Nintendo Switch 2
Nintendo Switch 2 2025年発売予定 - 任天堂
任天堂がNintendo Switch 2を正式発表したようなので、前回に引き続き分析した結果を書いておく。なお、ここで書く内容は現時点(2025年1月16日)で公式発表には沿っていないため誤りの可能性があることは断っておきたい。
まず疑問に思うのは、現行Nintendo Switch比で性能はどの程度向上したか?それは何故か?ではないかと思う。以下に想定されるスペックを書いてみるが、動作周波数など不明な部分は同系列のSoCを使うNVIDIA AGX Orin/Jetson Orinのスペックを参考に推定している。
Nintendo Switch | Nintendo Switch 2 | Estimated Improvements | |
---|---|---|---|
CPU | Arm Cortex-A57 x4 1.02 GHz | Arm Cortex-A78 x8 around 1.5 GHz? | x4 - x6 ? |
GPU | NVIDIA Maxwell 8SM (256MADs) 307 MHz, 236 GFLOPS (Undocked) 768 MHz, 393 GFLOPS (Docked) | NVIDIA Ampere 12SM (1536MADs) 1.0 GHz 3072 GFLOPS? (Docked) | x7.8 ? |
NPU | N/A | TensorCore | |
NVDLA2 | |||
Memory | LPDDR4-1600 x64 25.6 GB/s | LPDDR5X-7466 x128? 150.0 GB/s? | x5.9 |
4 GB | 12 GB | x3.0 |
予想スペックから見える、ゲームコンソールとしての性能
恐らく、上述の通り性能の推定は不確かだが、それでも恐らく現行Nintendo Switchの3倍~8倍になると思われる。
問題はメモリーが12GBで3倍にしか増えない点である。
恐らく、Nintendo Switch 2ではネイティブで4K解像度がサポートされないことになる。恐らくネイティブでは1440p解像度までのサポートとなり、4K解像度はNVIDIA DLSS 3あるいは類似の超解像度技術でのサポートとなることだろう。
現行Nintendo Switchではドック接続時で1080p解像度までサポートとなるが、Full HD/2Kと4Kとを比較すると、ゲーマー視点では縦2倍x横2倍の4倍でしかないが、演算量・データ容量としては縦2倍x横2倍x奥行2倍の8倍になってしまう。これは頂点の数やテクスチャーのデータサイズが8倍になるという意味である。現行Nintendo Switchを基準にすると、Nintendo Switch 2は演算性能・データ容量で8倍には僅かに届かず、特にテクスチャーを格納するメモリーは3倍の12GBしかない。これではネイティブで4K解像度サポートは厳しいと考えられる。
とはいえ、仮に性能が最悪の条件で3倍としても概ね1080pの1.3~1.5倍の解像度までサポートできる(縦1.5倍x横1.5倍x奥行1.5倍 = 3.38倍)ので、WQXGA(2560x1600)か16:9解像度だとQHD(2560x1440)になる。
これだと4K解像度に満たないが、NVIDIA DLSSやAMD FSR等で実装されている超解像技術ではネイティブ1440p程度から4K(3840x2160)へのアップスケーリングが推奨されることが多いため、案外綺麗な4K出力を得られるかもしれない(参考)。
ネイティブで4Kをサポートしないのに超解像なら4Kをサポートできるのは、ネイティブだと3Dで縦2倍x横2倍x奥行2倍の8倍になってしまうのに対し、超解像技術は既にレンダリングが終わった画像を拡大するので2Dで縦2倍x横2倍の4倍にしかならない上に、拡大する元のデータも頂点とか元のテクスチャーの見えない部分を含ない画像データで相対的に小さいためである。
超解像をサポートする上で嬉しいのが任天堂のパートナーがNVIDIAという点である。NVIDIA製GPUにはTensorCore・SoCにはNVDLA(NVIDIA Deep Learning Accelerator)が搭載されており、クラスとしては非常に高い推論性能を誇る。例えばWindows 11搭載PCの上位機種でサポートされる「AI PC」の要件はNPUで40 TOPS以上となっているが、Nintendo Switchに搭載されるNVIDIA OrinではNVDLA 2 x2基・TDP 10~25Wで40 TOPS・TDP 40Wなら80 TOPSを叩き出す。
NVIDIA AGX Orinとの比較(Nintendo Switch 2 T239の性能の妥当性)
上記の性能は、リーク情報に加えてNVIDIA AGX Orin/Jetson Orinの性能を参考にしているが、これは性能のバランスを崩さないために重要と考えられ、ゲームで重要なメモリー帯域と演算性能の比(Bytes/Flops)もNVIDIA AGX Orinの性能を踏襲しているように見える。端的に言えば、Nintendo Switch 2のスペックはメモリー容量を除いてNVIDIA AGX Orinの3/4程度の性能に見える。
NVIDIA AGX Orin Industrial | Nintendo Switch 2 | Comparison | |
---|---|---|---|
CPU | Arm Cortex-A78 x12 2.0 GHz | Arm Cortex-A78 x8 1.5 GHz? | 66 % 75 % |
GPU | NVIDIA Maxwell 16SM (2048MADs) 1.2 GHz 4915 GFLOPS | NVIDIA Ampere 12SM (1536MADs) 1.0 GHz 3072 GFLOPS | 75 % 83 % 62.5 % |
NPU | TensorCore 64-core | TensorCore 48-core | |
NVDLA2 2x 1.6 GHz | NVDLA2 2x 1.2 GHz? | ||
Memory | LPDDR5-5100 x256 204.8 GB/s | LPDDR5X-7466 x128 150.0 GB/s | 75 % |
64 GB | 12 GB | 18 % | |
B/F | 0.042 | 0.049 |
LPDDR5X-7466というスピードは標準規格には存在しないが、LPDDR5Xよりも動作周波数と消費電力を落としつつx128インターフェースとLPDDR系メモリー2チップという最小のフットプリントで実現でき、性能のバランスも取れる賢い選択である。
言い方を変えると、仮に例えばNVIDIA Orinのフルスペックのマシンを作ることは技術的には可能だとしても、そのCPU・GPUの演算性能を引き出すためにはLPDDRメモリー x256インターフェース(4チップ)が必要で、そうすると筐体サイズとコストが増えてしまう。
比較的低コストで入手可能な最高速メモリーLPDDR5Xメモリー x128インターフェースで低コスト・省サイズを実現しつつ、NVIDIA AGX Orinの性能のバランスを維持したまま実現したのがNintendo Switch 2のスペックだったとすると妥当な結果と思われる。
他のゲームコンソールとの比較
Nintendo Switch 2 | Xbox Series S | PlayStation4 Pro | PlayStation4 | |
---|---|---|---|---|
CPU | Arm Cortex-A78 x8 1.5 GHz? | AMD "Zen 2" x8 3.4 GHz | AMD "Tiger" x8 2.1 GHz | AMD "Jaguar" x8 1.6 GHz |
GPU | NVIDIA Ampere 12SM (1536MADs) 1.0 GHz 3072 GFLOPS | AMD RDNA2 20 CU (1280 MADs) 1.565 GHz 4000 GFLOPS | AMD GCN4 36 CU (2304 MADs) 911MHz 4150 TFLOPS | AMD GCN2 18 CU (1152 MADs) 800MHz 1840 GFLOPS |
Memory | LPDDR5X-7466 x128 150.0 GB/s | GDDR6 x256 225 GB/s | GDDR5 x256 1700 MHz 217.6 GB/s | GDDR5 x256 1366 MHz 176.0 GB/s |
12 GB | 10 GB | 8 GB | 8 GB | |
B/F | 0.049 | 0.056 | 0.052 | 0.096 |
1~2世代ほど前の据置型ゲームコンソールと比較した結果である。PlayStation 4よりはやや上・Xbox Series SやPlayStation 4 Proよりは下という性能に見えるが、概ね性能の傾向としては同じに見える(ゲームコンソールなのだから当然である)。
やや異なるのがメモリー容量である。上の節の説明ではメモリー不足の指摘と読めたかもしれない(「現行のNintendo Switchのアップグレードでネイティブ4Kに対応するには」という意味ではそれで正しい)が、このように過去の同程度の性能のゲームコンソールと比較すると実は+20~50%ほども大容量という事が解る。恐らくこれは超解像技術に代表されるAI推論機能のためのモデルを格納するためではないかと邪推する。
PlayStation 4が登場したのは2013年頃は4K解像度が規格化され始めた時期で、2016年のPlayStation 4 Proで初めて4K解像度に対応した(スペック的に近いXbox Series Sが1440pまでという点を見る限り、実質的にはネイティブ4KなゲームはPS5/Xbox Series Xからフル対応と見做すのが正しいように思う)が、当時はネイティブ4K解像度対応のテレビ/モニターは多くなく対応は必須ではなかった可能性もある。
しかし、Nintendo Switch 2は2025年の機種で、さらに次世代機まで待つとすれば2030年頃まで対応しないことになってしまうため、Nintendo Switch 2で4K解像度に対応は必須という判断だったのではないかと思われる。