歌川國芳「源氏雲浮世画合・玉葛」「龍宮玉取姫」
海女を描いた浮世絵を探していて見つけた中でも最も迫力があり見応えがあったのは、歌川國芳による「龍宮玉取姫」を描いたものだった。いずれも蛸が描かれているが、これらはすべて19世紀後半、江戸末期の作品で、有名な北斎の「蛸と海女」が描かれた1814年より後で描かれたものになる。三枚組の版の大きいものにおいては、龍神の眷属の描き方に、タイガーバームガーデンで見た「八仙過海、各顕神通」や「白蛇伝 水漫金山寺」の場面と共通している点が多く見られて興味深い。
「龍宮玉取姫之図」
「玉取り」
龍宮玉取姫については、能楽の代表作「海人」に取り上げられているが、讃岐国志度寺に伝わる伝説が元になっている。詳細は後述するが、「海人」では藤原不比等と海女の子が藤原房前ということになっているのに対して、伝説の中には藤原鎌足と海女の子が不比等もしくは房前にすり替えられているものがある。このような伝説には、何か藤原氏に関する秘密が隠されているような気がする。(つづく)
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