NXP買収を断念したQualcommの誤算
NXP買収を断念したQualcommの誤算 - EETimes
確かに「誤算」ではあったろうと思うけれども、個人的には中国の対応は不当だと思います。
いわゆる「反トラスト法」のように、合併すると過大な力を持つと懸念される企業合併が当局に規制されるのは理解できます。また、NXPは旧蘭Philipsの半導体部門ですからEUの規制当局から何らかの横槍が入るのも想像できます。さらに、顧客・株主・労働組合・競合他社から批判に晒されるというのも解りますし、そういった逆境の結果として断念するというのも解ります。
しかし期限までに返答が無いという中国当局の対応はおかしい。
ところで、今回の買収の過程で調べていてNXP(+ 旧Freescale)の構想している自動車半導体のプレゼン資料が面白いと感じました。内容は恐らくトヨタやホンダがRenesasと構想している内容と類似だろうとは思いますが、資料の出来が良いと思います。ただし、この内容では「Automotive」の一部(例:カメラ・自動運転関連)や「Connectivity」全般(セルラー・Wi-Fi・GNSS)においてNXP + Freescaleがアセットを持っていないので、Qualcommのアセットを想定していたように思います。
「海賊版サイトにDoS攻撃」政府の勉強会で提案
「海賊版サイトにDoS攻撃」政府の勉強会で提案 日本IT団体連盟の資料公開 - ITMedia
率直に言って冗談のような話だと思います。
ほぼすべての国家において、その理由に関わらずサイバー攻撃は違法です。これはたとえ第三者からサイバー攻撃を受けている状況下であっても同様ですし、多くの専門家が海賊版に対抗する様々な手段を提案する一方でサイバー攻撃を提案しないのは、そもそも手段として妥当ではないからです。
私が考えるに、本件における問題点は3点あります。
- 海賊版サイトがホスティング会社を利用している場合、ホスティング会社だけでなくインフラを共有する他社/他者サイトにも悪影響を及ぼす可能性がある。もしEコマースサイトが道連れでアクセス不能となった場合、誰が損害賠償するのでしょうか?
- 日本における「海賊版」が、そのサイトがホスティングされている現地で違法とは限らない。この場合は「海賊版サイト」に攻撃を実施している日本企業が現地法を犯している可能性が高い
- 2. に関連し、中国のような国で企業を国家が保有している場合、日本企業による「海賊版サイト」に対する攻撃は現地国家に対するテロリズム・宣戦布告になりかねない
要するに、仮にYahoo! Japan(※提案者はYahoo! Japanの社長)が「海賊版サイト」にDoS攻撃をしかけることを国家が認めるということは、日本国が1私企業が他国に戦争をしかけるのを許可することになりかねません。それでいいのですか?
私にいわせれば「海賊版サイト」対策として最も妥当な対抗手段は安価な定額制サービスのみだと思いますが、「海賊版サイト」そのものへのアクセス対策となると取れる選択肢は国内IPSのDNSサーバーからの除外(ブラックリスト化)だけだと思います。特定のURLに対するアクセスを遮断するのは検閲行為にあたります倫理的問題がありますが、DNSレコードにそもそも存在せずDNS LookupでNot Foundを返すのであれば倫理的にも問題はないはずです。ただし、利用者がGoogle DNSを使うなどすれば迂回することは可能です。
ちなみに、DoS=トラフィックを輻輳させる攻撃という認識が強いですが、すべてのDNSでブラックリスト化(※非現実的ですがあくまで仮定)するなどしてサービス不能にすることも広義ではDoS(Denial of Service = サービス拒否)です(DoS「攻撃」ではないかもしれませんが…)。また、トラフィックを輻輳させるDoS攻撃をしかけるとしても攻撃者(例:Yahoo! Japan)のソースIPアドレスでブロックできるので、たとえ攻撃中であっても一般ユーザー(ブロックされていないソースIPアドレスのユーザー。例:OCNユーザー)が海賊版サイトにアクセス可能かもしれません。
Windows 10 Insider Preview、ファイルエクスプローラにダークテーマ導入
Windows 10 Insider Preview、ファイルエクスプローラにダークテーマ導入 - マイナビ
本記事について特にコメントはないのですが、1点気になったのが「ダークテーマは特にバッテリの保ちを気にするユーザーが求めていると見られている。ダークテーマを利用することで、ディスプレイの消費電力を抑えて稼働時間を延ばすことができる」というくだりです。本記事に限らず幾つかのニュース記事・ブログ記事で見かけます。
AMOLEDのようなディスプレイ素子が発光している場合は効果がありますが、LCDの場合は液晶をシャッターのように使って光の透過を調整することで色調を表現しているため、仮に黒く表示されていてもバックライトは点灯したままとなるため省電力には効果がありません。もちろん、本記事の本旨はWindows 10の新機能についてなので詳細に説明するのは蛇足だと思いますが、Microsoftの元記事にもバッテリーについての言及はないため、補足情報としてもイマイチの気がします。