映画『狂っちゃいないぜ』

2012年05月31日 | 映画の感想


監督: マイク・ニューウェル
ジョン・キューザック
ビリー・ボブ・ソーントン
ケイト・ブランシェット
アンジェリーナ・ジョリー
ジェイク・ウェバー
カート・フラー
ヴィッキー・ルイス
ニューヨークの航空管制局(TRACON)。No.1を自認していた航空管制官ニック(ジョン・キューザック)は、地方から転勤してきたやり手の新入りラッセル(ビリー・ボブ・ソーントン)に強烈なライヴァル心を燃やし始める。何かにつけて張り合うふたりは、やがてニックの妻コニー(ケイト・ブランシェット)とラッセルの妻メアリー(アンジェリーナ・ジョリー)を巻き込んで四角関係に陥った。仕事と妻の浮気という大きなストレスを抱え込んだニックは神経をすり減らすいっぽうだったが、そんな矢先の雪の日、空港に爆弾が仕掛けられるという大事件が発生。必要な誘導人員は2名。かくして、わだかまりを持ちながらもラッセルとニックはコンビを組んで、互いのプライドと妻をも賭けた難事に挑んでいくのだった。
★★★★☆
『アイス・ハーヴェスト氷の収穫』を先日見たので、同じジョン・キューザック&ビリー・ボブ・ソーントン主演の本作も見てみた。はっきり言ってこっちのほうが面白い。航空管制官たちが描かれているっていうのがまず新鮮だ。ゲームのように画面上を動く点をぶつからないように順序立てて並べていく仕事だが、実際にはその点は航空機であり、ひとつの点に何百人という人命が乗っているという事実。その神経をすり減らす仕事を日々続けるプロたちが描かれている。題名からして、もっと破天荒で無軌道な生き方をしている若者の話かと勝手に思い込んでいた。スカイパニックアクションみたいな見方もできなくはないし、二つの夫婦の諍いを描いた映画にも見えるし、しかしてその実体はコメディドラマだった。BB扮するラッセルが現れるまで何をやっても皆よりひとつ抜けていてそこを拠り所に生きてきたキューザック扮するニックが、鼻っ柱を折られて自滅していく姿がなんとも痛々しいし、敵対視しながらも気になって気になって仕方がない様子が滑稽だ。それに対して何でもかんでも一枚上手にやってみせながらも飄々としているラッセル、BBが実にはまっている。ニックはどんどん調子が狂ってしまい破綻していくのだが、ラッセルにヒントをもらって再生していくところが微笑ましい。ジェット噴射で二人がブッ飛んでしまうところなんて最高だ。そして、甘々のハッピーエンドさえ許せてしまう。なんとも不思議な映画だったが、飛行機アクション映画などでは決してないし、ボクのようにハードな内容を期待するときれいに肩すかしを食ってしまうだろう。それにしても、主演男優二人もいいが、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナ・ジョリーも出ていて、なかなかの役者ぞろいの映画だった。

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