大工の学校 

築き人(きづきびと)を志す、職業能力開発校の徒然日記
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継手3 追掛継ぎ

2008年07月01日 | 継手・仕口
 さてさて、本日は継手の3種類め「追掛け継ぎ」を勉強しましょう。

さっそく、スケッチアップのモデルをダウンロードしましょう。



追掛け継ぎは、継手の中でも最強の強度を持った仕事です、この為手加工で構造を刻む大工さんにとって、鎌継ぎ以上に多く使われる継手なのです。

最近は、プレカットにも採用されてきていると聴きますが、現場でこの継手にお目に掛ったことはありません。それはなぜでしょう?



答えは、プレカットは鎌継ぎと追掛け継ぎを区別して、軸組みを構成できないからだと思います。





先に述べた、鎌継の特徴として、追掛け継ぎに比べて、材成(木の高さ)が異なる在同士の接合に便利ということを述べました。


成の違う材を追掛け継ぎで継ぐ場合、加工機の形状上、どうしても手刻みが必要になるのです。




折角、追掛け継ぎもできる機械を購入しても、このような理由からコンピュターに入力する際、余程の構造と刻みの知識がない限り、「面倒くさいから全部鎌継ぎにしちゃえ」という事になるわけです。


プレカットを入力するオペレータさんは大工仕事を経験したことない人がほとんどでしょう。




万が一、入力をミスって、いざ棟上げの時に組みあがらなかったでは、大損害になるし、すぐ口伝えで「あの会社にプレカット頼んだらえらい目に遭った。」となるわけです。


追掛け継ぎと、鎌継ぎとでそれぞれ同じように組み上げた家屋の強度の違いは、専門家が見れば明らかですが、明確に数値で示したデータはありません。
(手刻みの鎌継ぎとプレカットの鎌継ぎを比較し、プレカットの方が手刻みよりも強度があると嘯く(うそぶく)メーカーがほとんどです。)


このような事があり、宣伝効果を狙うなど、余程のことがない限り、無難な鎌継ぎで木組みを構成しようとするはずですよね。



 ここで、断わっておきますが僕はプレカットの住宅が全て悪いと言っているわけではありません。僕自身民間会社に勤務しているときは、これまで手刻みだった大工さんを説得し、プレカットを導入したという過去があります。


だけど、木のことを全く理解せず、柱を逆木にしたり、強制乾燥で材料内部を破壊したり、あたかもコンピュター制御された機械で、大工よりも正確な仕事ができて優れていると宣伝されちゃうと、「それはちがうんじゃない?」と思ったりするわけです。


お互い利点はあると思いますので、もし家を建てようと思う方がこのブログを見ていたら、その特徴をよく勉強された方が良いと思います。









さて、墨付けですが、前回も利用した、さしがねの幅(15mm)を使い握手をする手のような形を、墨付けます。


滑りこう配以外は、男木(または上木)、女木(または下木)ともに同じ形をしています。右勝手・左勝手があるので間違えないようにしましょうね。



これまた最初はやや戸惑う形だけど、二度目になると簡単に墨付けが出来て、「あれ?こんなに簡単だっけ?」と逆に心配になってしまいます。


一般的には、追掛け継ぎに、横から栓を打つ「追掛け大栓継ぎ」がメジャーです、こうすると強度が飛躍的にアップしますからね。


今年は、新しい材料=含水率ほぼ100%なので、生徒さんは割くのが大変そうでした、僕も久々に刻んでみるとしんどかったな~




追掛け継ぎの形は、他にもバリエーションがあるので、この形は良く覚えておくことにしましょう。


おしまい。

















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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あっちゃん)
2008-07-05 01:03:26
そうそう、プレカットでもしていますよ~

めんどくさいから、鎌ではなくて、別途費用で鎌が多いんですよ~

大センは五分の丸センなんですよ~

自分が刻む時は、力の掛かる部位毎に追っ掛け大セン、台持ち鎌を混合させているんですけどね~
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あっちゃんへ (TOM-P)
2008-07-07 10:43:55
 おつかれさまです。

そうですね、大げさな仕事をするわけでなく、基本に忠実にしていれば、問題ないですよね。

要は、図面を見て、木組みが想像でき、有効な継ぎ手、仕口が想像できればいいんだけど、なかなか教えづらいことでもあるわけですね。

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