原木 【Ｔａｋｅ ｉｔ ｆａｓｔ ！】（二）真面目派

この三番目の高校生、
どちらかというと理性派に属するが、実に平凡な高校生である。
ただ、
他の二人が余りに規格外なので、三人が並ぶと個性ある男に見える。

極めて真面目な男で、これといって目立つことをしない男である。
しかし、ただ真面目なだけの男ではない。
くそ真面目な男だ。

一般に真面目という言葉は、
学業に臨む態度を評すると聞いている。
この男といったら
授業中の態度は真剣そのもので、
自習であろうと
ロングホームルームであろうと、
その態度は変わらない。

作者の知る限り、
ロングホームルームにおいて
何らかの教科書を広げている真面目な男＝ガリ勉とは違う。

例えば、
音楽の自習の時間には音楽の教科書を開いている。
この後の授業において英単語のテストがあるとしても、
この男は音楽の教科書を開いている。

殆どの学生が、
英単語の暗記に取りかかっているというのに。