重陽。
菊の節句だ。
ハイボールに花びらを浮かべるか。
また、一つ亡き母を偲ぶのに相応しく。
酔う程に涙も枯れ果て
一人、
淋しい秋の夜を過ごそう。
そうだ。
夏の終わり
伊勢方面での旅の
締めくくりとして
青峰山を書いておこう。
海抜336m、目だって深い山が
無い鳥羽では珍しい観光地だ。
朱印帳には自分と母の名を記している。
だから一緒に巡っているつもり。
ひと時バケツをひっくり返したような雨の為に
霞んで寺の全貌が捉えられない。
ごうごうと水が音を立てて流れ落ちるのは行場か。
豪雨で水量が増しているのか。
まるで天上界の様相、山門へ向かうのもたじろいだ。
見事な山門をくぐる。
数人の若者が野外コンサートの準備をしていた。
その向こうに写真の金堂、聖天堂太子堂が見えた。
本尊十一面観音は補陀洛山より鯨に乗ってやってきたとか。
荒れ狂う時化から漁師達を守る。
豪快な仏様の笑い声が聞こえてきそう。
金堂の、何とも言えない古い木の匂い、
噎せ返るように。懐かしさに足を止めた。
奈良時代、夢のお告げに従い行基に創建を命じた
聖武天皇も東大寺伽藍を無事に整えられ
見た事もなき南海への思いをいっそう強くしたであろう。
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