昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ブルーの住人] 蒼い情熱 ~ブルー・れいでい~

2023-04-29 08:00:39 | 物語り

(十)ポスター

 もう一度バンドに目を向けると、激しく動くスポットライトの中にも、等身大らしきポスターが何枚も貼ってある。
黒のマントに身を包んだ、ザ・ビートルズだ。
神として崇められている、ザ・ビートルズが。
「リンゴの半テンポずらすリズム感が良いんだ」
「ジョン・レノンのシャウトは絶品だ」
「ポールだって、光ってる」

 四人組のはずなのに、三人の名が飛び交う。
ジョージ・ハリスンの名が出てこない。
更には、リンゴ・ポールと呼び合うのに、ジョン・レノンだけがフルネームだった。
しかし少年は興味を示さない。
少年のお気に入りはプレスリーであり、アニマルズだった。
‘朝日の当たる家’に聞き惚れている少年だ。
ミリタリールックのビートルズを好きになれない少年だが、お気に入りの‘Twist & Shout!’がビートルズの楽曲だとは知らないでいた。



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