや取次で独自に作っている児童書のランクをダウン、ないしカットするわけです。版元ランクって勝手にカットしていいんでしたっけ?
また、逆に売れている場合はランクアップが必要ですが版元ランクは上げられません。そこはシビアですね。
てか、方法自体がアバウトすぎます。よっほどデタラメな配本をしていない限り、これを大きく修正することはないし効果も無いでしょう。ランクアップできないというのも片手落ちDEATHね。

■送品コントロール2 定期改正

雑誌は単品レベルで定期改正できます。書店の雑誌の販売実績を一括抽出すれば、何が必要で何が不要かある程度把握できます。ただ雑誌に関しては、配本段階で既に実績を参照して配本数を調整していますし、書店も定改入れてますからね。
それに、仕入部数の多い雑誌は減数定改しても結局減らないし、逆に仕入が少なければ結局増えません。増やすのは特に難しいです。ガンガン(鋼最終回)とかね。

■送品コントロール3 注文データ削除

これはもうすごいですね。書店からSA発注したデータを消してしまうのです。無駄な注文送品を減らすことができます。無駄かどうか決めるは取次営業です。
書店「そんなバナナ!もう何も信じらない!」
でもバイトに発注まで任せっきりで、ストッカーもパンパンになってるお店もあんじゃないですか。

■送品コントロール4 注文品を間引く

これもすごいです。出版社から搬入になった注文品を起票される前に間引くのです。これならSA発注以外の注文送品も減らせますね。間引いた商品は出版社に帰っていきます。
あはは・・・。


結局、送品については、減らすことはできても増やすことはできないというのが現状です。しかもやり方が雑です。
畢竟「売れそうな商品をたくさん送品」することはできないのDEATH。ごめんなさい。
次回は返品についてです。

取次営業の売上目標

2010-06-25 | 取次営業の仕事
サラリーマンですから、当然売上目標があります。
取次営業の売上とは一体何でしょうか。
それは担当書店の売上です。
これは担当書店の店頭販売金額のことではありません。

取次の売上は、送品-返品です。
1,000円の本を10冊送品して、4冊返品になった場合(正味77と仮定)、
7,700円-3,080円=4,620円が売上です。

担当書店全軒の書籍・雑誌・コミック・その他開発商品の送品から返品を引いた額が取次営業の売上であり、ここに目標・ノルマが課されます。「売上上げろ!」言われるわけです。

しかしながら、取次営業はほとんど送品にタッチできません。配本しているわけではないし、担当書店に何を何冊送るかを決定する権限を持っていないからです。
それどころか日々何が書店に送られているのかすら、ほとんどわかっていません。
担当書店全軒の送品伝票を毎日すべて出力してチェックすればわかるはずですが無理に決まってます。
また、返品も書店がやっているわけですから干渉できませんよね。

つまり、取次営業は課せられた売上目標を全くと言っていいほどコントロールできないのです。
「取次の営業って何やってるんですか?」と聞きたくなる気持ちもわかります。

この、コントロール不能の「売上」を上げるために取次営業は何をしているのか、また何をしろと言われているのか、書いてまいりましょう。

取次営業の仕事 物流補助2

2010-06-23 | 取次営業の仕事
■採用品

これは物流補助の極みでしょう。たとえば。

・詰め直し
物流センターで箱詰めされた商品を営業止めにして開荷して詰め直して宛名を張り直して出荷。
物流センターの詰め方では商品が破損する恐れがあるのでキレイに詰め直しているのです。バカげてるでしょ。

・検品
品違い、不足、荷割れ、条件違いなどを事前に防ぐため、営業止めにて検品します。営業の仕事なんです。ココでは。

・セット組み
学年・学科ごとに教材をセット組みする作業です。これは学校、または書店の仕事ですよね。でも取次営業がやるケースもあるんです。

・返品交渉
返品了解とってから返してください。

なんか書店が怠けているような書き方をしてしまいましたが、そんなことはありません。発注から返品までご自身の会社でキチンとやられるところも勿論あります。

■新規開店
商品の発注、出荷前の検品・ジャンル別仕分け、納品から棚詰め、不足分の手配まで。
新規開店業務を抱える取次営業は、もはや現場の人です。

■閉店
商品を箱に詰め、運送会社に引き渡す。そして営業成績はマイナスになる。虚しい作業DEATH。


取次営業は物流を補助しています。物流作業人員です。
しかしながら会社はこれを認めません。「営業業務をほったらかして何をやっているんだ」と。

さあ、それでは会社の考える取次の営業業務について考えてまいりましょう。

取次営業の仕事 物流補助1

2010-06-21 | 取次営業の仕事
取次営業の仕事は何か。それは物流補助です。
現状の物流システムでは対応できない書店のニーズに応えていくぞ!


■物流補助1 納期に商品を納めるということ
すごい話ですが、当社の物流は納期を約束していません。
書店「何で取次搬入から10日もかかるんだ!」
書店「地方版元の本を1ヶ月も待ったぞ!」
興奮しないでください。搬入から3日で届くなんて誰か言いました?

"取次搬入から原則1週間以内に書店に届ける"みたいなルールがあってもよさそうなものですが、大変そうだし、それに・・・。
そもそも搬入なったのかどうかもよくわかんないんだもーん。

ですから、お客様への納期のある商品については、
物流事故の回で説明した「営業止め」がよく使われています。
この方法であれば、取次搬入から2日程度で自分の元に取り寄せることができます(モノによりますが)。
そして自分の手で出荷するわけです。書店に配達したりもするわけです。
つまり、取次営業が自己責任で納期を約束して物流作業に勤しんでいるのです。


■物流補助2 スリップ回収
臨店した際、補充スリップを回収する取次営業がいます。そして物流センターに発注したり、店売で抜いたりしてるのです。SAシステムが普及している今日の話です。
理由としては、
・データ発注では遅い。
 オンラインで発注するより、取次営業が自ら出荷したほうが早いのは確かですね。
・オンライン発注がめんどくさい。
 書店の怠慢です。
・昔からそうだから。
・取次営業に直接渡したほうが信頼できる(精度が高まる)から。
 それはそうかもしれません。
・SAシステムがない。
 ないんじゃしょーがないですね。

■物流補助3 拡材配達
「書店に行くのが取次営業の仕事だろ。ついでポスター持ってけよ。」的な。
どんだけ臨店すればいいんだと。

■物流補助4 出しといて
書店「これ店売から出荷して」
書店「これ物流センターから出荷して」
もはや書店のバイトですね。

■物流補助5 ヒューマン革命
大口のご注文ありがとうございます。一日でも早く、かつ美しくお届けする為に取次営業が人肌脱ぎます。てゆうか私が出荷作業やります。包装だってやっちゃうよ。
革命!・・・起きないかな。
(つづく)

取次営業の仕事 物流事故3

2010-06-19 | 取次営業の仕事
1冊の本を求めて社内外を彷徨う取次営業の姿。笑止千万でございます。


行方不明、破損、不着などで商品の再手配が必要な場合、取次営業はどうするのでしょうか。

まずは社内在庫です。
物流センター、もしくは店売に在庫があればラッキー。
新刊の場合は、出荷残を新刊発送作業現場から探すような荒業もあります。
あとは出荷するなり、持参するなりしてください。

社内在庫がなければ、出版社にお願いするしかありませんね。
版元再注です。すんなり注文できたとしても、ここに問題が立ちはだかります。
時間という概念です。

通常、版元発注商品は取次搬入から書店着まで1週間位かかります。
ものによっては、2週間以上かかるケースもあります。
既に、2週間待っているお客さんがあと2週間待ってくれるでしょうか。
人によりますね。

■どうするか1 直送
出版社に直送をお願いするのです。
「自社の物流が事故った上に遅いので宅急便でおしゃす!」というわけです。
元払いで受けてくださる仏様のような出版社もありますが、
大抵は「着払いなら」という話になるでしょう。
誰が払うのでしょうか?書店が払うわけないですよね。事故ですから。
きちんとした報告・手続き手順を踏めば会社が出してくれるケースもあります。
でも取次営業が自腹切ってるケースもあんじゃないですか。

■どうするか2 営業担当止め
「直送できない」という出版社があります。
理由はいまいちはっきりしません(社の方針とか)。
この場合は取次に搬入してもらうしかありません。
ただ、そのままやったのでは時間がかかっていまいますので、
通常、書店番線印を押す欄に、番線を書かずに取次営業宛てと記載して搬入してもらうのです。
こうすることで物流センターに搬入後、取次営業のもとに社内流通網を使って送られてきます。
しかし、この方法でも4、5日はかかるでしょう。(結局1週間以上かかる時も)
しかも再手配分がまた事故る可能性もあります。傷口にハバネロ。

■どうするか3 出版社に取りに行く
地方の取次営業には無理ですね。まあ取りに行ける出版社も限られてますけどね。

■どうするか4 引き上げ
該当する本を置いている書店にお願いして引き上げる(返品してもらう)
これは関係ない書店を巻きこむ上、自社の事故を宣伝することになるのでなかなかできないですね。

■どうするか5 別の書店で買う
これが一番手っとり早いでしょう。
自腹なので、高い本、大量の注文品の場合は無理です。
生活が破綻します。

■どうするか6 インターネットを活用しよう
現在はネットショッピングが発達しておりますので、ネット経由で手に入れられることもあります。
ここも完全に自腹ゾーンなので限界がありますが。

■どうするか7 どこにもない場合 
版元品切重版未定。主要書店在庫なし。Webヒットなし。
絶望DEATHね。
これはもう謝るしかありません。平謝りDEATH。謝るのが仕事なのです。
誠に申し訳ございません!

―物流事故の頻度は?―
私の感覚ですが、1日1件以上という感じです。
毎日事故処理をしています。

■殺がれる営業力
日々謝っています。防戦一方です。これでは攻めの営業ができません。
エスカレートする書店の要求も呑まざるを得なくなるでしょう。
こちら側がやることやってないんですから。

でも、そもそも「攻めの営業」って何なんですかね