昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛・地獄変 [父娘の哀情物語り] (四)

2010-10-30 16:38:07 | 小説
薄暗い筈の洞窟で、
それ程にくわしく見えるはずが無いと、
おっしゃられますか?
と申されましても、
確かに見えた
━いえ感じたのでございます。

足下に目をやりますと、
何やら蠢いているのでごさいます。
トカゲのようなゴキブリのような、
そんな気味の悪いものが私の足指の間やら、
手指の間やらをはいずり回っております。
私の体を這っているのでございます。

ナメクジのような、
ウジ虫のような、
うわあぁぁ!
お腹といわず、
胸といわず、
股間もでございました。

お待ちください
それだけではないのです。
実は、
口の中からも出てくるのでございます。
湧き出てくるのでございます。

あ、
あろうことか・・。
あ、
ありえませんぞ。
わたくしめの顔を持った、
野糞にたかる銀蝿が、
口と言わず鼻と言わず、
耳からも飛び出すのでございます。

あぁ、
申し訳ありません。
もうこれ以上のことは、
私には申し上げられません。
・・・・・。

失礼致しました。
ここでやめては、
何のことかおわかりにならないでしょう。
気を取り直して、
お話を続けさせていただきます。
まだまだ夢は続くのでございます。

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