快読日記

日々の読書記録

「子供時代」リュドミラ・ウリツカヤ

2015年10月17日 | 翻訳小説
《☆☆☆ 10/17読了 沼野恭子/訳 ウラジーミル・リュバロフ/絵 新潮社 2015年刊 【短編集 ロシア】 Людмила Улицкая(1943~)》

収録作品:キャベツの奇跡/蝋でできたカモ/つぶやきおじいさん/釘/幸運なできごと/折り紙の勝利

子供のころのことをよく覚えている人とそうじゃない人がいますよね。
わたしは完全に後者なんですが、具体的なできごとがすっかり消えていても、そのときの不安・恐怖・悲しみ・ドキドキだけはずっと底の方に残っていて、これを読みながら何度もフラッシュバックを起こしました。
行ったこともないソビエトの冬の匂い、見たこともない料理の味、大柄なおばあさんの小言、怖いおじいさん、そんな全てがなぜだか懐かしい。
リュバロフの絵の効果も大きいです。

6編全部よかったけど、特に好きなのは「釘」です。
おじいさんという生き物は口が重く、愛想がなく、そして不器用で、ごつごつしてるくせにやわらかい。

/「子供時代」リュドミラ・ウリツカヤ