快読日記

日々の読書記録

「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」坂爪真吾

2021年08月20日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
8月14日(土)

「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」坂爪真吾(徳間書店 2020年)を読了。

もうフェミニストvsマチズモみたいな単純な話じゃないんですね。
昭和は遠くなりにけり。

「ツイフェミ(ツイッターフェミニズム)」が、フェミニズムに理解がある「リベラル男子」までをも攻撃するとか、
オタク対フェミニスト(「女体」を強調したアニメ絵のポスターなどに関連して)、
LGBTへの差別・そしてその内部の複雑極まる対立構造などなど。

特に驚き、嫌悪感を持ったのは、
“ネットで怒ったりケンカしたりしてる人たちの多くがその件の当事者ではない”ということです。

ガラケー愛用者でSNSとは縁がない(好きな作家などのツイートを数ヵ月に1回PCで覗くくらいが限界)わたしから見ると、
な、なんだかすごいことになってるな…、くらいの感想しか持てず、くわばらくわばら(読むのがしんどい)、だったんですが、
終盤、これらの行動を「依存症」と位置付けてからの分析はとてもおもしろかったです。

「自分の痛みと他人の痛みの区別がつかない」で怒り狂い、
その怒りがもたらす快感がクセになり、依存してしまう。
でも、これはかなりストレスフルですよね。

最後に「原因は、思想ではない」と言い切るあたりにも納得しました。

納得したんですが、
そうした「怒りの快楽」依存症で、SNSでの「放火」などがやめられない苦しみを抱えた人たち(もちろん依存の自覚はない)からしたら、
筆者の、ちょっと彼ら彼女らを見下した(ようにみえるくらいクリアな分析)態度にイライラしちゃうだろうなあ、と思いました。
ほとんど逆恨みに近い感情なんだけど。
それが冷静な指摘であればあるほど怒りを燃え上がらせてしまう。

やっかいな感情です。

とにかく、さっさとSNSから離れられればいいのにね。
それができれば苦労しないか…。