Tomotubby’s Travel Blog

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Art Ensemble Of Chicago

2010-06-20 | Africa Afrique
【Twitter拡張版】昨日は「増補改訂版 ECMの真実」を立ち読み。ドイツ人マンフレット・アイヒャーが設立したECMレーベルは「The Köln Concert」ほかキース・ジャレットが多くのアルバムを残したことで知られるが、私はジャック・ディジョネットについて書かれた部分を読んでいた。ディジョネットは、古くはチャールス・ロイド、マイルス・デイビスのバンドにキースとともに加入し、今はゲーリー・ピーコックとともに三人で長くスタンダーズ・トリオとして活動を続けている
彼の盟友であるが、ジャック・ディジョネットもまた ECMには「Special Edition」ほか重要な作品を残している。ディジョネットのアルバムでは私は個人的に「New Directions」が好きで、深夜にCDをよく聞いているが、このアルバムで特徴的なトランペットを吹いているのが、他ならぬアート・アンサンブル・オブ・シカゴのレスター・ボウイだった。AEOC というと、シカゴ派 AACM に属しアフリカ民族音楽寄りのフリー・ジャズを想像させて、サン・ラなどとともに少し敬遠気味だったが、レスター・ボウイをきっかけに私は AEOC を聴き始めたのだった。レスター・ボウイはフェラ・クティの楽団とも共演しており、私の中ではトーキング・ヘッズやポップ・グループ(の残党)などとも近い存在に感じられた。

昨日立ち読みした本によると、ディジョネットのルーツもまた AACM であり、それ以来のディジョネットとボウイの交流について書かれていて興味深かったが、続いて AEOC についての記述があった。彼らは ECM に「Nice Guys」「Full Force」「Urban Bushmen」「The Third Decade」と四タイトルを残しているが、いずれも AEOC の代表作であり、アフリカ黒人音楽の集大成的な作品群と呼んでよいものであり、個人的には前二作は彼らの活動の頂点といえるものだと思う。この当時の AEOC は、インテリ肌のロスコー・ミッチェルと、顔にペインティングをして民族楽器を演奏する残り三人を、軽妙洒脱なレスター・ボウイが繋いでなんとかバランスをとっていたのではないかと勝手に想像している。その微妙なバランスの上で奇跡的に生まれたのが、これら ECM の作品ではないだろうか。パーカッションを多用したアフリカ音楽を媒介にして、曲調の全く違う音楽が並び、彼らの引き出しの多さには驚くばかりであるが、いずれの作品もジャズの文脈で捉えられたものである。

バンドからはジョセフ・ジャーマンがバンドを抜けて、レスター・ボウイが90年代末に亡くなったことは知っていたが、その後、ベースのマラカイ・フェイバースも亡くなっていたことを知った。ボウイは死ぬまで、音楽におけるジャズの共通言語としての重要性を説き、衰えゆくジャズについて憂いていたという。


レスター・ボウイとマラカイ・フェイバースのソロが聞けるチャーリー・ミンガスに捧げられた「Charlie M」


「No Woman No Cry」

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