快読日記

日々の読書記録

「図書館の外は嵐 穂村弘の読書日記」穂村弘

2021年06月30日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
6月28日(月)

「図書館の外は嵐 穂村弘の読書日記」穂村弘(文藝春秋 2021年)を読了。

読書日記(書評)って、
これおもしろかったよー!みたいな段階のもので済めばいいけど、
突っ込んであれこれ書き綴っちゃうと、
却って自分自身の底が知れちゃうというか、
読解力のなさだったり、
それゆえの“逃げ”が文章に出ちゃったりして、
とにかく危険ですね。

すっごく意地の悪いことを言えば、
穂村弘は「これ以上書くと危ない」って手前ですっと手を引くのがうまい。
わかってます、という雰囲気を出すのがうまい。

「中年の本棚」荻原魚雷

2021年06月09日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
5月9日(日)

「中年の本棚」荻原魚雷(紀伊國屋書店 2021年)を読了。

中年期を乗り切って大人になるための本や、大人になるってどういうことかを教えてくれる本の本。

自分と読書傾向が似た筆者に親しみを覚えつつ(あまりに好きな本がかぶるので、途中でこの人はわたしかと思った)、終盤、「果たして人は読書で大人になれるんだろうか」という疑問がわきました。


たぶんなれない。

「なつかしい本の記憶 岩波少年文庫の50年」岩波書店編集部 編

2021年02月26日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
2月10日(水)

「なつかしい本の記憶 岩波少年文庫の50年」岩波書店編集部 編(岩波書店 2000年)を読了。

岸田(衿子・今日子)姉妹、ぐりとぐらの中川姉妹、池内(紀・了)兄妹それぞれの対談がじんわりといいかんじでした。
自分は経験してるはずのない「あの頃」を、彼らと一緒に懐かしいと感じてしまう不思議。
そして、きょうだいで読書体験を共有できるってうらやましい。
わたしは絵本や児童文学のいわゆる王道を読んでこなかったので、いいなー!の連発でした。

井伏鱒二がドリトル先生シリーズの翻訳について語る項もすごくおもしろかったです。
つい「山椒魚」読み直してしまいました。

「わたしのベスト3 作家が選ぶ名著名作」毎日新聞出版 編 和田誠 画

2020年08月26日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
8月26日(水)

「わたしのベスト3 作家が選ぶ名著名作」毎日新聞出版 編 和田誠 画(毎日新聞出版 2020年)を読了。

例えば、篠田節子が選ぶ円地文子ベスト3とか、
小林信彦がハイスミスのベスト3を発表するとか、
吉村昭選の丹羽文雄ベスト3!とか。

この本のキモはなんといっても選者と作家の組合せの妙ですね。

綾辻行人&横溝正史、湊かなえ&クリスティ、内田樹&村上春樹なんてのも、すごいベタではあるけど安心感もある。

各項に選者と作家が語り合う和田画伯の似顔絵があって、それをじっくり見るのも楽しかったです。

「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」Dain

2020年08月19日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
8月19日(水)

「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」Dain(技術評論社 2020年)を読了。

ハイパー超絶読書家Dain氏の読書論や読書傾向が、
本当にびっくりするほど自分と重ならないという事実が、
かえって“読書の世界”という荒野の広大さを物語っています。

その読書への姿勢も嗜好も、自分とまったく違うので、
(共通点は立花隆に対する評価くらいか)
じゃあ、わたしの読書って一体なんなんだろう、と考え込んでしまいました。
10分くらいですが。

普通、この手の本を読むと自分もそれ読んだ~ってやつが何冊も出てきて、
その解釈に共感したり相違点にハッとしたりが楽しいわけですが、
ここまで共通項がないのも珍しくて、
だからこそ、読んでみたい本がたくさん見つかりました。
うれしい。
そして、本の世界は果てしないですね。

「文芸誤報」斎藤美奈子

2020年06月05日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
6月4日(木)

「文芸誤報」斎藤美奈子(朝日新聞出版 2008年)を読了。

170冊以上の文学作品を“新人”“中堅”“ベテラン”みたいなかんじで分けて取り上げてあって、
正直、“新人”コーナーは評価が低い作品が目立ち、こんな作品、仕事とは言えよく読めるなー、と変な感心をしました。
でも、駄作に対する斎藤美奈子の小バカにしたかんじは一種の芸ですね、おもしろい。

“中堅”あたりから「お、これは読んでみたい」という本も出てきてうれしいんですが、
それにしても、毎年いろんな新人作家がバサバサとデビューして、泡みたいに消えていくんだなあ…なんてつい遠くを見てしまいます。

斎藤美奈子はおばちゃん率が高くてスレているかんじ。
豊崎由美の方が、文学少女傾向が強くて実はピュアなかんじ、ですかね。

どっちも好きなんですけど。

読書中『チェスタトンの現代用語事典』ピーター・ミルワード/編

2016年10月09日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
10月8日(土)

『チェスタトンの現代用語事典』(ピーター・ミルワード編/春秋社)を読み始める。

何か特定の宗教への信仰は持たなくても、「信仰心」は必須だな、と思った。

全部を自分の力でどうにかしようみたいな思い上がりがなくなって謙虚になるし、生きやすくなるね、と確認。

ちょうど横尾忠則の『言葉を離れる』(青土社)も、流されるままに、妨害が入っても逆らわずにいると、いいところに流れ着く、かえってそれに抵抗すると痛い目に遭う、という話が続いていて、おぉと感嘆の声をひっそりとあげる。
横尾忠則ママはそれを「神さまのお導きや」というそうだが、神さまでも仏さまでも呼び方はともかく、「何かが自分を守ってくれてる。いい方に連れて行ってくれてる」という実感はたしかにある。
しかし、人前でそれを言うとあらぬ誤解を受けそうだし、スピリチュアルな人が寄ってきたら困るので決して口にすまい!と誓う。

こんなふうに、たまたま平行して読んでる本たちが声をそろえて同じことを言うって、びっくりするけど意外とよくあることだよね、と思いながら就寝。

読了『枕元の本棚』津村記久子

2016年09月29日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
8月16日(火)

津村記久子の書評集『枕元の本棚』(実業之日本社)を読んだ。

地に足が着いていて、でもふてぶてしくない、いいかんじにとぼけた妙味もある文章は期待通り。

選書はかなり周到に小説をハズしてあって、せめて翻訳モノくらいはとりあげてくれてもいいのになあ、と思う。

読んでみたいと思ったのは『チェスタトンの現代用語事典』と『100の思考実験』と『ユーモアの鎖国』。
(『ユーモアの鎖国』はその後読了)

読了『読まされ図書室』小林聡美

2016年07月22日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
7月21日(木)

人に勧められて本を読むというのは苦手だ。
そのパターンでおもしろかったのは近年では『ガタラの豚』くらい。
人に勧めるのは(人と本は慎重に選ぶが)好きな方なので、単なるへそ曲がりなのかもしれない。

この『読まされ図書室』(小林聡美/宝島社文庫)は、14人の推薦人たちが紹介した本を小林聡美が読む、という本。
「わたしが」勧めたい本と、「あの人に」勧めたい本とでは意味が違うと思う。
この14人は後者が多い気がする。
自分が好きなものを押す、というより、小林聡美に読ませたい本をあれこれ考えた末の1冊、みたいな。
幸せな企画だ。

本のデザインもすごくかわいい。
メンバーを変えて、第2弾も出していただきたい。

読了『名作うしろ読み プレミアム』斎藤美奈子

2016年06月09日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
6月8日(水)

『名作うしろ読み プレミアム』(斎藤美奈子/中央公論新社)を読み終わる。
だいぶ日数がかかったのは、読みにくいとかつまらないとかではなく、最近まとまった時間を読書に割けないからだ。

エピローグで言うように、〈ラストの一行のみならず、結末に近い部分の物語を注意して読むと、いままで読み過ごしていた物語の、もうひとつの面が見えてくる場合が少なくない〉(309p)。
たしかに誤解したまま覚えちゃってるってことはある。
じゃあ読み返すかと言われれば、そんな時間があるなら未読のやつに行くだろうし…。

読書中『名作うしろ読み プレミアム』斎藤美奈子

2016年06月06日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
6月5日(日)

「マルタの鷹」の項で、こりゃわたしは一生ハードボイルドとは付き合えない、と確信した『名作うしろ読み プレミアム』(斎藤美奈子/中央公論新社)。

うすうす気づいてはいたけどやっぱりね、というかんじだ。

ハードボイルド以外に相性が悪そうなのは、ファンタジーとSFだ。
歴史ものもあまり読まない。
以前はそういう食わず嫌いは損だな、と思って人に勧めてもらったり評価が高い作品を読んでみたりしたけど、不惑もだいぶ過ぎたことだし、持ち時間も無限ではないので、今はもう読書傾向の偏りを矯正するつもりはない。

読書中『名作うしろ読み プレミアム』斎藤美奈子

2016年06月05日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
6月4日(土)

『名作うしろ読み プレミアム』(斎藤美奈子/中央公論新社)の続き。
タイトルだけは知ってる「名作」はたくさんある(っていうか ありすぎる)が、中でも『ベロ出しチョンマ』(斎藤隆介)のストーリーが衝撃的すぎた。
のん気な題名との落差がすごい。
読んでみたくなった。

あと、各作品評の最後に書かれているちょっとしたトリビアがとてもおもしろい。


夜『衣もろもろ』(群ようこ/集英社文庫)の続きを読む。
若い人の服装は、どんなにキテレツでも安物でもサイズ合ってなくても、それはそれでピタッとおさまるし、かわいかったりする。
中年になると、サイズ・防寒・体形カバーなど、条件が増えるし、色を選ぶにも顔映りが気になるし、安いものを着ると安い感がハンパなく出るし、とにかく大変だ。
群ようこはそこらへんを熟慮と財力でどうにかしている。

それにしても、人間にとって「見てくれ」って何なんだろう、意外と深いテーマかもしらん…。


寝る前、『海に行かないか』(坂田靖子/朝日新聞出版)を読む。
何度読んでも飽きない。