快読日記

日々の読書記録

「皇族のひとりごと」三笠宮寛仁

2012年05月11日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《5/9読了 二見書房 1977年刊 【日本のエッセイ】 みかさのみや ともひと(1946~)(トモは寛にひとつ点)》

ここ数年来、アルコール依存症や、闘病の話題が多い寛仁殿下ですが、
独身時代はこんなエッセイ集(20代半ばから30くらいまでに書かれたもの)を出したり、深夜ラジオ(オールナイトニッポンらしい)でDJをしたりしてたんですね。
すご~い。
知らなかった。

皇族に生まれるとはどういうことか、
なぜボランティア活動をするのか(←これが一番胸を打たれました)、
ふだん何を考え、
どう暮らし、
どんな恋愛をし、
どんな仕事をして、
どんな人たちとつきあっているのか。
当然、ゴーストなんかじゃなく、自らが筆を執って繊細かつ生き生きと書かれている。
なんせ、好きなタイプの女性の“体型”まで書いてある!

なんだ、普通の日本人と同じじゃないか!と親しみを感じる一方、
その「普通の」の感覚を持ちながら「皇族」として生きる苦しさは想像するだけで気が滅入り、察するにあまりあるというかんじです。
この人は、もし普通の家に生まれていてもきっと何かしっかりした仕事をして名を残した人だろうと思いました。
兄貴肌で破天荒な反面、純真でちょっと神経質で、弱いものにやさしい。
そうなると、皇族として生まれたことは幸か不幸か。
もちろん答えはでませんが。
数年前、海外のメディアで「皇族であることはストレスの塊だ」というような発言をしたようですが、
この本にはそうであってもまだ若く、ハツラツとした殿下の姿が焼き付いているので、
先の発言は余計にかなしくなります。


またこんな本を書いてもらいたいなあ。
そして1日でも長く、心穏やかな日々を送ってほしいです。

/「皇族のひとりごと」三笠宮寛仁
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