Tomotubby’s Travel Blog

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「西遊記」その2 盤絲洞の蜘蛛精の下着考 (虎豹別墅 Singapore)

2004-08-16 | Tiger Balm Gardens
次は、円形広場から一段上がった場所にある一大「西遊記」ゾーンへ移ります。園内で最もタイガーバームガーデンらしい、ちょっと淫靡なキッチュ感覚炸裂ゾーンではないか。と Tomotubby は密かに感じています。この辺りは、木陰もあり、ベンチに座って暫し休憩もよいでしょう。

この「西遊記」ゾーンは今までのように一話完結型ではなく、絵巻物のように物語の複数のシーンが隣どうしでダブっていたり、場合によっては逆転していたりもします。そのため、同じ登場人物が何度も登場していて、原作のあらすじを知らない人は少し混乱するのではないかと思います。

西遊記は、ご存知のように、明末つまり16世紀後半に呉承恩によって書かれたとされる小説で、唐代に天竺まで取経の旅に出た玄奘三蔵法師の話に、旅先での妖怪退治の話が肉付けされたものです。このゾーンでは、まず百回本の第72~73回に登場する「盤絲洞」の蜘蛛精の話が取り上げられています。白蛇伝や水滸伝と同様に、京劇で演じられるエピソードで、歌舞伎でも取り上げられています。

左下の写真は一人で托鉢に出た三蔵法師を「盤絲洞」に棲む七人の蜘蛛の精がかどわかすシーンです。右下は、虎豹別墅がテーマパークの時代に売られていた絵葉書ですが、蜘蛛の精が身に着けている下着が全く違っているのに気づきます。


現在の蜘蛛精は、上半身に(ブラジャーに相当するようなものなのでしょうか?)まるで金太郎の腹当てみたいな胸当てをつけ、下半身にはズロワースみたいなフリルつきのパンツを穿いています。

上下お揃いの薄手のブラとショーツをつけた蜘蛛精の絵葉書は、Tomotubby がテーマパーク時代の虎豹別墅を訪れた際に買ったのですが、実はそのときに観た蜘蛛精は、既に今と同じ中国の伝統的下着を身につけていたのです。ということは、テーマパーク時代に、伝統的下着に着せ替えられたということでしょう。フリルの部分は、わざわざ肉盛りされています。

唐代を舞台にした西遊記の妖怪が、20世紀の下着をつけているわけがなく、絵葉書の図像は凄く違和感があります。目を凝らしてみると、背中を見せている方の蜘蛛精の肩のストラップがずれています。この意図的な演出がまた凄くエッチに思えます。まるで稚拙な書き加えのようにも見えます。

稚拙な書き加え...そう考えると、この蜘蛛精は元々全裸の像ではなかったのかと思えてきます。バチカン・システィナ礼拝堂の「最後の審判」の男たちに、教皇の命令で腰巻が描き込まれたように、リー・クァンユー首相の指導のもと、虎豹別墅の妖艶な蜘蛛精たちにも下着が着せられたのではないかと思えてきます。

Pet 君が、チャンギ空港の待ち時間に、ここには「本」がないなあ。がっかり。と嘆いていましたが、シンガポールでは、マレーシアからの独立当時から風紀紊乱の取締りが厳しく、日本のオヤジ御用達の週刊誌「週刊G代」や「週刊H石」のグラビア程度でも出版は難しいといいます。映画においても同様で寝室のシーンは御法度らしく、丸ごとカットされていたりするため、ストーリーの展開がわからなくなるそうです。


色っぽい蜘蛛精

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