特別支援をカガクしたがるカワムラのブログ

応用行動分析学(ABA)、障害福祉、特別支援教育など、個人の考えとして書きます。ブログは極めて気楽な執筆態度です。

【取材】知的障害と性教育 SLLカルミアさん

2017年04月21日 | 障害児、障害者、特別支援教育

知的障害児への性教育に関する活動を行っている、SLLカルミアさんに取材をしてみました!

私は性教育その他極めて疎い人間なので、他にもご意見ある方いましたら取材させていただき、参考にさせて下さい。

※以下、あくまでインタビュー内容そのままであり、私が特定の意見を支持するものではありません。

カワムラ「まず、どのような経緯でこのような活動を始めたのか、お聞かせ下さい!」

SLL「サイトにも書いてあるのですが、息子が不登校を経て支援学級に通っていた頃(現在は普通学級)小5の終わりに性教育の本を持ち帰って「これはボクが読んじゃイケナイ本なんだよね」って言われたんです。」

カワムラ「それは、学校の指示で?」

SLL「どういう事かと思い先生に聞くと、教科書は配布するけど都内の支援学級や支援学校では性教育は行わないんですとハッキリ言われて、じゃあ何故本は配られるのか、そもそも二次性徴は来るのに何故性教育を行わないのか、モヤモヤしました。それが4年前です。学校の指示ではなく都の方針だと言われました。」

カワムラ「なるほど、それからこのような活動を始められたのですね。では、現在の主な活動内容をお聞かせ下さいませ!」

SLL「きっかけはそれでしたが、4年間どこかで今しているような活動をしているところはないか探していました。最初はお手伝いが出来れば程度の気持ちだったんです。でもそうこうしている間に4年が経ち、自閉症で重度知的障害(言語発達遅滞)の娘が3年生になり、二次性徴の入り口に立ち、このままではいけないと学校への働きかけを行っていました。でも、娘だけの問題ではないと感じ、団体を作り活動をする決心をしたんです。現在の主な活動内容は、ネット署名と紙での署名活動と、保護者の勉強会です。今後はデイサービスなどの支援員向けの勉強会も開催予定で、既にデイサービスの方からも是非開催して欲しいとの声を頂いています。」


カワムラ「保護者への勉強会では、どのような内容を?」

SLL「まだ始めたばかりなので、まずは保護者が性知識を持つ事や、誤解や偏見、純潔教育の末のタブー視を取り除く事が先決かと考え、今は「何故性教育が必要なのか」特に知的障害児に性教育をしないという事はどんな事に繋がるのかなどを勉強しています。大々的に人数を集めてやる場合は講師の先生を招き、経験談に基づき主に二次性徴の話を聞くのですが、私たち親世代も実はまともな性教育を受けていないので、正直ビックリするような事も知らないお母さんも少なくありません。まだ勉強会も少人数では何度か行っていますが、人数を集めてする事も始めたばかりなので、今後は参加者の要望も取り入れながら内容を検討して勉強会を行っていくつもりです。男児と女児の保護者では悩みも違いますからね。」


カワムラ「複雑な問題だと思いますが、保護者の方々の反応はいかがですか?」

SLL「うちの娘は小4で小3辺りから他のお母さん達に声かけはしているんですが、そこで感じたのは男児と女児の保護者の温度差ですね。
確かに二次性徴は女児の方が早く来るし、同性(母親)で大事だって事を実感として持っているので受け入れられやすいのと、性被害の事を不安視するというのがあって、比較的女児のお母さん達は早いうちから性教育に興味を持っている気がします。ですが、男児のお母さんは「寝た子を起こすな」と心のどこかで思っているような感じで、まだ大丈夫、まだ先の話、旦那に頼むとか割と受け入れられないという場合が多いです。異性ですからね、戸惑いもあるんだと思います。でもどんなに目をそらしても二次性徴は来てしまうし、実際にきてから慌てるというケースが多いようですね。声をかけたお母さん達も、話に乗って来てくれるのは殆どが女児のお母さんです。ちなみに他に一緒に活動をしてくれている面子も女児のお母さんです。」


カワムラ「なるほど、その差も興味深いですね。個人的には寝た子を起こすなではなく、性教育は原則生活年齢基準で行うべきだと思うのですが、いかがでしょう?」


SLL「私もそう思います。寝た子はほっといても起きちゃいますしね。原則生活年齢基準で行うのは勿論なのですが、知的障害児の中には娘のように実年齢は9歳でも発達年齢は2歳程度(言語は1歳半)という子もいます。ですが、毎日くり返し教える事でゆっくり覚えていける子達なので、性交や性器や避妊などの話はさておき、基本的な性教育(自分の身体の部位を知る事、異性の体との違いを知る事、性差、自認、病気、衛生など)は低学年のうちから短時間でも良いから(1日5分とか10分)教える時間があった方が良いとおもっています。そういった土台がある程度出来上がったら、次のステップへ進むのが理想的ですね。でも、実際は行われていないので、娘は自分の身体の部位すら分かっていません。」


カワムラ「なるほど。性教育に関して、体系的な指導プログラムはあるのでしょうか?」

SLL「私共にという事ですか?」

カワムラ「それもそうですし、私は専門外ですが聞いたことがないので、そもそも開発されているのかな?と」

SLL「今後親子での性教育の勉強会などを行いたいという話も出ているので、その場合は専門家の先生を講師に招いて行う予定です。性には多様性があるので、体系的に指導できるプログラムというものは無いかと思いますが、ある程度基本的な部分での指導は(二次性徴前までの)確立されているかと思います。」


カワムラ「なるほど。では現在の活動は指導そのものというよりは、障害児への性教育を社会に承認させることが中心なのですね?」


SLL「そうですね、まずはタブー視されている現状を打破しない限り先へ進めないと思っていますので、活動のメインはそちらになりますね。講師の先生を招いての勉強会ではもう少し進んだお話を聞くコトが出来ます。私たちも専門家ではなく、知的障害を持つ子の保護者ですので、勉強の途中なんです。まずは保護者や社会に必要性を知って貰い、教える側の保護者や支援員が理解し、正しい知識を持つ事が大事だと考えています。」


カワムラ「タブー視という障壁、なるほどです。性教育について、学校はどのような役割をになうべきでしょうか?」


SLL「結局、学校の先生も「純潔教育」という名の性教育を受けて育っているのでタブー視というのは日常的に当たり前になってしまっているんですよね。10年以上という空白の期間があるのもあり、性教育の話をすると先生達は口ごもります。性教育を行って欲しいという話を先生方ともしてきていますが、まず自分が「正しい性教育を受けていない」という自覚が無いんですよ。なので、役割云々以前にまずは理解を広めて貰わないとどうにもならないですね。性教育の役割としては、学校だけではなく、家庭だけでもなく、余暇活動だけでもなく、その3つが連携して性教育を行っていけるためのセンター的、且つ相談役的な役割を期待しています。活動している時間全てで、一環した指導を行う事が大切なので、是非中心的な役割を担って欲しいです。」

カワムラ「なるほど。都に対して署名を送るとのことですが、性教育について全国的にこのような状況なのでしょうか?」


SLL「七生養護学校での事件があった直後は全国的に性教育は自粛ムードだったのですが、現在は東京都以外の特別支援学校では性教育は再開されていっているようです。積極的に行っている県も増えてきています。ですが、東京都では裁判でも敗訴したにも関わらず、無言の圧力のようなものが未だ働いていて性教育には消極的です、石原都政の悪しき習慣は消えておらず、勝手に性教育に力を入れようものなら「全然性教育とは関係のない事で」処分される可能性があるからです。恐ろしい事です…。教育現場にあるまじき事です。今まだこの呪縛が解けない県も他にもあると思いますが、東京都が変えてしまった良い流れを取り戻すには、東京都が性教育を認め再開する責任があると考えています。」



今回の取材は以上ですが、今後も取材企画は打って行きたいと思っていますので、営利目的以外に限り、ご希望の方、ツイッターDMまで。



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SLLカルミア



 

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