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私的コラム&雑記(&メモ)

OLEDテレビを買った話

2023-05-27 | ガジェット / PC DIY

 私事で恐縮だが、OLEDテレビを購入したので、備忘録を兼ねて記事に残しておこうと思う。

動機

 筆者は日本を離れた2012年以降テレビを所有していなかった。それは、引越する際に邪魔になるとか、ストリーミングならPCモニターで観られるとかいった理由で優先順位が低かったからだが、とはいえ、ストリーミングを観たりゲームをするにも大画面は魅力的だし、現在住んでいるスイスの国営放送は受信料支払いが義務化されているため観られるようにしておきたい。

 そんなわけで、同時期に入社した同僚と「テレビでも買おうかね」などと会話をしていたところ、ギークな同僚にOLEDテレビを勧められたため新しい体験という意味でもOLEDで検討することとした。

 テレビの話題で言うのもなんだが、率直に言うと筆者の映像への優先度は相対的に低い。筆者はクラシック音楽のファンなのでテレビ/モニターはオペラやバレエを観るためというのが最も重要な用途だが、映像よりもオーディオの方が優先順位が高く、アンプとスピーカーに予算を集中させる方が理に適っている。だからここでは最新・最高性能の2023年モデルではなく、価格のこなれた2021/2022年モデルの中からコストパフォーマンスが高いものを選択することとする。

仕様検討・要求仕様

 筆者のテレビの買い替えサイクルは短くないため、寿命を約10年と仮定して以下のような要求仕様を設定した

サイズ:65インチ
現在店頭に並んでいる大型のOLEDテレビのサイズは48/55/65/77インチが主流だが、この中で単位面積あたりのコストパフォーマンスが高いスイートスポットが65インチである。予算と設置場所が許すのであれば65インチを御勧めしたい。

画面面積 (cm2)価格(参考:LG C2, 単位:CHF)価格/面積 (CHF/cm2)
48インチ5593.179500.170
55インチ8343.3011990.144
65インチ11664.0015990.137
77インチ16350.9524990.153

パネルタイプ:OLED
上述の専ら「興味」が理由でOLEDとする。ちなみに欧州での65インチテレビの価格はLCDで€800前後~・OLEDで€1500~が相場となっている

解像度・リフレッシュレート:4K 100/120 Hz対応
ゲームでの使用なども考慮し、4K・100/120 Hzに対応していることが望ましい(個人的に優先度は高くないが)。実のところ、後述の通り最新のHDMI 2.1/2.1aが対応しているため、HDMI 2.1/2.1a対応機器を買えば4K 100/120 Hz対応と思われる

HDMI:HDMI 2.1ポート搭載
将来的なコンテンツへの対応を見越して4K 120Hz(YCbCr 4:4:4)サポートにHDMI 2.1が必須

目標価格:約€1000 / CHF1000
65インチのOLEDは€1000を超えるため、目標価格=近いほど優れているという判断基準

ちなみに、筆者はNVIDIA Shield TV(Android TV端末)を所有しているため、スマートTV機能はあまり重視しておらず、テレビに内蔵のスマート機能がwebOS(LG)やTizen(Samsung)でも問題とならないが、人によってはAndroid TV(Sonyなど)搭載機の方が好まれるかもしれない。

機種選定

 画質・性能・価格を調査した結果LG OLED65CS9LA(CSシリーズ)を選定した(特売でCHF 1199)。日本人としてはSonyかPanasonicを選定したいところではあったのだが、CHF 300(欧州人の感覚で3~4万円ぐらい)以上という価格差は無視できなかった。

Make, ModelHDMIRefresh RatePrice
LG OLED65CS9LA4 HDMI 2.1100/120 HzCHF 1199
Sony XR-65A80K4 HDMI 2.1100/120 HzCHF 1499
Sony XR-65A75K4 HDMI 2.1100/120 HzCHF 1499
LG OLED65B19LA2 HDMI 2.1, 2 HDMI 2.0100/120 HzCHF 1199
LG OLED65C27LA4 HDMI 2.1100/120 HzCHF 1499
LG OLED65A29LA4 HDMI 2.050/60 HzCHF 999

 LG CSシリーズは欧州・豪州限定の廉価版モデルということもあり、メディアへの露出が少なくレビューなども少ないものの驚くほど評価が高い。
 基本的にはLG C1(2021年モデル)とC2(2022年モデル)との中間的な仕様なのだが、一部のメディアが説明する「C1のパネル・外装とC2のプロセッサーを組み合わせた製品」というのはどうやら誤りで、パネルもC2と同じながらもLG OLED Evoパネルの特徴である輝度ブースターが削除されており、画面上の高輝度の部分以外はC2とCSとでは同じ測定値となっているようだ(参考:HiFi.de (Google Translate)・ComputerBild (Google Translate))。それでいて廉価版(€300ほど安価)なので非常にコストパフォーマンスが高い。

 スペックを比較してみるとC2シリーズの65インチモデル=OLED65C29LAとCSシリーズの65インチモデル=OLED65CS9LAのスペックはほぼ同じでOLED65CS9LAは輝度が空欄となっている。上述のComputerBildの測定によると最大輝度は791 cd/m2だそうで、これはA80Kの650 cd/m2を超えC2の850 cd/m2に迫る値である。

使用感

画質

 これまでLCDテレビしか所有したことがなくLCDテレビとの比較になるため当然の結果だが、コントラスト比が高くボケた部分の無い、クッキリとした映像を楽しめる。画質の設定としては筆者は普段は「Standard」モードで使っているが、テレビドラマや映画を観る際は自動的に「FILMMAKER Mode」に切り替わる。
 ただ、Blu-ray等を持っている人はともかくストリーミングサービスのサブスクリプションが一般的な現在では画質がオーバースペックなのでは?という疑問も感じる。恐らく、2023年現在で主流のストリーミングのフォーマットは8 Mbps程度の1080p・30-60fps・8 bit Colorあたりが多いはずで、これが4K・120fps・10/12 bit Color (4:4:4)・HDRとかが普及すれば性能を発揮できるようになるだろう。
 逆にDVD画質など低画質の動画も視聴してみたが、アップスケーリングも優秀だと思う。

音質・AI Sound

 音質全般としては悪くはないが、音に拘る人にはサウンドバーやAVレシーバーの使用を御勧めしたい。例えばオーケストラのコンサートを視聴する場合、楽器の奏者が画面中央付近に見えるわけだが、音が画面下から聴こえている感じが強く違和感がある。

 LGのテレビにも他社製のテレビと同様に音質のモードを変更する機能があるが、筆者の場合はとりあえず音楽では「Standard」モード・ドラマや映画では「AI Sound」に落ち着いた。
 例えばオーケストラの演奏を「AI Sound」で聴くと楽器パート間のバランスが無茶苦茶になってしまい聴いていられないため、変に弄っていない「Standard」が良いと思うのだが、アパートなどの集合住宅や夜間に、かつドラマや映画を視聴する場合ば「AI Sound」にすることで登場人物の声が小さい音量でも聞き取りやすくなる。

スマートTV

 LGのTVはwebOSベースのスマートTV機能が付いているものがあるが、個人的にはAndroid TVの方が良い。ストリーミングアプリが充実しているとは言い難く、Netflix・Amazon Prime・YouTube・Disney+などは対応しているものの、例えば欧米でアニメを観る場合に使われるCrunchyrollなども対応していない。
 使い勝手もイマイチで、筆者はサブスクリプションの購読どころかアプリケーションのインストールすらしていないDisney+や、面白そうなチャンネルが皆無のLG TVの広告が画面中央にデカデカと表示されており、Android TVと比較しても画面が有効活用されていない。

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